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久遠の神話

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第七十八話 選挙の結果その六

「こうした人間は日本にもいますか」
「むしろ日本だからです」
「こうした人間が多いのですか」
「ジャーナリストには」
 多いというのだ。
「日本の場合は」
「アメリカのジャーナリズムも様々な問題がありますが」
「日本はさらにです」
 問題が多いというのだ。
「それが私の見たところです」
「この記者にしてもですね」
「彼がいる新聞社の看板記者ですが」
「これだけ偏向していてですか」
「はい、そうなっています」
「とんでもない話ですね」
 少尉は首を傾げさせて答えた。
「これはまた」
「少尉もそう思われますね」
「ええ、アメリカでは一応自分の立場を言ってから主張をします」
 民主党支持なり共和党支持なりだ、このことはニューヨークタイムズにしてもウォールストリートジャーナルにしてもだ。
「ですが日本ではですね」
「マスコミは常に中立を掲げます」
「報道の中立ですか」
「しかしその実態はです」
 記者を観ながらだ、スペンサーは答えた。
「この通りです」
「中立はお題目ですか」
「最早それは日本のマスコミでは形骸化しています」
「そうなんですね、しかしよくもまあ」
 少尉は記者の言葉を聞きながらだ、顔を顰めさせて言った。
「外国人でここまで共和党に寄れますね」
「流石におかしいですね」
「つながってません?今ネオコンの存在を否定しましたし」
 その発言でだ、そうしたのだ。
「おかしいにも程がありますよ」
「おそらくこの記者はアメリカ通ではないですね」
 スペンサーは冷静に言った。
「ただの共和党贔屓ですね」
「それもネオコンの」
「そのことがわかります、今の共和党はどう見ても」
「選挙に負けますね」
「大統領選挙だけでなく」
 同時に行われる知事選、そして上下両院の選挙において。
「惨敗します、これでは両院でも三分の一を維持出来るかどうか」
「それすらも微妙ですね」
「そこまで負けます」
「うわ、オレゴンでも負けました」
 曹長が選挙速報を観て言った、テレビに出たそれを。
「大統領候補の勝ちです」
「また一つですね」
 スペンサーは曹長にも応えた。
「負けましたね」
「はい、これでまた一つです」
「四大州でも負け続けていますし」
「残るはテキサスだけですが」
 四大州の最後の一つ、共和党支持者が多いと言われるそこはというと。
「四大州ですと」
「とにかく大統領の支持は」
「そして共和党自体もですね」
「アメリカ全体でかなり低くなっています」
 だから敗れ続けているというのだ。
「ですから」
「どんどん負けていっていますか」
「最早敗北は明らかです」
 どう見てもだというのである、しかしその新聞記者はまだ共和党寄りというか偏向発言を繰り返す。それを聞いてであった。
 スペンサーはまた言う、その彼について。
「まだこう言うのは」
「本当に日本のマスコミは異様ですね」
 少尉はまた言った。
「夜のニュース番組も酷いですし」
「十時からのですね」
「はい、あれもかなり」
 眼鏡をかけた元プロレス実況開設者がキャスターを務めている番組だ、少尉はその番組について話したのだ。 
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