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八条学園怪異譚

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第五十四話 コンビニの前その九

「その場所から違う場所に行くのじゃからな」
「そうですね、言われてみれば」
「実際に扉を開いてばかりですし」
 二人もこう博士に答える。
「泉というよりは扉じゃないかって思う時も実際あります」
「それではですね」
「そうじゃな、コンビニにしてもじゃ」
 博士はコンビニについての話もした。
「お店の、商品売り場があってじゃ」
「お店の裏側ですね」
「事務所とかがある」
「二つの世界があるのじゃ」
 普通に客達が品物を探して買う場所とだというのだ。
「これはスーパーでも同じじゃがな」
「他のお店でもですよね」
「うちでもそうですし」
「そうそう、うちだってお店とお家に分かれてるからね」
「一緒よね」
 二人は自分達の家のことからこのことがわかった、二つの世界が共にありその境目もあることがだ。
「だからコンビニでもね」
「それが普通なのね」
「そういうことじゃ、お店は多くがそうじゃ」
 二つの世界があるとだ、また二人に話す博士だった。
「だからじゃ、よいな」
「はい、今からですね」
「それを確かめに」
「店員さんにはわしから話しておく」
 博士は二人にこうも話した。
「だからお店の中に入ることになってもな」
「問題ないんですね、その辺りは」
「店員さんもわかってくれてるから」
「だから今からお店の中に入っても」
「構わないんですね」
「そうじゃ、昼にも話したがわしのゼミの子だったり知り合いだったりするからな」
 その縁でだ、博士はこの店に顔が利くというのだ。
「安心してよいぞ」
「わかりました、それじゃあ」
「今から」
「うむ、ではな」
 こう話してだった、そうして。
 二人は博士と共に店の中に入った、妖怪達は店の外で適当に遊んで待つことにした、彼等はそこから三人に話す。
「じゃあ行って来てね」
「僕達ここで飲み食いして待ってるから」
「お酒とかお菓子を飲んで食べてるからね」
 他の場所と同じ様にそうして待つというのだ。
「だから行って来てね」
「泉かどうか調べてきてね」
「泉の候補地もあと僅かじゃ」
 博士は二人をそれぞれ左右に置いてほっほっほ、といった感じで笑いながらこうも述べた。愛実が右、聖花が左にいる。
「もう幾つもない」
「じゃあもうすぐですね」
「私達が泉を見付けるのは」
「そうじゃ、すぐじゃ」
 まさにだ、すぐだというのだ。
「見付けてどうするかは君達次第じゃがな」
「ううん、最近時々そのことを振られますけれど」
「実は」
 どうかとだ、二人は博士と共に店の扉、左右に開く自動扉のそこを潜りながら答えた。
「それでも実は」
「どうするかはまだ考えてないんです」
「そのままにするか封印するかはだ」
「というか封印しても何もないですよね」
「妖怪さんや幽霊さんが学園に出入り出来なくなって皆困りますよね」
 二人はこのことをだ、博士にここで言った。コンビニの中は至って普通だ。生活用品なりお菓子なりジュースなりが置かれていて店員さんがカウンターのところに立っている。カウンターには唐揚げやフライのコーナーがある。
 二人はその店の中を目で見回しながら博士に話すのだった。
「だったら封印とかは」
「そういうことは」
「よくないというのじゃな」
「こうしたのって絶対に封印しないといけないんですか?」
「そんな決まりないですよね」
「法律にはないぞ」
 博士は法学者でもある、だから二人にこう答えることも出来た。
「全くのう」
「ですよね、それじゃあ」
「特に」
「うむ、別に封印せずともよい」
 博士もこう二人に話す。 
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