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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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四章
  作戦会議

「知っての通り、稲葉山城は天下に名だたる堅城だ。包囲したからといってすぐには落ちんだろう」

「先々代・利政様が築城の粋を注ぎ込んで造ったのが、あの稲葉山城ですもの。厳しい戦いになるでしょう」

「殿。調略が行き届いていない各地の豪族が、いつ背後を襲うか分からない状況です。・・・・いつまでも包囲を続ける事はできますまい」

「その通りだ。・・・・よって今回は強攻する」

「なんと・・・・」

「しかしながら強攻したからとて、城が落ちるはずもございません。徒に消耗しては・・・・」

「麦穂の意見も尤もである。が、一真」

あいよと言ってころに地図を出させる。

「以前、詩乃の稲葉山城を乗っ取りの真偽を調べるために、俺ら一真隊が美濃に潜入したのは覚えていると思う。その時稲葉山城の裏手から、稲葉山城の三の丸に通じる道を発見した。その道は狭くてね。大勢より小勢で何とか通れる獣道。今回一真隊及び黒鮫隊が三の丸に潜入し、城門を開ける」

「何!」

「話は最後まで聞け。三の丸内部に潜入後、閂を開けるから合図と共になだれ込んで来てほしい。そして三の丸を制圧後、城門は我々黒鮫隊の力で爆破する。そして最後の本丸である所から降下作戦を決行をし、斉藤龍興の頸狙いで行くつもりだ」

「降下作戦とはいったい?」

「降下作戦とは、空から飛び降りてからの奇襲攻撃だ。まあ分からなければ見て分かれ」

「確かに、一真様が率いる者でやるなら稲葉山城は落ちるでしょう。ですが私は反対です」

「これは貴様らに聞いてるのではない。既に準備は出来てるから心配無用。俺達はただの軍ではない事をお忘れなく」

と言ったら渋々と了承をした麦穂と壬月。久遠も納得してないところだったが、これでも俺は軍の司令官だ。覇気を浴びさせたので、大丈夫だろう。

「一真隊以外の者共は、まず七曲口より部隊を移動し、鬨の声を上げ続けよ」

「その間に俺達が三の丸の西門を開けるという事か」

「そうだ。丹羽衆は、百曲口が開門したと同時に内部に突入し、二の丸を落とすべく火のように攻め立てよ。各城門は黒鮫隊が何とかしてくれる」

「お任せください!一真様達の者のお働きを無駄にせぬように、必ずや二の丸を落としてご覧入れましょう!」

「ではこれにて軍議を終了する。・・・・各々、励め」

「「はっ!」」

「じゃあ久遠。俺も行く。合図は前言った照明弾で知らせる」

「・・・・頼む」

何か考え事をしてるなと思った俺は久遠の頭を撫でるが、あまり自分を責めるなとアドバイスとして言った。この作戦は俺自身が実行するからだ。

「それでは行ってくるが、ひよところはこっちに来てくれ。最終確認をする!」

「「はいっ!」」

で、俺達は颯爽と去って行った。俺達は最終確認のために陣の外に出た。あと城門破壊班は、先に陣の外で待機。劉零は陣の中に行き先鋒をし、城門を破壊あるいは敵兵を倒せと伝えてある。一応全員通信機を付けているので、俺も付けてるから状況に応じて対応可能だ。三若達は何か話してたらしい。

「颯爽と去って行っちまったよ。・・・・やるなぁ一真」

「凄いよねー!かっこいいよねー!」

「雛だったら絶対行きたくないかもー・・・・っていうか絶対に行かないけどー」

「だよねぇ・・・・大丈夫かなー、一真様は」

「・・・・大丈夫だ。きっと」

「久遠様・・・・」

「あいつは数々の修羅場を潜ってきたと言っていた、言わば戦慣れしてる。だから我は信じている」

「・・・・ふふっ」

「な、何を笑っている?」

「なぁに。織田上総介ではなく、久方振りに、織田久遠様を拝めたのが、嬉しかっただけです」

「織田久遠、か。・・・・だが、我は織田上総介である。・・・・壬月、采配せぃ!」

「御意。・・・・では我らは我らの仕事に取り掛かりましょう。和奏、犬子ぉ!黒母衣、赤母衣で先鋒を務めぃ!」

「異議あり!先鋒は私が!」

「いえ我々が、先鋒を務めましょう」

「誰だ!貴様は!」

「そう、警戒しないでいただきたい。我々は黒鮫隊副長の劉零と申す者。織斑隊長からの命により参上しました」

「貴様が・・・・。だが、先鋒はこの三若が『我々にはこれがある事をお忘れですかな?』なるほど。貴殿の言う事は尤もだ。では先鋒をお任せしてもよろしいですかな、殿」

「うむ。では先鋒を任せよう、黒鮫隊の力、存分に発揮せぃ」

「ありがとうございます。ここに隊員を数名配置させます。通信兵ですので、隊長または隊の皆の連絡があり次第連絡するようにと言ってありますので。ではこれにて失礼」

と去って行った劉零。去った後に通信兵である隊員が数名陣の中に入った。通信兵は、小型のノーパソを取り出し、各隊員の位置を確認した。

『隊長、先鋒はこちらがやらせて頂くよう許可を貰いました』

『ご苦労。劉零は城門爆破隊の指揮を頼む。敵と判断した者は射殺して構わん』

『はっ!了解しました』

そして陣の内には、劉零が去った後城門爆破隊の後方にて和奏と犬子の黒母衣、赤母衣が待機。その後ろで、雛が二人の手綱を任されたようだ。久遠は自分が非情ではないかと壬月に相談したが、少し話したら一件落着した。壬月も最初は久遠の敵だったけど、俺と同じように久遠を支える事に喜びを感じると、その言葉に表と裏があるかと。そんな事はないと言ったが、ならば壬月を信じたように一真の言葉も信用してやってもよいのではとな。

「信用して・・・・良いのであろうか。裏切られる事はないのであろうか・・・・」

「この下克上の世ならば、裏切りは常でありましょう。しかし一真様は天より落ちてきた。いや天などと関係なく、ただ久遠様の事を好いているのではないのですか」

「好いてくれている・・・・のか・・・・?」

「ええ。久遠様と同じように。好いた者のために命を賭けるなど、なかなか良い男ではありませぬか。そんな良い男に応えるには、久遠様が良い女であればそれで結構」

「良い女・・・・とはどういう事だ?」

「さて。さすがにそれは、私如きが口を挟むべき所ではありませんな。ご自身で考えられよ」

「・・・・意地の悪い奴め」

「はははっ!女も歳をとれば女狐になりますからな。ただ一つ言える事は、もっと深く一真様をよく見るべきです。一真様は、神の存在のはずなのにこうして自然と振る舞ってくれる。例え身分が低い者や民でさえ、時には優しく、時には厳しく発言する時もあります。それに、あの御姿を見れば初めは疑っていた私でさえ、信じたくなりたくもありました。もっと甘えるのもいい手かと」

「甘える?・・・・甘えるなど、どうすれば良いのか我には分からん。やり方なんぞ知らんわ」

「確かに。殿は若き身で織田家を継ぎ、東は今川、北は斉藤、国内に至っては岩倉、清州と敵も多く、命を、心を削る戦いをなさって来られた。しかしながら尾張を制し、東海一の弓取りも既に世にはおらず、美濃制圧も目前。・・・・それで一段落とは言いませぬが、盛んに燃え上がる炎は、消える寸前である事が多いのも真理。・・・・この戦いが終わった後は、一真様に甘えて見ては如何?」

「甘えて・・・・良いのであろうか」

「甘えるのも良き女の条件でありましょう」

「そうなのか・・・・」

「しかしそれは後事。迷いは胸にしまい、今は城攻めに専念しましょうぞ」

「・・・・そうだな。頼むぞ壬月」

「御意」

で、俺達は一真隊五名と黒鮫隊五名を連れて林に潜っていた。稲葉山城裏手にある獣道を進んでいた。ちなみに黒鮫隊の武器は狙撃銃とハンドガンで、遮蔽物があった場合のみに使う手榴弾。手榴弾は俺達が使う物は球体の物だ。全員所持してるが短刀を持っていた。この時代だとナイフより短刀の方が良いだろうと思い、各隊員が創造したのだった。黒鮫隊全員は量産型聖剣エクスカリバーを持たせているので、擬態の力でそれぞれの好みで擬態をさせていたけどね。 
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