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戦国異伝

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第百五十二話 近江平定その七

「その堅固さは岐阜城や小谷城以上です」
「そうじゃな、残念じゃがな」
「はい、ですから」
 それでだというのだ。
「あの寺を攻めようと思えば相当な数で攻めて」
「十万、いや二十万は必要じゃな」
「それで攻めて相当な損害が出ます」
 そうなるというのだ。
「その後越前を収められませぬし」
「石山を抑えられるのならか」
「先に越前です」
 そして加賀をだというのだ。
「攻めましょうぞ」
「してやられたわ、その通りだ」
 信長も平手には弱い、それで苦笑いになって言うのだった。
「先に越前、加賀を収めようぞ」
「さすれば」
「皆の者、近江は間も無く収まる」
 小谷だけでなくこの宇佐山でもそうなった、最早それは決まった様なものだ。
 それでだ、信長は平手の言葉を受けてからあらためて諸将に言うのだ。
「でjは行くぞ」
「はい、それでは」
「今より」
 こうしてだった、信長はすぐに宇佐山から越前に向かうことにした。その祭長政がこう信長に申し出て来た。
 信長の前に平伏してだ、こう言ったのだ。
「義兄上、この度の越前及び加賀攻めですが」
「うむ、御主がじゃな」
「それがしと浅井の者達が先陣を務めたいのですが」
「先の姉川のそそぎか」
「はい」
 その時の裏切りの恥、それを注ぎたいというのだ。
「お願い出来るでしょうか」
「条件がある」
 ここでだ、こう返した信長だった。
「それは」
「条件とは」
「御主達は絶対に死んではならん」
 確かな笑みを浮かべてだ、信長は顔を上げて言って来た長政に返したのだ。
「生きよ、先陣といえどもな」
「それが先陣を務める条件ですか」
「そうじゃ、よいな」
 長政にさらに言う。
「死なぬな」
「それがし、如何な戦の場でも」
 長政は信長のその条件に笑顔で返した、そして言うのだった。
「死にませぬ、無論家中の者達も」
「約束じゃぞ、よいな」
「さすれば」
「ではこの度の先陣は御主達に命じる」
 長政、そして浅井家の者達にだというのだ。
「金ヶ崎はそう容易には陥ちぬが急ぐ様にな」
「お任せ下さい」
「他の者達も来るのじゃ」
 信長は長政以外の諸将達にも言う。
「長島も落ち着いたか」
「はい、忍の者より報がありました」
 蜂須賀家政が報告する。
「既に皆落ち着いたと」
「では置いていた三万の兵を呼べ、金ヶ崎の辺りで合流するぞ」
「そうしてですな」
「攻める」
 そうするというのだ、信長は既に越前そして加賀のことを見ていた。
「加賀は門徒の国、数はこれまで以上に多いがな」
「ここは加賀をですな」
「収めますか」
「そうせよ、勘十郎達にはそれまで頑張ってもらう」
 信長が率いる大軍が加賀まで収め摂津までというのだ。
「だからこそ急ぐぞ」
「さすれば」
「この城を発ちましょうぞ」
 諸将も信長の言葉に頷く、そうしてだった。
 織田家の大軍は宇佐山を収めてすぐに城を発った、その動きはまさに電光石火だった。
 当然その中には森もいる、森は信長の周りを固めながら池田に対して言った。 
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