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オズの五人の子供達

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第二幕その三

「確かに美味しいわ」
「甘くてね」
「お砂糖が入っているのかしら」
「あっ、この湖にはお砂糖は入っていないよ」
 かかしがこのことをお話してくれます。かかし達は飲んだり食べたりはしていませんがにこにことして五人の傍に座っています。
「普通に甘いんだ」
「そうなんですか」
「お砂糖が入っていなくても自然に甘いお茶なんだよ」
「凄くいい湖なんですね」
「この湖もね。オズの国には他にもこうした森や湖があるから」
「じゃあ私達旅の間飲むものや食べるものには困らないんですね」
「うん、そうだよ」
 まさにその通りだというのです。
「ドロシーは朝になればパンで一杯になるバスケットを持っていたけれどね」
「私達はそれがなくて」
「そうだよ、このマンチキンのあちこちにこうした湖や森があるから」
 飲むものにも食べるものにも困らないというのです。
「安心してね」
「わかりました、ただ」
「ただ?」
「お握りはないですよね」
 そのことはとです、恵梨香はかかしにどうなのでしょうかといった顔で尋ねました。
「それは」
「お握り?御飯を集めて丸めたものだね」
「はい、それはないですか?」
「ううん、御飯も食べるけれどね」
 かかしは腕を組んで考える顔になって恵梨香の質問に答えました。
「お握りはね」
「ないんですか」
「うん、あまり見ないね」
 そうだというのです。
「オズの国はパンが多いね」
「じゃあお料理も」
「最近は色々なお料理があるけれどね」
 お握りはというのです。
「それはあまりないね」
「それは残念ですね」
「少なくとも君達の世界にある白いお握りはないよ」
「マンチキンだと御飯も青いんですね」
「そうだよ、お米も青いんだよ」 
 そうなるというのです。
「パスタや麺類もね。麦も青いから」
「じゃあお饅頭やラーメンもですね」
 神宝は自分の大好きなそうしたものも青いとわかりました。
「そうなんですね」
「ああ、君は中国人だね」
「はい、そうです」
「中国の料理も最近はあるよ。オズの国の料理は君達の国で言うアメリカの料理に似ているから」
「そういえば魔法使いさんもドロシーもアメリカの人ですね」
 そのアメリカ人のジョージが言ってきます、五人はパンや果物を食べお茶を飲みながらかかしに尋ねるのでした。
「だからですね」
「アメリカは色々な国から人が来る国だから」
「そうですよね」
 アメリカ人だからです、ジョージもそのことはよく知っています。それで今もかかしの言葉に確かな顔で頷くのでした。
「だから」
「うん、この国には色々なお料理があるんだ」
「けれどお握りはですか」
 恵梨香はどうしてもこのことが残念で仕方がありませんでした、それでパンを食べながらも言うのでした。
「そうなんですね」
「そのことは我慢してね」
「わかりました」
 こう答えるしかありませんでした。
「御飯があればそれを食べます」
「そうしてね、御飯のお料理もちゃんとあるから」
「お握りがないのは」
 ナターシャはパンの中にピロシキがあるのを見て笑顔で食べています、中の具も青いですがちゃんと美味しいピロシキです。 
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