八条学園怪異譚
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第五十三話 空手部主将その十
和風の趣きはある、だがだった。
「ここも違ったね」
「そうね」
二人で顔を見合わせて更衣室の中で話す。
「ここもね」
「そうだったね」
「じゃあ次行く?」
「次の場所にね」
こう話す二人だった、そして更衣室から出て大田と茉莉也の傍に戻ってそのうえで話した。
「ここも違ったです」
「泉じゃなかったです」
「また次の場所に行きます」
「そうします」
「そう、じゃあ次はね」
何処に行くべきかとだ、茉莉也は二人に話した。
「パレードに一緒に行ったら?」
「パレード?」
「この学校で、ですか?」
「夜のね、百鬼夜行とも言うけれど」
それに同行してみてはというのだ。
「そうしたら?」
「私も百鬼夜行は知ってますけれど」
愛実も百鬼夜行は知っている、それは真夜中に幽霊や妖怪達が集まって街を練り歩くものだ。京都でもよく出た。
「この学園にもあるんですね」
「そうよ、あと学園のコンビニにも」
茉莉也はもう一つ泉の場所を出した。
「夜に行くと皆お店の前に集まってるから」
「学校の何処のコンビニですか?」
「大学、医学部の校舎の近くにあるお店よ」
そこだというのだ。
「あそこもそうだから」
「あそこもですか」
「泉の候補地なんですね」
「そうよ、あそこもね」
そうだというのだ。
「行くといいわよ」
「わかりました、百鬼夜行とコンビニですね」
「その二つですね」
「そう、ただ本当にね」
ここでだ、茉莉也は考える顔で二人に言うのだった。
「学園の怪談スポットも減ってきたわね」
「そうですか、もうですか」
「減ってきていますか」
「だって、もう何十も巡ってるじゃない」
そうしてきた、だからだというのだ。
「減るのもね」
「当然ですか」
「巡っていくと」
「そもそもうちの学園広いから七不思議どころじゃないじゃない」
俗に学校の怪談話は七不思議と呼ばれている、どの学園にも不思議な話は七つはあると言われているのだ。
しかしだ、八条学園は広く大きな学園だけになのだ。
「何十もあるでしょ」
「二十や三十じゃ効かないですね」
「それこそ無茶苦茶多いですね」
「そうでしょ、多いでしょ」
茉莉也は二人にこのことから話すのだった。
「けれど巡っていれば減っていくから」
「それで、ですか」
「本当にあと少しですか」
「もう幾つあるかしらね」
茉莉也は腕を組み巫女服姿で言った。
「両手の指で数えられる位よ」
「本当にあと少しですね」
「私達が泉に辿り着くのは」
「まああんた達が泉をどうしたいかは知らないわ」
茉莉也もそのことは知らない、とりあえず二人が探していることは知っているがだ。
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