DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第6章:女の決意・男の勘違い
第23話:心配してるから怒るんだ
(リバーサイド)
ビアンカSIDE
私達の目の前では、アッテムトから戻ってきたマリーが叱られている。
リュカとウルフ君に叱られている。
叱られている理由は、マリーの行為だそうだ。
発端は、エスタークを倒しその直後にデスピサロが登場した事らしい。
アイツは戦う気満々でいたらしく、マリー達はエスターク戦でヘトヘト……とても連戦できる状態ではなかったと、マリーは言う。
その為マリーは一計を案じ、建物を崩壊させ戦闘を回避したのだ。
つまり手加減なしのイオナズンを唱えたって事。
あの娘のイオナズンは危険なのだ……何が危険って、本人がその威力を理解してない事だ。理解してないからどうなるのか予測が出来ないのだ!
戦闘を逃れる為ならば、その場だけの崩壊で十分なはず。
しかし結果として、エスタークの居た城もアッテムトの鉱山も、丸ごと崩壊させるほどのイオナズンを唱えてしまった。無事に生きて帰れたのはウルフ君の的確な指示のお陰……
しかも逃げ出す際に、脇道に逸れアイテム回収をしているから、ウルフ君の怒りも収まらない。
『そんなアイテムより、命の方が大切だろう! 金に目がくらんで死んでいった鉱夫共と同じ死に方をしたいのか!?』と……彼もリュカと同じで、金銭的物欲が少ない。
当のマリーは、『これがあれば気球を飛ばす事が出来るんだもん! 今後の私達には絶対必要なアイテムでしょ!』と反論。
するとリュカが、『そんな事が分かってたのなら、何で建物を崩壊させたんだ!? そんな事せず、後でゆっくり回収すれば良かったじゃないか!』と激怒。
『だから、あの場での戦闘を回避する為には……』とマリーが言い訳をすると、『デスピサロとの戦闘は、ロザリーを人質として示せば回避できたはずだ!』と言う。
つまり“我らを無事に帰らせなければ、ロザリーの命は無いぞ”と言って、デスピサロを引かせれば良かったとリュカは言うの。
私もその通りだと思うし、マリーもそう感じたのでしょう……でも、自らの行いを正当化する為に、この娘の言い訳が続きました。
『ロザリーさんの存在は、その筋では有名な事かもしれないじゃん! ハッタリと受け取られ、攻撃されたらどうするのよ!』
確かにそうね……と私も思っちゃったけど、リュカとウルフ君の同時溜息にそんな事は無いのだと考えを改める。
『ロザリーの事は有名だとしても、最近になって居候を始めたビアンカさんの事は有名じゃないだろ! ビアンカさんの事を言えば、ハッタリではないとデスピサロも気付くはずだ』
『それに、ラピスの事も事細かに説明すれば、お前等が嘘を言ってるとは先方も思わなくなる。ロザリーすら性別も知らなかった彼女の事を説明すればね……』
そうね……流石に上司はラピスの事を知ってる訳だし“ピサロナイトは女で、しかも本名はラピス”と言えば、100%ロザリーを押さえられてると信じるはず。
チラリとマリーが私に目で助けを求めるが、ソッと目を伏せ首を横に振る。
二人とも貴女の事を心配して叱ってるのだから、大人しく叱られなさい。
母親の私に出来るのは、叱られてる娘を見守る事だけ……
ビアンカSIDE END
(リバーサイド)
リューノSIDE
マリーがお父さんとウルフに叱られてた。
リューラや私(特に私)には見られたくないだろうから、あの娘が手に入れた『ガスの壷』を持って、気球を研究しているヒョロ眼鏡の家に行きます。
話が進みやすいように、アリーナ・クリフト・ブライそれとリューラとアローを連れて訪れます。
リューラとアローを除く私達は、以前に訪ねた事があるのでヒョロ眼鏡も気さくに迎え入れてくれます。
寡黙なリューラと喋り方が馬鹿みたいなアローの、自己紹介は任せられないので、私が代わりに紹介しました。
そしてブライに視線を向けると、予め渡しておいたガスの壷を見せつけ、気球完成の依頼をします。
その際、完成に大きく貢献した私達に、無償での気球譲渡をお願いするブライ……
何だか大人の厭らしさを垣間見ました。マリーがやると自然に見えるのに……
するとヒョロ眼鏡が「気球の完成には1週間くらいかかると思います……待って頂けますか?」と言ってきた。
まぁしょうがないわよね。今すぐ造れと言ったって、出来る事と出来ない事があるんだしね。
「ワシ等も暇ではないので、なるべく急いでお願いする」
と、ブライがお願いすると交渉は終了。
あとは時間が解決してくれるだろうと言う事で、私達はお暇します。
ヒョロ眼鏡の家を出ると、目の前の川には私達の乗る大きな船が……
中からはお父さんの声が聞こえ、まだマリーは説教されてるんだと推測される。
何か気まずいし、近くの酒場で一休憩してから戻る事に……酒場と言っても、昼間なので酒は出ない。喫茶店代わりに使用するだけだ。
不味いコーヒーを飲みながら他愛ない話をしていると、アリーナから疑問が一つ。
「ねぇ……気球が手に入ったら、あの船はどうするの? まぁトルネコの持ち物だし、私達が気に病む必要はないのだろうけど、水夫達にも世話になったのだし、放置する訳にはいかなくない?」
う~ん……確かにその通りね。
今後は必要ないのに、所有してるだけで維持管理費が発生する。
売り払いたいけど、トルネコが私財を投じて造った物だし、勝手な事も出来ない。
「お父さんとウルフに相談して、何らかの打開案を出してもらいましょう」
他力本願的で申し訳ないけど、私達には荷が重すぎて結論を出せないので、困った時のお父さん頼み&有能ウルフ頼みでお願いしちゃいます。
二人に頼めばどうにかしてくれそうな気がするし、船と共にトルネコとお別れってのも、あの二人から言い出してくれれば実行しやすいわよね。
破天荒な事を平気で出来るお父さんで本当に良かったわ。でもウルフは、そうなってほしくない……
リューノSIDE END
(デスパレス)
デスピサロSIDE
危うく生き埋めに遭いそうになり、屈辱ながらも帰還した我々。
人間があの様な場所に居るとは……そしてエスタークを打ち倒す事の出来る連中が居るとは……
些か人間を過小評価してたのかもしれない。
こうなると当初からの計画は断念し、軌道修正をしていくしかないだろう。
エビルプリーストとも話し合い、今後の事を再検討していきたいのだが……
どういう訳かエビルプリーストの行方が掴めないでいる。
他の者に聞くと、どこかの町でロザリーを発見したらしく、救出に100体ほどの部下を連れ向かったらしい。
たかだか人間の町を襲うのに、100もの軍勢が必要だとは思えないのだが、そんな状態のエビルプリーストが行方知れずになっている。
もっと詳しい事を知りたく、他の部下達にも話を聞いた。
すると、ある者から衝撃の事実を聞かされる。
何とエビルプリーストが撃退されたというのだ!
奴と共に人間の町に出向いた者が、たった一人の人間にやられたと言ったらしい。
『らしい』と言うのも、その者もデスパレスに辿り着くなり息を引き取り、それ以上詳しい情報を聞き出せなかったという。
その為、その町が何処なのか……エビルプリーストは今何処なのかも判らないのだ。
たった一人の人間に、あのエビルプリーストが負けるとは……一体どんな奴だろうか?
私でさえ奴とまともに戦ったら、辛勝するのが精一杯だろう。
楽に勝てる相手ではない。
勇者を殺し、順調に計画が進んでると思ってたのに……
何やら暗雲が立ちこめてきた。
せめてロザリーだけでも無事確保できていれば良かったのに……
今後はロザリー捜索と平行して、エビルプリーストの捜索も実行しなければならないだろう。
くそっ……問題ごとが山積みだな。
デスピサロSIDE END
後書き
そろそろデスピーに勇者生存を気付かせる予定だったのに……
殺したと思い込んだまま物語が進んでいく。
まぁそれはそれで良いか!
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