万華鏡
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第五十三話 音楽喫茶その十一
「それね」
「ああ、どうだよそれで」
「普通のステージ衣装じゃ野球グッズはね」
「何かチグハグになるだろ、けれどな」
「学校の制服ならね」
それならとだ、景子も頷いて言う。
「いいわね」
「そうだろ、かえってその方がいいだろ」
「ええ、じゃあ」
「ただな、思わない位に掘り出しものがあったからさ」
美優は他の十球団、日本を蝕む悪性腫瘍巨人以外を除いた楽天も入れれば十一球団の歴代ユニフォームと帽子を見つつ四人に言う。
「ここは半被と帽子はさ」
「チェンジしていくのね」
「そうしていくのね」
「阪神っていったら六甲おろしでさ」
これはもう言うまでもなかった、やはり阪神はこの歌だ。
「他のチームの曲も歌うか」
「ヤクルトとかソフトバンクも」
「そうしていくのね」
「ああ、そうしたら面白いだろ」
こう笑顔で言うのだった。
「他の球団もな」
「そうね、それじゃあ」
「それでいきましょう」
「ああ、ただな」
ここでだ、また言う美優だった。今度は微妙な顔で話す。
「一つ問題があるだろ、六甲おろしは歌えるけれどな」
「他のチームの歌も歌うってなると」
「それは」
「あたし西武とかの曲知らないぜ」
美優は微妙な顔になって四人に言った。
「ちょっとな」
「そうよね、それは」
「阪神以外のチームの曲は」
「阪神以外はね」
「私達も」
「ああ、知らないからな」
美優はやや困った顔で言う、そしてここでだった。
四人にだ、こう言うのだった。
「じゃあ今から携帯で調べるか」
「そうね、それじゃあね」
里香も美優に応えてそうしてだった、携帯でユーチューブにつないでそれで様々なチームの曲を検索していく。他のメンバーもそれに習うと。
すぐに他のチームのものも出た、しかもだ。
「西鉄ライオンズ出たわよ」
「ええ、東映フライヤーズも」
琴乃と彩夏はこの二チームの名前を見て目を瞠った。西鉄は西武の、東映は日本ハムの前身のチームだ。
「また凄いチーム出たわね」
「私達が生まれる前のチームじゃない」
「こんなチームの曲も出るなんて」
「何か凄いわね」
「おい、西鉄の帽子だよなこれ」
美優は服の山から最早伝説となっている帽子を見付けた。
「これ白黒でしか見たことないけれどな」
「それ間違いないわ」
里香は何処からか野球ユニフォームの図鑑を出して見比べながら答える。
「三原監督の時の西鉄ライオンズよ」
「その頃のかよ、よりによって」
「こんなのもあるのね」
驚きを隠せない顔で言う里香だった。
「凄いわね」
「ああ、あたしもはじめて見たけれどな」
「西鉄ライオンズねえ」
「こんなのあるんだな」
ユニフォームや帽子だけではない、球団歌もあるから皆驚いているのだ。そしてその他にも探せばあった。
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