鉄槌と清風
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60部分:59:良彦&セプトVSヴィータ&ツヴァイ
59:良彦&セプトVSヴィータ&ツヴァイ
シグナム&シャッハと新人+1とヴィータ&良彦が、模擬戦を繰り広げた次の日、エリオとスバルのこんな会話が交わされた。
「良彦さんとセプトって、ユニゾンするとどんな能力なんでしょう?」
「そういえば、気になるね…確かツヴァイ曹長とはやて部隊長、シグナム副隊長、ヴィータ副隊長もユニゾンできるって聞いたし、そっちもどうなるんだろう?」
そうやって食堂でもりもり食事していると
「我とロード良彦のユニゾンか、説明より実際みるがはやかろうな」
「私も、構いませんよー、今日はヴィータちゃんが良彦さんといるはずですから丁度良いですしね」
二人揃って机の上で小さな食器で食事していたセプトとツヴァイがそういい。
「面白そうな話やな、どうや良彦君、ヴィータ?」
聞いていたはやても振って来て
「俺は問題ねーぞ、ユニゾン状態での模擬戦もしたかったし」
「あたしも問題ねーな…良彦、負けたほうが今度夕飯おごりな、当然セットでデザート美味い所」
「おっけー、そっちも忘れるなよ、それ」
お互い言い合い、パンっと手を打ち合わせる、二人の肩にはそれぞれ、セプトとツヴァイが乗っかり、準備万端だ。
そのまま、海上訓練スペースへと場所を移す、新人+1となのは、はやてが見学者だ、他は捜査などで出かけている。
海上訓練スペース、今回の設定は森…まぁ、空戦の二人なので、あまり意味はなさそうだが。
その真ん中で、二人がそれぞれ騎士甲冑に身を包んでいる。
「ゼピュロス、モードドライ」
『了解、モードノトス』
ゼピュロスの声と共に、魔力、風、どちらも良彦の周囲で圧縮されていく、外見の変化は今は見られない。
「どれ、ユニゾン…イン」
セプトの声と共に、青い光りに成ったセプトが良彦に吸い込まれる。
一瞬青く光り、良彦の外見に少し変化が起こる、髪は青のまま、少し長くなり、瞳は青と緑の虹彩異色、青の騎士甲冑は空色に、無骨な鋼色の籠手は金色に変化する。
「へっ、それが良彦とセプトのユニゾンか、こっちも行くぞツヴァイ」
「はいです、ユニゾン…イン」
白い光りになったツヴァイがヴィータに吸い込まれ、赤い髪が桃色に、赤いジャケットは白に変化する。
「準備おっけーだな、いくかセプト」
『うむ、同調のレベルも上々、問題はない』
「こっちもだ、ツヴァイ頼むぞ」
『はいです!』
青と赤の魔力光を引き、上空へ上がる二人、ある程度の高さで止まり、お互いに構える。
良彦は何時もどおり、左手を顔の前、右手を腰に。
ヴィータはアイゼンを下向きに構え、左手を前に出している。
「清風の騎士八坂良彦と北風のゼピュロス、そして融合騎セプテントリオン」
「鉄槌の騎士ヴィータと鉄の伯爵グラフアイゼン、そしてリインフォースツヴァイ」
「いざ尋常に…」
「…勝負」
お互いの声と共に、同時に動き出す、お互いに一気に接近し…良彦は右掌打、その手のひらには目に見えて青い魔力と風が圧縮されている。
ヴィータはアイゼンを下から振り上げ、此方も赤い魔力をまとい、普段以上の威力を想像させる。
お互いに基本となる攻撃を…良彦は更に踏み込み、懐にはいりながら右手を振りぬきつつ、左手に風を纏わせて、『凪』の範囲に入ったアイゼンの先端を『弾く』。
ヴィータは今まで経験したより『凪』の制動が強い事を感じながら、ツヴァイが強化した力を持って振りぬこうとしながら、良彦の左拳でアイゼンの先端の方向をずらされる。
が、その間に懐に飛び込んでくる良彦の右掌打を待っていたという感じで、自分の右手で『弾き』きってみせる…良彦と共に修行したヴィータは『弾き』『捌き』は身につけている、『凪』は無くとも、歴戦の戦士としての感覚が自分に迫る攻撃を察知させているのだ。
お互いの攻撃の軌道がそれ、一瞬ですれ違う、次の瞬間。
「『貫き!』」
「『フェアーテ!』」
良彦&セプト、ヴィータ&ツヴァイの声が響き、一瞬青と赤が離れ、次には再び交錯する。
「風拳・嵐」
至近で風の刃を繰り出す良彦、普段以上の範囲威力の嵐が発生する。
「アイゼン」
『了解、ギガントフォーム』
ヘッド部分を巨大化させたアイゼンで、生まれる風の刃を叩き潰し、一瞬で切り返し、アイゼンを振りかぶり、振り下ろす。
「ちっ、重量があるから、なっ」
『じゃが、逸らせば問題なかろう…烈風強化』
右拳に纏わせた魔力と風をアイゼンのヘッドに叩きつけ、『弾く』、普段より圧縮され威力の上がった烈風が巨大化したヘッドを回転させながらずらし、再びすれ違い一瞬距離が出来る。
「ここだ、コメートフリーゲン!」
『速度加速!』
頭大の鉄球に赤い魔力を纏わせ、ギガントのヘッドで打ち出す、普段以上の加速を与えられたそれが良彦に
「一点集中…」
『魔力、風圧強化』
不可視の『凪』が一瞬だが、コメートフリーゲンの着弾予想位置で青い光りを増す、其処へ予想通り着弾したそれの赤い魔力を相殺し、風が纏わりついて、動きを止める。
「さすがに、これは投げ返せねーな」
動きの止まった鉄球が地面に落ちるに任せ…
「セプト、『音貫き』から、『無風』を使う」
『…ロード良彦、できるのか?』
「多分一回なら、大丈夫だろ」
『判った、サポートはしよう』
セプトと言葉を交わす。
「ツヴァイ、良彦が全力で来るぞ、こっちも全開だ」
『はいです、反射速度強化、騎士甲冑出力全開」
ヴィータとツヴァイも次の一撃に全力を乗せる準備を行い。
「行く、ぞっ!」
『身体強化全開』
良彦の頭の中でスイッチが切り替わる、ゼピュロスがカートリッジを2発ロード…増えた魔力は良彦の身体強化に使われる。
純粋な体術で音を貫く…辺りがモノクロに見え、ヴィータの動きが遅く感じられる、其処へ近づき…目の前で『音貫き』は解け、瞬間移動したようにしか回りには見えなかっただろう。
そして、一切の前動作『無』しに振りぬかれる拳…足から腿、腰、肩、全ての動作が連動…がヴィータへ打ち込まれる、その拳と共に『風』が打ち込まれ、ヴィータの腹に当たる。
当たった腹から体内に衝撃が広がり、風がヴィータを吹き飛ばす。
だが、同じ瞬間…良彦がヴィータの目の前に現れた瞬間に、ヴィータも動いている。
魔力を込めたアイゼン…ギガントモード…に二人分の魔力が注ぎ込まれ、良彦を打ち据える。
『無風』に打たれながらも、ギガントハンマーをカウンターとして打ち込んだのだ。
結果として、ヴィータは吹き飛び何本かの木を折りながら地面に打ち付けられ。
良彦は真下に落とされ、地面にクレーターを作る。
お互いに、暫く動かなかったが、少しして、立ち上がってくるが、ふらふらで…
「そこまでや、これ以上は危険そうやし、引き分けで終了やで」
はやての鶴の一声で模擬戦は引き分けとなった。
二人の中から、セプトとツヴァイがこれまたふらふらと飛び出してくる。
「ってー、つかあそこでカウンター選ぶかよ」
「おめえは、あれ使うとき正面からくるかんな、それに『音貫き』の間は攻撃まで出来ねー、現れた瞬間にこっちも攻撃するくらいしか手がねーんだよ」
「しょうがねーだろ、攻撃まであの状態ですると負担大きいから、無茶になるんだよ」
「模擬戦でその無茶したら、ぶっとばす」
「だからしてねーだろ」
言い合いができるあたり、まだ元気ではあるようだ、お互い地面に衝突したがかすり傷程度だし。
「お二人とも、大丈夫ですか?」
「怪我とかしてませんか?」
ティアナとキャロが心配してる中
「凄かった、ねー、エリオ」
「はい、一瞬の攻防の中、しっかりと鍛えられた技が、もう!」
スバルとエリオは興奮していた。
「なんていうか、接近されたら勝てないよね、あれ」
「そやね、ユニゾン状態ならシグナムやシスターシャッハでも勝てるんちゃうか」
なのはとはやてがそう言い、苦笑している。
「あー…それは無し、自力で勝つから意味がある」
「ま、この修行バカはそういうよな」
「ともあれ、良いもんみたし、今夜は私が4人に腕を振るって美味いもんつくッたるわ」
良彦、ヴィータにそういってくるはやて、それに喜ぶ4人、羨ましそうななのは、新人達は羨ましそうだが部隊長に強請るのも悪いかなと言う顔、ギンガは良く判ってない。
「ま、当然みなにも一緒に作るよ、4人にはデザートのランクアップで手を打ってもらうし」
その様子に気付き、そういうはやてに皆が喜んだ。
で、シャマルによる一応の検査と食事の後、良彦の部屋。
「ユニゾンで一番大きいのは、やっぱ『凪』の強化なのか?」
ヴィータが何時もの格好で聞いてくる。
「だな、出力が全体的にあがるから、あの状態ならAランクくらいの砲撃まで防げるし、見せたとおりコメートくらいなら質量あっても止められる、後は多弾着弾時にも相殺しきれる位か」
「なのはのディバインシューター全弾とか、フェイトのプラズマランサー全弾とか…あとは108でよく受ける複数人数による集中射撃とかもか?」
「あぁ、セプトが魔力、風の制御と、並列思考も強化と手伝いしてくれるんだ…まぁ、前2個が出来ないとモードノトスは使えないんだよな、魔力増幅が強すぎて自分でダメージ食らう」
「だから、ノトス使わなかったのか」
「ノトスを使わぬ時に我とユニゾンしても余り効果はあがらんしな、精々風と魔力の制御率が数%上がる程度だ」
「そうなのか…お前らでフルドライブするとどうなるんだよ」
そのヴィータの言葉に一瞬考え
「『貫き』だけで、ガジェットは落とせるな、風の結界を強化してあのくらいなら切り裂ける」
「さらに『凪』の効力もあがるの、恐らくAAランクまでなら砲撃対応できるじゃろう」
「はー、すげーな」
「とはいえ、できれば使いたくはねーな、疲れるし」
「うむ、数日動けぬようになるじゃろうしな」
「あぁ、なんとなく判る」
苦笑する二人に頷くヴィータ。
「しかし、ヴィータも八坂流合気術の腕、上がったな」
「誰のせいだ、誰の」
「ま、おれだなー」
ぽんぽんとヴィータの頭を撫で
「全くだ、良彦に染められちまったよ」
「いやか?」
「んなわけ、ねーだろ」
ころんと良彦の肩に頭を預ける。
「相変わらず、仲が良いな、主ら」
「セプトに隠す意味はないしな、言いふらす性格でもねーし」
「家族だかんな、隠し事はいらねーだろ」
「では、ツヴァイともこういう会話をしていいわけだな」
「………ストロベリーアイス」
「…もう一声」
「チョコとバニラ」
「うむ、良かろう」
良彦とヴィータの提案に頷くセプト。
「…はぁ、寝るか」
「うん、そうするか」
セプトも頷く、いつもより一寸長く、深いキスをして眠りについた…模擬戦で興奮していたらしい。
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と言う訳で、カップルが対戦しました。
ちなみにセプテントリオンという名前は、北風の神の別名の一個です、それゆえ北風のセプテントリオンと付けてみました。
次回は地上本部公開意見陳述会辺りのお話になると思います。
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