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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二章
  潜入×帰宅

装備を整えたころと既に準備済みの俺は、稲葉山城の裏に来ていた。裏からなら忍び込みそうだなと思った俺ところは山登りを開始した。しばらくすると獣道を発見したので、登り続けたらころが俺に聞いてきた。

「一真様は天から降りてきた方なのにこういうのも得意とは、それに野武士のような事も得意ですし本当に不思議な方です」

「野武士って確か仕官してない武士の事だっけ?」

「正確には俸給をもらっていない武士、の事ですね。仕える主君もなく、自分で銭を稼がなければならない。・・・・自然的に名誉とか堂々とか、そういった事を考えなくなってしまう者が多いです。だから素破乱破の真似事をして日銭を稼ぐ者もいるし、山賊や盗賊に身をやつす者もいる。だからこそっと言っては何ですけど、そういう経験があるからこそ潜入や工作術に長けてる者が多いんですよ」

「なるほどな、だが俺がいた世界だってこういう事は普段部下に任せていたからね。自分がやるって事はほとんどなかったよ」

しばらく話してたら忍び込みが出来そうな所を発見した。稲葉山城三の丸辺りだところが言っていた。

「三の丸って言うのは?」

「ここより上の方に二の丸。で、その先が本丸があるって感じですね」

「分かった。ちょっと忍び込んでみるからころはここにいてくれ」

と言って俺は再び透明の聖剣で自身を透明にして忍び込んだ。今は人がいないからな。で、二の丸と本丸に近付いたが人っ子いないって感じだった。三の丸と二の丸と本丸には旗が立っていたが、久遠が聞かされていた旗とは違っていたのでメモ用紙に書いておいた。三の丸が上がり藤で、二の丸の方には折敷に三文字の紋であともう一つあるのは地抜き巴の紋で本丸には九枚笹の紋だった。あとでころに聞いてみるか。とそろそろ夜になりそうだったので、三の丸付近にいたころと合流したのだった。

「どうでしたか?」

「人っ子一人いなかったけど、よく分からない紋があった。これを見てくれ」

メモ用紙をころに見せると少し考え出したがしばらくしたらこう答えた。

「美濃で上がり藤だと考えると、西美濃三人衆の一人である安藤守就殿ですね。二の丸にあった折敷に三文字は稲葉良通殿と地抜き巴の紋は氏家直元殿。この二人も西美濃三人衆の人で、あと九枚笹のは美濃の出来人、竹中半兵衛重治殿の家紋ですね」

「なるほど。絵を書いてきて正解だったな、ところで出来人って何?」

「別の言い方をすれば麒麟児とか、天才とか、そういうものになるでしょうか。最も出来人という評判は尾張でこそあれ、美濃では変人扱いされてるようですが」

麒麟児ねえ。あれかな、まるで雪蓮とかそういう事かなと思ったがさすがに変人って言ったら落ち込むよな。だけど、尾張と美濃で評価が違うなと考えていたらころは織田が美濃に討ち入った時にほぼ九割にあの九枚笹に翻弄されて撃退されてると。尾張では凄いと思っていても、美濃からすれば九枚笹ではなく美濃八千騎が凄いから織田に勝てたとか。たぶんだが、恐らく正当な評価を貰えずに鬱憤がたまって叛旗をした。仲間を誘って本丸でドヤと思っての笑顔をしているはず、バカとはやっていられない独立を決意とこんなもんかな。そろそろ夜になるから俺ところは宿に戻った。戻った後に俺は汗一つかいてなかったけど、ころは汗でベタベタらしいから風呂に入りたいとか。あとひよから聞いた情報はあまりなかったが、とりあえず人気がなかったのと俺達が町で感じた通りだったらしい。まあ徒士とは会わなかったらしいから良かった。

「とりあえず明日は俺が町に行って情報収集を務めるから、ひよところは先に尾張に戻ってて。一人の方が情報集めやすいと思うしね」

「分かりました。本来なら反対ですけど、ひよを護衛するという任務ですよね?それにお頭はあの壬月様と仕合して勝ったと聞きますから」

とりあえず二人は俺より先に風呂に入った。俺は今日集めた情報をノーパソで打ち込んだ。旗の事と首謀者は誰だったのかを・・・・二人の声が聞こえたので俺はノーパソを空間の中にしまってから風呂に入った。質素ではあったが、宿の料理を食ってから布団に入った。幸いよく寝れたけど、スマホのアラームを鳴らすのはやめてバイブで起きた。

「それではお先に行きます。お頭も気を付けて」

「任せておけ。それに人に聞くのは得意な方だからな、二~三日で戻ると久遠に伝えておいてくれ」

尾張に向けて出発した二人を見送ってから市に来たが、清州より元気がなかった。確か座の力が強いんだったか、商人組合といえばいいのかな。同業者達が集まって値段や販売量を決めるとかだったか。

清州では久遠がその座を廃し、誰でも尾張で商売できる楽市っていう制度にしたんだったな。ただ美濃だってこんなに静かではなかったようだ、先々代の利政は楽市制度をしててとても賑わっていて金もたくさん持っていたそうだ。だが先代の義龍って奴は、旧来の制度に戻したと同時に久遠が楽市制度にしたから、美濃の商人が尾張に流れてきたんだと。

さて、考え事はよして俺は人気のない場所で服装をチェンジした。行商人の格好にした。そして色々荷物をしょってからその座の人に聞きに行った。しばらくお店の主人と話していたら首謀者が判明したが、やはり考えてたのと同じで首謀者は竹中半兵衛氏と西美濃三人衆が協力してるらしいな。案外竹中氏の事は歓迎してたみたいだったが、対して現当主だった龍興氏は評判が悪かった。先代と当代で座は解放されてたけど、さっきの主人は年配だったからきっと先々代の方がよかったとか思ってるのかな。ちなみに今の服装は行商人からいつもの格好になったが、こっちの方が楽。

「まあ周囲の人達に協力して全体の掌握をしてもいいが、果たして竹中氏本人はその気になるかどうか・・・・」

「その気はないでしょうね、きっと」

俺は声に出してたようで後ろを振り返ってみると少女がいた。歳はひよところ位か。

「こんにちは」

「こんにちは嬢ちゃん。で、名前は?」

「詩乃と申します」

「俺は一真と言う。よろしくな、詩乃。で、何で竹中氏はその気はないのだと思うのかい?」

「どうもこうも。竹中さんには野心がありません。多分、馬鹿な人達に馬鹿にされた事が我慢できなくなったんだと思います」

「ほう。ではその意趣返しで稲葉山城を乗っ取ったと・・・・そう言いたいのか?」

「難攻不落の城などと言うものは、この世には存在し得ません。敵は外だけであらず、内にもあり。と仰っていました」

まあ確かに難攻不落な城なんてないよなぁ。俺だったら空からのパラシュートで降りてそのまま本丸まで一直線だし。降下作戦でやった事あるけど、優秀な指揮官じゃないと出来ない事だしな。

「そういえば詩乃は竹中氏の事をよく知っているようだけど」

「はい。・・・・ちなみに貴方の事も存じ上げておりますよ」

ほう、俺の事をね。確かに俺の服装はこの時代とは違うけど、この嬢ちゃんは恐らく俺の考えた通りの人なんだと認識した。

「そうだ。最後になるが、もし竹中氏に会ったら伝言を頼めるかい?」

「伝言、ですか」

「そうだ。いつか必ずあなたを手に入れて見せるとね」

「・・・・・・・・・・・・・・っ!!」

反応からしてビンゴかな、一瞬だが前髪に隠れていた目が見えた。まあこの反応を見る限りこの嬢ちゃんは、竹中氏本人だと見た。

「ど、どうしてそのような事を?」

「主家の本拠地である稲葉山城を落城させると言う事をしたんだ。竹中氏はきっともう美濃にはいられないだろう。主に追われるか、世を捨てるか、きっとそうなると俺は思う。稲葉山城をいや織田を簡単に撃退させた位の頭脳を持っている君を欲しい事や、もし危なくなったら必ず助けに行くか君を攫って行くとも言おうか。この世を捨てる位なら俺がもらうと・・・・」

と言ったら動揺を隠せないでいたが、冷静になっていた。真正面に俺の思いをぶつけたからこうなった訳だが。

「わ、私は半兵衛殿ではありませんよ・・・・」

「分かってるさ、ただ伝言として竹中氏に伝えてほしい。では俺は失礼させてもらうよ。じゃあな」

俺が去った後なのだが、詩乃と呼ばれた少女はこう言っていた。というより盗聴器を仕掛けたからな。

「・・・・あれが、天人、織斑一真ですか。まさかあれ程の人物とは。ですが・・・・あんなに真っ直ぐな心で言われたのは生まれて初めてです。この・・・・胸のときめきはどういう事でしょう?トクントクンと、心が痛くなってくる・・・・だけどとても幸せな気分。一真・・・・・・様」

俺が去った後に通信機で聞こえたのはこういう事だったか。盗聴器を空間切断で回収した。空間からバイクを取り出してから井之口から静かに脱出し、尾張に向かおうとしたが途中西美濃と東美濃を軽く見て回ってから、尾張の長屋に戻ったのは二~三日経った時だった。バイクで帰ったのはよかったのだけど、長屋に向かう時に城下町はパニックになっていた。何せこの音だ・・・・何事だと思ったのが多いだろうがとりあえず長屋までは微速前進で帰った。長屋の前にはひよところがいたが、何か構えていたがヘルメットを取ると俺だと分かり構えを解いた。まあこの時代にこんなのはないからな、降りた後空間に戻したら近づいてきた。

「お、お頭。驚きましたけどお帰りなさい。随分早いですね」

「ああ、ただいま。とりあえず美濃の事は詳しく調べてきたからな。とりあえず食事にしようから準備させるか」

と言って俺は長屋にある俺の部屋に入ってから、空間切断でトレミーに行き厨房で食事を三人前作ってから食事を空間に入れてから戻った。俺が空間から戻ってきたからさすがに驚きはしなかった、ひよところ。俺の部屋で机に置いてから食べ始めた。久々に俺の料理に美味しい美味しいと言ってくれるのは嬉しい事だ。  
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