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こんな私(俺)の物語

作者:金猫
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第十五話 聖剣ですか神父再来ですか

 
前書き
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ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!




雪夜→雪器にすることにしました。 

 
ゆかりんの尊厳に関わる。絶対に嫌だ。




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数日後。
連日、俺、一誠、木場、子猫、匙の五人で探しているが、なかなか見つからない。スキマが使える俺がいてもなかなか見つからない。以前、一誠を目印にしてスキマを開いたことがあったため、それと同じ方法でエクスカリバーを目印に行けるかと思ったら、事前に目印の存在を視認し、ある程度理解しないといけないらしい。
そのため、恥を忍んで神父の格好で夕方町中を歩いているのだが、会えん。まあ、一誠同様、二度と会いたくないのが本音だが。
ゼノヴィア達から貰った魔を抑えるローブは四人分しかなかった。つまり俺は、種族を人間にして詮索している。

現在は、自分の教室にいる。リアスも勘づき始めている。さっさとケリつけないと。

「最近難しい顔してばかりだな、イッセー」

一誠のエロ仲間の元浜(エロメガネ)が一誠に話しかけている。またくだらんことか・・・・・・。

「え?ああ、まあな。俺だってたまには色々思うことがある」

「あれか?リアス先輩のおっぱいと姫島先輩のおっぱい、どっちを揉むべきかとか?」

因みに、一誠を通して俺のことを話題に出すなと念のため言っている。

「それは毎日悩んでるよ、松田。因みに張りは部長の勝ちだ。タプタプ感も部長だな。ただ柔らかさは若干朱乃さんの方が上だろうか・・・。いや、肉付きは部長の方が断然上なんだが、朱乃さんは先端のバランスと輪の大きさが、こう大和撫子!みたいに絶妙でさ。単純に手で揉むなら、部長の方がボリュームで楽しめるだろう。だが、朱乃さんもデカくてな」

「つーか、そんなことしてたら、いつか先輩達の信者に殺されるぞ?学園にたくさんいるんだからな」

「元浜・・・・・・。ーーおっぱいは、命より重い」

「ーーッ!深いな、イッセー、心に響くぞ」

むにゅぅ。

アーシアが一誠の頬を引っ張る。無言で。もうちょい強くてもいいと思うけど。

「ちくしょう!イッセーのエロ大王め!オカルト研究部を蹂躙しやがって!そのくせアーシアちゃんからもそんなことを!うおおおおおっ!」

「知ってんだぞ、イッセー。お前、部活帰り、リアス先輩とアーシアちゃんと腕を組ながら帰っているらしいな?両手に花で下校か?お前だけ異世界に飛ばされて、最初の方で出てくるスライムに溶かされてしまえばいいんだ」

元浜、今の状態でそんなにきついのなら、未来のイッセーハーレムみたら死ぬぞ?
まあ、ヘタレだけどな!

「ところでイッセー、例のボウリングとカラオケをする会合どうするんだ?」

一誠達は、休日、半日遊び倒すらしい。いいなぁ。俺もたまには羽目を外して思いっきり歌いたい。あ、男性になってやっちゃおうかな。うん。幽閉サテライト最高。

「アーシアと桐生も来るし、子猫ちゃんも来るよ」

「うおおおおおっ!アーシアちゃんと塔城子猫ちゃん!これだけでもテンション上がるぜ!」・

叫ぶ松田。涙まで流している。まあ、一誠だけしあわせ真っ只中だもんな。
スパン!
おや?松田の頭を叩く人がいた。眼鏡女子の桐生だ。

「悪かったわね、私もいくことになって」

「ふっ。お前はアーシアちゃんのオプションさ。眼鏡属性は元浜で間に合っているが、まあいい」

「何よ、松田、その態度は?そこの変態眼鏡と一緒にしないで。属性が穢れる」

「こいつめ!元浜の眼鏡は女子の体のサイズを数値化できる特殊なものなんだぞ!?お前とは違う!」

それってもうただの魔眼だよね?眼鏡関係ないよね?

「ーーまさか、その能力が元浜のものだけだとでも?」

『ッッ!』

な、なんだってー。知ってたよ。お前も変態だよ。

「ふふふ、私の眼鏡は男子のアレを数値化できるのさ」

なんて無駄な能力。黒○のバ○ケのリ○監督みたいな数値化ならいいのにさ。しかも、セクハラに躊躇がない。いや、この場合は逆セクハラか?さて、今日も放課後に捜索をするか。


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さて、放課後。表の部活動を終えた俺たちは、公園に集まり神父やシスターの格好をして、できるだけ人気の無い場所を重点的に歩く。嗚呼、また黒歴史が増えていく。
と、恥を忍んで頑張って見るものの、もう夕方になってしまった。

「ふぅ。今日も収穫無しか」

何気に一番気合いが入っていた匙。すると、木場が動きを止めた。
・・・・・・!俺は手のひらにスキマを開いて雪器、元雪夜を取り出す。端から見れば、手のひらから刀が生えてきたようにも見える。

「・・・・・・祐斗先輩」

「みんな、上よ!」

俺達に向けられていたのは、殺気。全員が上を見上げた時、長剣を構えた白髪キチガイ神父がやって来た。

「神父の一団にご加護あれってね!」

ギィィィィン!

耳に響く金属音。俺の雪器と木場の魔剣が神父、フリード・セルゼンの聖剣『天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》』を弾いた。随分な挨拶ね。

「フリード!」

「っ!その声はイッセー君かい?へぇぇぇぇ、これはまた珍妙な再開劇でござんすね!どうだい?ドラゴンパゥワーは増大しているかい?そろそろ殺していい?」

取り合えず、神父服を脱いで、制服姿に戻る。

「おんやまあ!まだ悪魔とつるんでたんすねオタク!今度こそ殺っちゃうよ?殺っちゃうよ!」

一応、俺に向かって言っているらしい。

「ブーステッド・ギア」
『Boost!』

「伸びろ、ラインよ!」

一誠がブーステッド・ギアを起動させ、匙が手元から神器、『黒い龍脈《アブソーブション・ライン》』の舌をフリードに伸ばす。

「うぜぇっス!」

それを聖剣で薙ぎ払おうとするが、舌は軌道を変え、フリードの右足に張り付き、グルグルに巻き付いた。
今度は舌を斬り払おうとするが、すり抜けた。

「そいつはちょっとやそっとじゃ斬れないぜ。木場!これでそいつは逃げられねぇ!存分にやっちまえ!」

「ありがたい!」

木場が二本の魔剣でフリードに斬りかかる。

「ちっ!『光喰剣(ホーリーイレイザー)』だけじゃないってか!複数の魔剣所持、もしかして『魔剣創造(ソードバース)』でございますか?わーお、レア神器(セイクリッドギア)持っているとはなかなか罪なお方ですこと!ーーだが、俺様の持っているエクスカリバーちゃんはそんじょぞこらの魔剣君ではーー」

ガキィィン!
破砕音と共に、木場の二本の魔剣が砕け散る。

「相手になりはしませんぜ」

「くっ!」

「木場!譲渡するか?」

「まだやれるよ!」

「ハハハ!随分とエクスカリバーを見る顔が怖いねぇ。もしかして、憎悪とか持ってるの?何があったか知らないけどさ!こいつで斬られると悪魔君は消滅確定ですぜぇ?死んじゃうよ?死んじゃうぜ!死んじゃえよっ!」

ガキィン!

フリードの聖剣が木場の聖剣をやすやすと砕く。
・・・・・・って、子猫?なんで一誠持ち上げてんの?

「・・・・・・イッセー先輩。祐斗先輩を頼みます」

ブゥゥゥゥン!
と、子猫が一誠をぶん投げた。さすが『戦車(ルーク)』すげぇパワー。

「うおおおおおっ!子猫ちゃぁぁぁぁん!」

絶叫しながら飛んでいく一誠。

「木場ぁぁぁぁぁ!譲渡すっからなぁぁぁぁ!」
『Transfer!!』

「うわっ!イッセー君!?・・・・・・もらった以上は使うしかない!『魔剣創造(ソードバース)』ッッ!」

ザンッ!
辺り一面に魔剣が咲き乱れる。

「チィィィ!」

フリードが舌打ちしながら自分に向かってくる魔剣を薙ぎ払う。その瞬間、木場が新しく創った魔剣を持ち、さらに魔剣を足場にして、高速でフリードに迫っていく!おお、結構キレが戻っている。少しは冷静になってるな。その証拠に、周りに生えている魔剣を操って四方八方からフリードを襲わせる。

「うっは!これは面白いサーカス芸だね!この腐れ悪魔がぁぁぁぁ!」

四方八方から迫る魔剣を、一本一本叩き落としていくフリード。相変わらず無駄にハイスペックだなオイ!

「俺様のエクスカリバーは『天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》』!速度だけなら、負けないんだよッッ!」

フリードの聖剣の速度が加速していく。一応、目で捉えきれている。周囲の魔剣を破壊しつくしたフリードが、木場に斬りかかる!

「死・ネ!」

「させると思うのかしら?」

ガキィン!

そう簡単に殺らせるわけがないだろう。

「クソが!マジうぜぇんだよぉ!さっさと死ね!」

キィン!
フリードの『天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》』と雪器(せっき)が何度もぶつかり合う。壊れる心配はないが、かなり速い。

「忌々しいんだよこのクソアマ!さっさと殺されろ!(ころ)されろ!(ころ)されろ!」

全く。カルシウムが足りてねえんじゃねえの!?
かなりの速度で斬りつけてくるフリード。その剣閃全てを弾く。俺だって、自身を加速させてるんだよ。そうじゃなかったら、追い付けない。自分の時間を加速させる。これで追い付いている。まあ、デメリットは勿論ある。他より早く歳をとる。もっとも、幽々子のお陰でそのデメリットは無いに等しいがな!
と、その時、フリードがバランスを崩した。

「それ以上させるかよ!」

匙が、『黒い龍脈《アブソーブション・ライン》』の舌を使ってバランスを崩させた。そして、同時に『黒い龍脈』の能力である力の吸収を始めた。

「・・・・・・これは!クッソ!俺っちの力を吸収するのかよ!」

「へっ!どうだ!これが俺の神器(セイクリッドギア)!『黒い龍脈』だ!こいつに繋がれた以上、お前さんの力は俺の神器に吸収され続ける!そう、ぶっ倒れるまでな!」

「ドラゴン系神器か!一番厄介な系統だねぇ。初期状態は大したことなくても、成長したときの爆発力が他系統の神器よりも段違いに凶悪だから怖い怖い。全く、忌々しいことこの上ないってね!」

「木場!文句言ってられない!取り合えず、そいつを倒せ!エクスカリバー問題はその次でいいだろ!こいつ、マジで危ねぇ!こうして敵対しているだけで危ない気をビシビシ感じるしよ!このまま放置してたんじゃ、俺や会長にまで害がありそうだ!俺の神器で力を吸収して弱らせるから、一気に叩け!」

合理的かつ正確な作戦だ。まあ、俺が結界で閉じ込めるという戦法もあるが。
しかし、木場は複雑な表情を浮かべる。一人でやりたいのか。それでも、ここでフリードを倒すことに損はないとわかっているから、木場は魔剣を創り出した。

「不本意だけど、ここで君を始末することには同意する。奪われたエクスカリバーはあと二本ある。そちらの使い手に期待させてもらうよ」

「はっ!他の使い手さんより俺様の方が強いんだぜ?つまりだ!俺を五人がかりで倒した瞬間、満足な相手はいなくなるってことでございますよ!いいんかい?俺を倒したら満足できる聖剣バトルはなくなるぜ?」

めんどくさいな。コイツ。と、その時、この場に第三者の声が響いた。

「ほう、『魔剣創造(ソードバース)』か?使い手の技量次第では無類の力を発揮する神器だ」

「・・・・・・バルパーのじいさんか」

初老のジジイがいた。コイツがバルパー・ガリレイか。

「・・・・・・バルパー・ガリレイッ!」

「いかにも」

木場が憎々しげにジジイを睨む。

「フリード。何をしている」

「じいさん!このわけのわからねぇトカゲ君のベロが邪魔で逃げられねぇんスよ!」

「ふん。聖剣の使い方がまだ十分ではないか。お前に渡した『因子』をもっと有効活用してくれたまえ。そのために私は研究していたのだからね。体に流れる聖なる因子をできるだけ聖剣の刀身に込めろ。そうすれば自ずと斬れ味は増す」

「ヘイヘイ!こうか!そらよ!」

ブシュッ!
という音と共に、舌が斬れる。

「逃げさせてもらうぜ!次に会うときこそ、最高のバトルだ!」

そんな台詞を吐きながら逃走しようとするキチガイとジジイ。しかし、そこに攻撃を加えるものがいた。

「逃がさん!」

ゼノヴィアだ。お前、狙って来たわけじゃないよな?

「やっほ。イッセー君、紫ちゃん」

「イリナ」

紫藤イリナさんもいますか。

「フリード・セルゼン、バルパー・ガリレイ。反逆の徒め。神の名の元、断罪してくれる!」

「はっ!俺の前で憎ったらしい神の名を出すんじゃねぇや!このビッチが!バルパーのじいさん!撤退だ!コカビエルの旦那に報告しにいくぜ!」

「致し方あるまい」

「あばよ、教会と悪魔の連合どもが!」

フリードが懐から丸いボールのようなものを取り出し、地面に叩き付けた。瞬間、凄まじい光が、俺達の視力を一時的に奪った。ちっ、閃光玉か。煙玉ならまだ何とかなったのになぁ。遮光結界で即席サングラスでも創るか。

「追うぞ、イリナ」

「うん!」

「僕も追わせてもらおう!逃がすか、バルパー・ガリレイ!」

ゼノヴィアとイリナがその場を駆け出し、木場が二人の後を追う。

「念のため、私も行くわ。返り討ちにあって殺される、なんてことにならないように、ね」

俺もスキマを開いて別空間から一緒に行く。

「お、おい!木場!紫さん!ッたく!何なんだよ!」

なんでだって?後ろ後ろ。

「力の流れが不規則になっていると思ったら・・・・・・」

「これは、困ったものね」

うん。正直、あの二人に関わるのがめんどいから俺はついていったんだ。

「イッセー、どういうこと?説明してもらうわよ」

一誠!後は任せた!


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Said兵藤一誠

「・・・・・・エクスカリバー破壊ってあなたたちね」

今現在。俺と子猫ちゃん、匙は近くの公園の噴水の前で正座させられていた。大変機嫌がよろしくない表情をする部長。

「サジ。あなたはこんなにも勝手なことをしていたのですね?本当に困った子です」

「あぅぅ・・・。す、すみません、会長・・・」

会長の方も冷たい表情で匙に詰め寄っていた。大丈夫か?匙。顔、真っ青だよ。どんだけ怖いんだ?

「祐斗と紫はそのバルパーを追っていったのね?」

「はい。ゼノヴィアとイリナも一緒だと思います。・・・な、何かあったら連絡をよこしてくれるとは思うのですが・・・」

「紫はともかく、復讐の権化と化した祐斗が悠長に電話をよこすかしら」

紫さん。逃げましたね!絶対逃げた!

「子猫」

「・・・はい」

「どうして、こんなことを?」

「・・・祐斗先輩がいなくなるのは嫌です・・・」

「・・・・・・過ぎたことをあれこれ言うのもね。ただ、あなたたちがやったことは大きく見れば悪魔の世界に影響を与えるかもしれなかったのよ?それはわかるわね?」

「はい」「・・・はい」

俺と子猫ちゃんは頷いた。正直、スケールなんてものはわからなかったが。部長と俺とでは、想像する規模が違いすぎる。

「すみません、部長」「・・・ご免なさい、部長」

俺と子猫ちゃんは深々と頭を下げる。これで許してもらえるとは思っていないけど、頭を下げずにはいられなかった。本当に申し訳ございませんでした。部長。

ベシッ! ベシッ!

隣から、叩かれる音が聞こえてきた。見てみたら、匙が会長に尻を叩かれていた!おおっ、なんという姿だ、匙よ!

「あなたには反省が必要ですね」

「うわぁぁぁぁぁん!ご免なさいご免なさい!会長、許してくださぁぁぁぁい!」

「ダメです。お尻を千叩きです」

ベシッ! ベシッ!
会長の手には魔力がこもっている。あれ手で千叩きとは、高校生にもなってそれはキツい。

「コラ、イッセー。余所見しない」

「は、はい!」

「使い魔を祐斗と紫の探索に出させたから、発見しだい、部員全員で迎えに行きましょう。それからのことはそのときに決めるわ。いいわね?」

『はい』

部長の言葉に俺と子猫ちゃんは返事をした。
ぎゅっ
部長が俺と子猫ちゃんを引き寄せ、抱き締めた。部長の温もりが伝わってくる。

「・・・バカな子たちね。本当に、心配ばかりかけて・・・」

優しい声音で俺と子猫ちゃんの頭を撫でてくれる部長。
・・・部長。すみません。こんな俺達のことを・・・。ああ、部長の優しさが身に沁みる。俺、部長の下僕でよかった。こんなに優しい主を得たんだもん。

「うわぁぁぁぁぁん!会長ぉぉぉ!あっちはいい感じで終わってますけどぉぉぉ!」

「よそはよそ。うちはうちです」

ベシッ! ベシッ!
匙の尻叩きはいまだに終わりを見せなかった。こりゃデキちゃった結婚は遠いな。

「さて、イッセー。お尻を出しなさい」

・・・へ?部長。なんでにっこりと笑いながら右手が紅いオーラに包まれていくんですか?許してくれたんじゃなかったんですか?

「下僕の躾は主の仕事。あなたもお尻千叩きよ♪」

その日、俺の尻は死んだ。

Saidend


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精神が肉体に引っ張られるという現象を聞いたことがあるだろうか?
TS(トランスセクシャル)をすると、大抵これに悩む場合がある。
自分は男だと思っていても、いつのまにか女性になってしまう。俺も例外ではない。実際、俺は慌てたり極限まで集中すると心の中まで女性になる。それでも、俺がいまだに『俺』を保てているのには理由がある。
TSしたものは、段々と自身が曖昧になっていき、最後には体と同一になることが多い。だから、曖昧になっている自身に『境界線』を引くことができる俺は、自身が曖昧にならずに、今もこうして『俺』を保てている。まあ、慌てたり極限まで集中するとその境界線がちょっとユルくなっちゃうんだけどさ。ホントに、境界を操る程度の能力様様だよ。さてと、無駄話はこの辺で終わらせるか。そろそろ、起きる頃だ。

「う、うぅん・・・・・・」

「目は覚めたかしら?」

「・・・紫ちゃん?」

この会話でわかったと思うが、寝ていたのは紫藤イリナだ。なんでこうなったかと言うと、ゼノヴィアとイリナ、木場がキチガイとジジイを追っていって、そこで戦闘になって、ダメージを受けて危なそうだったイリナを俺が助けた。『擬態の聖剣《エクスカリバー・ミミック》』は奪い返せなかったが。で、そのあと、家まで連れて帰り、籃に習っていた回復妖術・・・は使えなかったから、アレンジした霊術で治療した。決して実験台にしたとかそういうのじゃないよ?ホントだよ?

「・・・ここは?」

「私たちの家よ。念のため結界を張っているから、堕天使の追撃の心配はないわ」

『境符「全てを二つに断つ線」』で境界線を引いてるから、簡単には入ってこられないハズだ。霊力とかを感知される心配もない。結界も境界線も、今の俺にとっては隔てるものでしかない。最強にして最高の壁だ。

「そう・・・ありがとう、紫ちゃん」

「ええ、今はゆっくり体を休めなさい」

俺の治癒術は、傷は治せても体力の回復まではできない。時間を巻き戻せば、回復できるだろうが、この回復は本人に負担がかかる。何事も美味しい話はないということだ。

「何か食べたいものはあるかしら?でも、軽いものにしておきなさい」

「うん。ありがとう。今はいいわ」

「そう」

再び、静寂が包む。時刻的には夕方ぐらいだ。一応、ゼノヴィアと木場はあの場から逃げることはできたらしい。電話かけたからわかる。
イリナは、暫く籃に鍛えさせようと思っている。何より不味いのは、イリナに『神の不在』を知られることだから、軟禁といえばそうかもしれない。まあ、一石二鳥と思えばいいや。未来の+αよ、頑張れ。
境界線を越えることは、並大抵のことではない。俺と少しではあるが能力が使える籃なら越えられるだろうが、基本は無理だろう。考え方によっては、この世界と異世界の間にも境界線はある。俺、異世界に行けるんじゃね?

幽々子は、そろそろ実戦を体験させてもいいかな?本当はやめてほしいが、譲らないんだもん。いざというときはすぐに逃げるという条件付きで、やってもいいことにした。まあ、多分相手がいなくって不戦になるだろうけど。頼むから傷つかないでください。多分俺の理性が消し飛ぶ。傷つけた奴を全力で殺りにいく。

籃は・・・・・・まあ、天狐だからいいだろ。天狐ってのは千年以上生きた善狐がなる種族だから、一応実践経験はあるとのこと。因みに、千里眼、神通力も使えるらしい。(もみじ)いらず。
何気にハイスペックな籃しゃまであった。神力もあると。なんか悔しい。

豆知識
空狐とは、三千年以上生きた善狐である。なのに、何故か天狐の方が強いらしい。老いなのか?


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深夜、イリナの部屋にさらに結界を張って、俺達家族も寝ていたのだが、なんか変な、というより、それと一緒にいるキチガイの気配を感じて、俺は起きた。さらに集中すると、堕天使の気配も感じれた。もしかして、コカビエルか?一誠の家の近くにいるらしい。行くか。
そうして俺は、スキマを開いた。


    少女(?)移動中・・・・・・


「やっほー、イッセー君、アーシアたん。ご機嫌麗しいねぇ。元気にしてた?あらら、もしかしてナニしてた?それはゴメンね。空気読めないのがウリなの、で、あんさんもいたんスか?」

あれまー、一応一誠たちが出てくる前には既にいたのだが。今になって気づくとは、察知がなってない。

「何か用か?」

一誠が聴く。俺はそれを無視して、空を見上げる。そこには
月をバックに黒い十の翼を生やした堕天使がいた。こいつがコカビエルか。うん。結局幽々子の方が怖い。

「初めましてかな、グレモリー家の娘。紅髪が麗しいものだ。忌々しい兄君を思い出して反吐が出そうだよ」

上げて落とす。こういう皮肉には皮肉で返すものなのか?

「ごきげんよう、堕ちた天使の幹部ーーコカビエル。それと私の名前はリアス・グレモリーよ。お見知りおきを。もうひとつ付け加えさせてもらうなら、グレモリー家と我らが魔王は最も近く、最も遠い存在。この場で政治的なやり取りに私との接触を求めるのなら無駄だわ」

「それはどうも。そういえば、俺達の根城に三匹ほどネズミがきたのでな。それなりの歓迎をしてやったよ。二匹逃げたが、あの栗色の髪の女はどうなったかな?」

「あら、イリナのことかしら?それなら、既に救出済みよ」

「・・・・・・」

一誠たちは一瞬焦った表情になったが、俺の言葉で落ち着きを取り戻した。

「魔王と交渉などというバカげたことはしない。まあ、妹を犯してから殺せば、サーゼクスの激情が俺に向けられるかもしれないな。それも悪くない」

「・・・それで、私との接触は何が目的かしら?」

「お前の根城である駒王(くおう)学園を中心にしてこの町で暴れさせてもらうぞ。そうすればサーゼクスも出てくるだろう?」

「そんなことをすれば、堕天使と神、悪魔との戦争が再び勃発するわよ?」

「それは願ったり叶ったりだ。エクスカリバーでも盗めばミカエルが戦争を仕掛けてくれると思ったのだが・・・寄越したのが雑魚のエクソシストどもと聖剣使いが二名だ。つまらん。あまりにつまらん!ーーだから、悪魔の、サーゼクスの妹の根城で暴れるんだよ。ほら、楽しめそうだろう?」

うぜぇ。好き勝手するのはいいが、他人に迷惑をかけるな。責任を取らない奴は嫌いだ。このクソ烏。おっと、烏に失礼だった。

「・・・戦闘狂め」

「そうだ、そうだとも!俺は三つどもえの戦争が終わってから退屈で退屈で仕方がなかった!アザゼルもシェムハザも次の戦争に消極的でな。それどころか、神器(セイクリッドギア)なんてつまらんものを集めだしてわけのわからない研究に没頭し始めた。そんなクソの役にも立たないものが俺達の決定的な武器になるとは限らん!・・・まあ、そこのガキが持つ『赤龍帝の籠手《ブーステッド・ギア》』クラスのものならば話は別だが・・・そうそう見つかるわけでもないだろう」

軽視し過ぎると痛い目にあう。よくあることだ。

「・・・お前らは俺の神器もご所望なのかよ?」

「少なくとも俺は興味ない。ーーだが、アザゼルは欲しがるかもしれんな。あいつのコレクター趣味は異常だ。どっちにしろ、俺はお前の根城で聖剣を巡る戦いをさせてもらうぞ、リアス・グレモリー。戦争をするためにな!サーゼクスの妹とレヴィアタンの妹、それらが通う学舎だ。さぞ、魔力の波動が立ち込めていて、混沌が楽しめるだろう!エクスカリバー本来の力を解放するのにも最適だ!戦場としてはちょうどいい」

「ひゃははは!最高でしょ?俺のボスって。イカレ具合が素敵に最高でさ。俺もついつい張り切っちゃうのよぉ。こんなご褒美までくれるしね」

フリードがエクスカリバーを取り出す。合計五本。ん?五本?

「右のが『天閃の聖剣《エクスカリバー・ラピッドリィ》』、左のが『夢幻の聖剣《エクスカリバー・ナイトメア》』、右腰のは『透明の聖剣《エクスカリバー・トランスペアレンシー》』、左腰のは『擬態の聖剣《エクスカリバー・ミミック》』、もう一人の女の子が持っている『破壊の聖剣《エクスカリバー・デストラクション》』もゲットしたいところですなぁ。ひゃはっ!俺って世界初のエクスカリバー大量所持者じゃね?しかも聖剣を扱えるご都合な因子をバルパーのじいさんからもらっているから、全部使えるハイパーな状態なんだぜ?しかも!」

そう言いながら、背中に持っていた紅い、シンプルな剣を取り出した。刀身に文字のようなものが書いてある。

「世界最強の聖剣と言われ、誰一人使えないと言われた『緋想の剣』まで持ってるだぜ?無敵素敵!俺って最強じゃん!ひゃはははははははっ!」

なにぃぃぃぃぃっ!!緋想の剣だと!やべえ。マジで使えるとしたら恐ろしい。て言うか、緋想の剣あったんだな。貰っとこ。

「バルパーの聖剣研究、ここまで来れば本物か。俺の作戦に付いてきたときは正直怪しいところだったがな」

コカビエルとクソジジイは手を組んでいるっと。

「エクスカリバーをどうする気なの!?」

リアスが問う。しかし、コカビエルは学園の方に飛んでいこうとする。

「ハハハ!戦争をしよう、魔王サーゼクス・ルシファーの妹リアス・グレモリーよ!」

カッ!
またもや目眩ましの閃光が視力を奪う。芸のないやつだ。カラフルにでもしてみろ。
とある(カルマ)はこう言った。

『手間を惜しまない。それが、嫌がらせの極意』と。

「イッセー、紫、学園に向かうわよ!」

「はい!」「ええ」

さて、戦争にならんよう頑張りますか。








「紫」

「なんですか?」

「今日、逃げたわね?後でお仕置きよ」

「嫌よ。時間の無駄だわ」

今は学校に向かうべきです。(尻叩かれるなんて嫌です)



 
 

 
後書き
緋想の剣は黄色と赤がありますが、この小説では赤でいこうと思います。



手間を惜しまない。それが、嫌がらせの極意
は、暗殺教室のカルマ君のポリシー?です。 
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