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久遠の神話

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第七十八話 選挙の結果その八

「そうですよね」
「はい、勿論です」
「だからこそマスコミは権力者ですが」
 俗に言う第四の権力だ、実際には第一の権力と言っても差し支えない。
「しかしですね」
「日本のマスコミは腐敗した権力ですか」
「尚且つ思想が偏向した」
「だからこうした人物が普通にいられますか」
 ジャーナリストではなく他国の政党のスポークスマンの様な人物が、というのだ。
「そうした状況ですか」
「しかもこの記者は他の新聞社をある国のエージェントといった感じで批判します」
「それは自分自身もでは」
「自分を振り返ってはマスコミ関係者は務まらない国です」
「それではとても」
「マスコミjは腐敗する一方ですね」
「末期症状ですね」
 少尉は日本のマスコミをこうまで評した、しかもうんざりとした顔で。
「どうにもなりませんね」
「はい、ですから最近ではです」
「日本人の中でもですか」
「マスコミを信用しなくなってきています」 
 これも当然のことだ、虚報や偏向報道を垂れ流し続ける人間を信用することなぞまともな人間なら誰もしないことである。
 だからだ、スペンサーも言うのだ。
「嘘吐きは信頼されません」
「絶対にですね」
「ネットの方が信頼されてきています、確かに玉石混交の世界ですが」
 しかし一方的に虚報等を垂れ流し続けないというのだ。
「嘘しか言わないマスコミよりはましなので」
「ではこの記者もですね」
「残念ですがまだ、です」
「まだですか」
「その正体はネットではあまり気付かれていません」
 彼についてはというのだ。
「今のところはですが」
「ここまで偏っていてもですか」
「先程も申し上げましたが日本のネットも玉石混交です」
「ではネットユーザーがですか」
「日本のネットでは保守といいますか右翼といいますか」
 スペンサーはやや首を傾げさせながら言葉を選びつつ話していく。
「ネット右翼ですね」
「保守ではなくですか」
「そうした勢力が強く彼等は共和党その中でもネオコンが日本に好意的だとみなしているので」
「この記者の発言もですか」
「問題視されていません」
「日本では愚か者はマスコミだけでなくネットにもいますか」
 少尉はそのネット右翼について瞬時にこう看破した。
「何もわかっていませんね、その彼等は」
「はい、ネオコンは親日ではありません」
「自分達のことしか考えていませんから」
 自分達しか考えないというのに他国、他人のことを考えるのかどうか。もうこれは言うまでもないことである。
「親日とはとても」
「利用されているだけですね、ネオコンに」
「はい、ネオコンはそれしか考えていません」
 彼等の国家戦略の中でだ、日本を駒としか見ていないというのだ。
「それでしかありません」
「利用されていることに気付かないとは」
「彼等はブッシュも支持していました」
 やはりブッシュ、息子の方が親日と見えただけでそうしていたというのだ。
「その政策も見ずに」
「つくづく愚かですね」
「そうです、ブッシュもまたネオコン精力なので」
 自分達のことしか考えないというのだ、ブッシュの言う国益とはアメリカ保守富裕層の為だけの国益であったのだ。
「アメリカ全体のことは彼等はです」
「考えていませんか」
 それが日本のネット右翼の『国際戦略』とやらの実態である。 
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