鉄槌と清風
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
69部分:67:相談/模擬戦
67:相談/模擬戦
新暦75年の12月も半ば、色々な雑事や相談をかねて聖王教会へ、良彦とヴィータは訪れていた。
セプトはウィンド関連の書類を任せているので今回は留守番だ。
「ごきげんよう、騎士カリム」
「ごきげんよう、騎士良彦、騎士ヴィータ」
「お久しぶりです、騎士カリム」
まずは、定型の挨拶。
「ひさしぶり、シスターシャッハ」
「はい、騎士良彦、お久しぶりです、騎士ヴィータも本日はようこそ」
「まぁ、今回ばかりは…良彦だけに任せられないんで」
シャッハと共挨拶を交わし、机に付く。
机の上にはパンフレット、結婚式についてのプランニングに訪れたのだ。
披露宴は、既に良彦とヴィータの手から離れ、はやて、なのは、フェイト…いや、寧ろ更に上、リンディ統括官やレティ提督の元に行ってるらしい。
「つか、俺に任されても困る、よくわからんし」
「この有様だから、あたしも来るしかなくて」
「まぁ、騎士良彦が結婚に詳しくても驚きですが」
「とはいえ、結婚は二人でするものお互いで考えあうのが良いですね」
良彦の言葉に、ヴィータ、カリム、シャッハが言ってくる。
「それで、お二人の立場とか出自を考えるとですね、これなんか良いと思うんですけど」
カリムが勧めるのは、古代ベルカ式パッケージとやらだ。
「古代ベルカの王族同士の結婚式を再現したもので、一寸お値段はするんですけど、立派ですよ?」
値段をみれば、高いのは高いのだが、資金的には余裕ではある…良彦とヴィータ二人で働いている上に、特にお金が掛かる趣味は無く、披露宴は二人ではなく、ミッドは局の人間が、地球は高町家やアリサ、すずかの方で出す予定だからだ。
「俺は問題ないけど、ヴィータはどうだ?」
「値段が…うーん、もう一寸さがらねーのか?」
「あぁ、大丈夫です教会騎士団の団員ならこの値段から1割引かれますよ」
ヴィータの問いに、シャッハが答える。
「そういや、良彦って教会騎士団員だっけ、忘れてた」
「1割引くと…か、かなり浮くな、この分を旅行に回すか?」
「だな、それじゃ騎士カリム、古代ベルカ式パッケージでお願いします」
「はい、此方で話は通しておきますね、後日きちんとした手続き用の書類が送られると思いますんで」
パンフレットは、そのまま持って行っていいとの事なのでありがたく受け取る。
「それにしても結婚ですか、羨ましいですね」
「騎士カリムは、そういう話し聞きませんね、しすt「ごほん」いえ、なんでもありません」
「私もシャッハも忙しい上に出会いが無くて…どなたか紹介してもらえませんか?」
咳で良彦をさえぎったシャッハに苦笑しつつ、冗談交じりにそういってくるカリム。
「いや、知り合いの友人だと…年齢的につりあいそうなのは一人いますが、どう思うヴィータ、ヴァイス何だけど」
「良い奴なのは、確かだな…実際あってみねーと後はわかんねーな」
そういってる二人に
「どんな方なんですか、その方は?」
と、問うシャッハ。
「ぱっとみ軽い奴に見えるけど、結構しっかりしてるし根性もあるな、今は立ち直ったし」
「だな、それにミッド式の精密射撃型で、特化型だけど腕前はエース級だ」
「後はヘリの操縦の腕前も一流…多分ゆりかごの時の戦闘映像に映ってるのがあると思う」
そういう2人に、カリムは頷いて。
「折角ですし、今度紹介してください」
と、微笑むのである。
暫く後、場所を移して、騎士団の訓練場、久しぶりに良彦とシャッハとの模擬戦である。
対シャッハ戦績は、此処暫くは5分ながら、最初から考えると…勝率は考えたくなくなるレベルだったりする。
「さて、んじゃ久しぶりに一本お願いします」
『セットアップ』
「こちらこそ、よろしくお願いします」
『セットアップ』
二人が騎士甲冑を身に纏う。
ある程度はなれて向き合う二人…良彦はシャッハ相手にする時は壁などに近づかないようにしている。
『凪』は壁があれば壁だと判断し、そっち側は無視してしまう、だが…シャッハは壁だろうが構わず中を移動してくる移動系の騎士だ、壁からの不意打ちで何度か倒されている。
「行きますっ!」
風を纏わせた右拳を踏み込みから素直に突き出す。
これを双剣型…トンファーにしか見えないが…のデバイス、その根本で受けながら、反対のデバイスを振りぬく。
それを構えていた左拳で『弾き』向きをそらす。
此処まではほぼ何時も通りの展開。
「では…参ります!」
一旦お互いが距離をとり、シャッハの鋭い踏み込みから回転させたデバイスが唸りを上げ迫る。
それを回転しながら、左バックハンドで『弾き』ながら、その回転を載せたローキックをシャッハへと放つ良彦。
一歩、一瞬のバックステップでローキックをかわし、素早く踏み込み、此方も回転しながらデバイスを打ち込むシャッハ。
回転速度をあげ、迫るデバイスをミドルキックで『弾く』良彦、そのまま回転し、ミドルをハイキックにつなげて行く。
頭に迫るハイキックを、身体を沈ませる事で避け、足が通り過ぎた所へ、両手のデバイスをそろえ、下から上へ振り上げる。
回転していた身体を、無理矢理止め…足元に砂煙が上がる…下からのデバイスの振り上げに、両手に小さな盾と風を纏い、受け止め、その威力を利用し身体を跳ね上げさせる。
「此処っ!」
跳ね上がった反動を利用し…練りあげた風と魔力を、貫き手に集め。
その間にシャッハも、次の動きに移っている、デバイスを構え。
「風拳・一刃」
「烈風一迅!」
お互いのデバイス同士がすれ違い、良彦の貫き手はシャッハの喉の前で、シャッハのデバイスは良彦の頭の横で、それぞれ止まっている。
「…引き分けかな」
「そのようですね」
お互いのデバイスと貫き手を引いて、離れる。
お互いに一礼し、騎士甲冑を解除。
「ほれ良彦、シスターシャッハもどうぞ」
スポーツドリンクとタオルを差し出すヴィータ。
「サンキュ、見ててどうだった?」
「ありがとうございます、できれば意見いただければ」
そういわれヴィータは
「そうだな、良彦が蹴りメインなのは珍しいと思ったけど、シスターはやりにくかったんじゃ?」
「えぇ、普段は拳打メインなので少し驚きました」
「折角手も足もあるんだしな、蹴りも使えうさ…実際此処まで脚撃だけってのは、珍しいかな?」
「見てて、こっちも驚いたよ、まぁ後は二人とも近接専門だけに動きは問題なかったな」
「そうですか、騎士ヴィータも如何ですか?」
「いや、あたしはそんなに修行もバトルも好きってわけじゃねーんで」
苦笑とともに、断るヴィータ。
シャッハもそうですか、とそれ以上は言ってこなかった。
結局結婚式の話しと模擬戦で時間はつぶれ二人は六課隊舎へと帰ったのだった。
************************************************
式は豪華になります。
模擬戦は、この二人だと、一瞬の隙で決まるのが基本だと思います。
次回は、六課解散時の話しになると思います。
ページ上へ戻る