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ヘタリア大帝国

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TURN127 アルプス要塞その九

「お互いにな」
「平和を前提としてですね」
「そうなる、とはいってもソビエトもいればな」
「アラブやアフリカもありますね」
「完全に二つじゃない」
 その辺りの細かいところはまた別だというのだ。
「それでもだ」
「世界はその秩序の下に動くか」
「そうなっていく、とはいっても太平洋も中では色々とあるだろう」
 日本が盟主的立場だがガメリカや中帝国も強い、しかもその他の国々もそれぞれ発言力があり国力もあるのだ。
 だからだ、東郷もこう話すのだ。
「中をまとめそのうえでやっていかないといけないからな」
「戦争にはならなくとも大変なことは変わりませんね」
「そうなる、そのことはわかっていてくれ」
「わかりました」
 日本は東郷ノ言葉に確かな顔で頷いた、そのことはわかるというのだ。
 そのうえで戦後のことも考えていた、そうして。
 今彼等はベルリンを目指そうとしていた。アルプスからそこに至ろうとしていた。だが。
 ここでだ、不意にだった。
 秋山と日本妹が来てだ、二人にこう言ってきた。
「あの、サラマンダーですが」
「ベルリンに移動させられています」
「あの大怪獣が?」
「またそれはどうして」
「はい、どうやらヒムラー副総統がです」
「移動させられています」
 二人はこう話した。
「どういうお考えかわかりませんが」
「そうされています」
「もう軍事の指揮権は総統さんにあるがな」
 ドクツ総統、即ち国家元首である彼女にだ。国家元首が軍の最高司令官であることは常識のことである。
「当然サラマンダーもな」
「ベルリンにある予備兵力と一緒にでしょうか」
 日本妹はヒムラーの言っていたことから東郷に話した。
「総統にお返しする為に」
「そうだろうか、まさかな」
「まさかとは?」
「クーデターは、ないか」
 東郷はいぶかしむ顔でこの可能性を指摘した。
「それは」
「クーデターですか」
「そうだ、総統さんに対するな」
「それはないのでは?」
 いぶかしむ顔でだ、こう答えた日本妹だった。
「予備戦力といいましてもアンドロイドの様なものらしいが」
「ドクツ正規軍とは戦力的に比較にならないか」
「そう思います、とても」
「あの副総統さんはかなりの曲者っぽいがな」
 東郷は直感的にヒムラーの怪しさを察していた、だがその彼にしても流石にヒムラーの素顔のことまでは気付かない。  
 それでだ、こう言うのだった。
「権力への野心はあってもな」
「常人がレーティア総統にとって代わることは無理ですね」
「そんなことは誰でもわかることだ」
 レーティアを見ただけでだというのだ。
「とても無理だ」
「ではやはり」
「そうだろうな、確かにサラマンダーは危険だがな」
 それを使うとはとても思えないというのだ。
「特に気にしなくていいだろう」
「そうですか」
「ああ、俺達もベルリンに向かおう」
 特に不安に思うことなくだ、ヒムラーは話した。
「それじゃあな」
「はい、わかりました」 
 今度は秋山が応える、そうしてだった。
 枢軸軍の主力はドクツ軍そして欧州各国軍と共にベルリンに向かうことになった。そこでレーティアの正式な総統復帰の式典に参加する為にだ。
 彼等は意気揚々としてベルリンに向かっていた、だがそのベルリンでは。
 慌てふためいて戻ったヒムラーが彼の真の部下達にだ、こう命じていた。 
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