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魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~

作者:白鳥才牙
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『第二十四話』~会談~

 拓斗side

 翌日俺は、なのはとユーノを連れて公園に来ていた。


「ね、ねぇ拓斗君?」

「なんだ?」

「その手につけているのは何?」

「ハーフフィンガーグローブ。こっちの方が戦りやすいからな」

「にゃははは……やっぱり」


 当然だ。あの屑がいるんだ。いつでも殺れるようにしないと。
 因みに今はソウルプロテクトを付けたままだ。

 近くのベンチに座っていると、あちらも来たみたいだな。
 昨日の屑に、艦長さん、あと一人分からないが女性が一人。


「改めて自己紹介ね。時空管理局提督、戦艦アースラの艦長リンディ・ハラオウンです。で、こちらが」

「同じく時空管理局執務官クロノ・ハラウオンだ」

「時空管理局執務補佐兼アースラ通信就主任エイミィ・リミッタです。よろしくね」


 最後の人はずいぶん元気だな、好感が持てそうだ。


「高町なのはです」

「ユーノ・スクライアです」

「月詠拓斗」


 そういって管理局組も向かいのベンチに座った。


「それよりも君も元の姿に戻っていいと思うが」

「そうですね。じゃあ「待て、ユーノ」え、なに?」


 いや、少し考えろユーノ。


「まさかとは思うがここで変身を解くつもりか?」

「そうだよ?「周りを見ろ」周り……あ……」


 はぁ、全く。


「ふぇええええええええ! ユーノ君人だったの!!?」

「なのはうるさい。周りの視線が痛い」

「うっ。ごめんなさいなの。でも、拓斗君はなんで驚いていないの!?」

「最初ユーノを見た時思ったのは、なのはの使い魔かもしくは変身魔法をつかった人間の二択。前者じゃなかったから人間だってわかった。それに変身するようなヤツは山ほど見て来たからな」


 そう説明しながら周りに認識阻害結界を展開する。


「もういいぞ」

「うん」


 そういうと光にユーノが包まれ、それが晴れると人になったユーノがいた。
 その後は、また驚いたなのはを黙らせるのに必死だった。
 ちなみに、


「ね、ねぇ。拓斗君。なんで手にハーフフィンガーグローブ付けてるの?」

「無論、うまく殴れるようにだ」


 クロノは俺の手を見ると顔が真っ青になってガタガタブルブルと小刻みに震えていた。
 どうした? トラウマになっちまったか?











「――というわけです」


 ユーノがこれまでの事を話し終えた。


「そう。立派ね」

「だが、無謀でもある」


 今のはクロノに同感だな。


「ほっておくと街や大切な人達を巻き込んじゃうから、そうしないために集めていました」


 なのはが答えた。


「そうでしたか……では、次はこちらから」


 リンディは時空管理局やロストロギア…………ジュエルシードについて話し始めた。















「なるほどな……」


 ロストロギアとは進化し過ぎた文明の危険な遺産。使用法によっては世界どころか次元空間さえ滅ぼしかねない危険な技術であるらしい。そういった危険物の封印と保管をするのが管理局の仕事の一つだそうだ。ジュエルシードはそんなロストロギアの一つで『次元干渉型のエネルギー結晶体』で、複数発動させることで次元空間に影響を及ぼす『次元震』と呼ばれるものを引き起し、最悪の場合、幾つもの並行世界を壊滅させるほどの災害『次元断層』の切欠になる、と。


 次に管理局。 管理局は簡単に言えば軍隊・警察・裁判所の3つを統合した、強大な組織。ロストロギアを確保・管理する事が時空管理局の任務の一つらしい。
 ………ソウルに調べてもらって思ったが……叩けば叩く程埃が出そうだな、その組織。管理というより支配の方が合っている気がする。これでは独裁体制国家と変わらない。

 それに世界の消滅……ずいぶん話が大げさだな。その通りだけどあんな小さい宝石で世界が何個も崩壊なんて、世界はかなり安く出来てるな。


「世界の……崩壊」


 なのはが真に受けている……次元震はなのはが身をもって経験したしな。


 今の内に釘でも刺しとくか?
 ……利用されるかもしれないしな。
 そう思ってリンディの言葉を一つ一つ聞き逃さないようにしていた。


「ところで高町さんは聞いたけど、月詠君。なぜあなたはジュエルシード集めをしているのかしら」


 リンディの質問を受け大雑把にだが説明をした。

 ユーノとなのはが出会い、なのはが危険な目に合わないために最初は死神と名乗り正体を隠しながらも助けた事。

 ジュエルシードを集めている途中で出会ったフェイトという子。

 だが、たがいに理解を含め良い好敵手になっていったこと。

 そして互いに協力し合って封印した昨日のことを。


「クロノ君……」

「な、なんだ?」

「キミ…空気読もうよ。確かに止めるのも大切だけど、あのタイミングは無かったと思うな~」

「う…しかしだな……僕はやるべき事をやっただけであって……」

「まぁ仕方ないか。キミ、昔からそうだったもんね」

「………」

「あれ? 怒っちゃった? も~~冗談だよ~~♪」


 どんどん落ち込んでいくクロノ。


「まぁ、なんだ…その……気にするな……」

「ああ……ありがとう……」


 出会いはアレだったけど、コイツとは仲良くやれそうだな。


「コホン……そろそろいいかしら?」


 リンディがワザとらしく咳をする。


「どうぞ」


 そういって俺はコーヒーを飲む。苦い、砂糖を入れた方が良かったな。
 リンディも近くにあった極甘珈琲を口にして、


「これよりロストロギア・ジュエルシードの回収については時空管理局が全権をもちます」

「「え……」」

「へぇ、後からやって来た分際でよくそんな大口が叩けるな……つまり何か? 管理局が来たから最初からやっていた俺らはもういらないと?」

「口が悪いな……まぁ、言ってしまうとその通りだ。君達は今回のことは忘れて、それぞれもとの世界に戻り普通の生活を送るといい」

「でも、それは!!」

「次元干渉が関わっているんだ。民間人を出る話じゃない」


 なのはが反論するが、クロノは聞く耳を持たない。


「まあ、急に言われても気持ちの整理も出来ないでしょう? 一度戻って、ゆっくり三人で話し合うといいわ。その上で、改めてお話ししましょう?」











 ―――――――は?


 こいつ今何ていった?……………なるほどね、結局はそういう事か………


――パチパチパチパチ……


 俺は思わず拍手をしていた。


「……………何かしら?」


 リンディが俺の気配の変化に気づいて僅かに警戒している。


「いや、実にいい演出だと称賛しているんだ」

「おい、何を言っているんだ?」

「クロノ………お前さっきのリンディの会話、何か気付かなかったのか?」

「何の事だ?………」

「……『これより、ロストロギア、ジュエルシードの回収については、時空管理局が全権を持ちます』」

「!?」


 俺はリンディの声で先ほどリンディが言った事を復唱した。


「いくつか質問をしよう」





 リンディside

「いくつか質問をしよう」


 拓斗君がそう言った瞬間、圧倒的な威圧感が私にのしかかる。


「まずクロノ、先程のリンディの言葉の後、お前は何て言った?」

「確か、次元干渉が関わっているんだ。民間人を出る話じゃないだったな」


 戸惑いながらクロノがそう答える。


「そう、じゃあ次にリンディ」

「な、何?」

「民間人が出る話ではないのならば、なぜ『ゆっくり話し合った』後、『改めて話す』必要があるんだ?」

「た、拓斗君?」

「どうしたんだ?」


 なのはさんとユーノ君も彼の態度に驚いている。


「『民間人が出る話じゃない』のなら、民間人である俺達の気持ちの整理など必要無いよな? どうも矛盾するんだよな~、お前の発現は」

「拓斗君、私は「言い訳を聞きたいんじゃない」ッ!!」


 私は、拓斗君に胸倉を掴まれる


「な、何をしてい「動くな、動いたらこの女を殺すよ?」っ!!」


 その言葉と同時に首にヒンヤリとしたモノが当てられる。なに? ナイフ?


「流石艦長になった者なだけはある、人の上に立つその能力は称賛に値する……だが相手を子供と言う先入観で見過ぎたな」

「……………………………」


 今の私は顔が青ざめている事だろう。顔から血の気が引くのがわかる。


「どうしたんだよ? 俺は褒めてるんだ、少しは喜んだらどうだ?」

「拓斗! 管理局の人に何やっているんだ!」


 ユーノ君が拓斗君の肩を掴んで引きはがそうとする。


「黙っていろ。今こいつの化けの皮剥ぐ所だ」

「化けの皮って……………」

「質問を続けよう。クロノ・ハラオウン。今回の件、何故一人で来た? 増援なら呼べる筈だが?」

「それは……緊急事態だったから」

「なら、増援が来なかった理由はなんだ?」

「…他の局員は別の任務等があって……」

「次元震を引き起こすかもしれない物よりも優先する事があるのか? あれが危険な物だと言ったのはお前等だぞ?」

「それは……」

「世界が崩壊なんて言って、その次はゆっくり考えろ? ずいぶんおかしなことを言うものだな……そんな事をするより手を組んで片付けようと考えられないのか? 答えてみろ、リンディ・ハラオウン」

「っ!!」


 首にあった感覚が移動し頬を撫でる……


「どうした? ……まさか竦んで喋れないのか? だったら俺が代わりに言ってやる…………」


 拓斗君はそう言って私にチェックメイトをかける。


「危機感を煽る事を言って、此方側から協力させるように仕向けて、使い勝手がいい道具にするつもりだったんだろ? なのはを客観的に見ても今までの話を総合しても協力すると言うだろう思って。そうだろ?」

「な! 適当なことを言うな!」


 クロノが拓斗君に飛びかかろうとするが、


「ならもう一度言うがな、クロノ。なぜお前が昨日あんなにボコボコニされたのに、増援がこなかったんだ? 最優先項目以上に大切なことがあるのか?」

「そ、それは………」

「昨日お前の元へ増援がこなかったのが何よりの証拠だよ」

「くっ……艦長!! 何黙っているんですか!? このままじゃ我々管理局が誤解されてしまいます!」

「言い返せないんだよ、誤解だったら直ぐに否定できるはずだ………全く、素直に協力して欲しいと言ってくれれば快く手を貸してやったのに」

「………」


 何も言えない私に拓斗君はとどめの一言を言い放った。


「おそらく、管理局は万年人手不足だ。違うか?」


 拓斗君の言う通り、私達には人手が足りない。


「危機感を煽るような事実を聞かせた上で時間をこちらに与える。そうすれば考える事は今回の件になる。世界が崩壊するなんて言われたんだ。そんなことを言われて、大人しく元の生活に戻れるだろうか? 不可能だな。そもそも俺達は危機感が足りていなかったとはいえ、ジュエルシードを放置するのは危険だと判断して今までやってきたんだ。今さら知らん顔出来ない。もしかしたら自分にも何か出来るんじゃないのか? 大抵の人間はそう考える筈だ」


 私と拓斗君以外の全員がはっとなる。


「例えばなのはだったらこう思うだろうさ。家族や友達が危険な目に遭いそうな時、自分にはそれをなんとかする力がある、魔法の力がある……なんてな」

「……うん、私はみんなのためにジュエルシードを集めるって決めたから」


なのはさんが答える。


「なら後は簡単だ。もう一度話す機会が与えられたのだから、その時に協力させてくれと自ら申し込めばいい……それが狙いなんだろう?」

「………」

「タダで手に入れられる協力者、それになのはの魔力はかなりのものだ。お前等からすれば喉から手が出そうなほど魅力的な存在なんじゃないか?」

「そんな……」

 怯えた様子で拓斗君にくっつくなのはさん。その目には恐怖が込められていた。ユーノ君も彼女を守るように立っている。


「か、母さん!! 何か言い返してください! このままでは本当に我々管理局が誤解されてしまいます!」

「そうですよ! 私達にそんなつもりは無い事を説明してください!!」


 クロノとエイミィが声を荒げるが、私には言い返す事ができなかった。


「沈黙は肯定と受け取るぞ」

「ま、まさか……」

「ウソ……」


 二人が崩れ落ちた。この子は一体……恐らくクロノより年下だろうけど、この考え、洞察力、威圧感、どれをとっても異常だ。一体どういった育ち方をすればこんな子に育つのだろうか?

「違うか? もしそうなら俺達が納得するような理由を言ってみろ。そうでないなら俺らは帰るぞ……」


 そう言って席を立とうとする拓斗君達。


「待って!」


 思わず引き止める私に、拓斗君の冷たい視線が突き刺さる。私は誠心誠意頭を下げた。


「……白状します。拓斗君が言ったように、そうなるように誘導したことは事実です。少なくとも私の立場からはあなた達に協力要請をする訳にはいかないから。こんな卑怯な手段を取ってごめんなさい」

「母さん……どうして?」

「理由を聞かせてください」

「拓斗君が言った通りよ。今の私達には人手が足りない、正直今の戦力では不安でしょうがないの」


 包み隠さず説明する。


「そんな時に観測された強力な魔力値。それも管理局にほんの僅かにしかいないAAAランクの魔導師が3人…………拓斗君となのはさんとフェイトさんの事です。正直に言って、喉から手が出るほど貴方達が欲しいです」

「で?………」

「私はあなた達が欲しい。でも、あなた達が拒絶を示すようなら無理強いはしません。もし協力してくれていたとしても、危険があれば必ず守るつもりでした。どうかそれだけは信じてください」


 再び私は頭を下げる……………


「リンディ…………さっき言った筈だ。素直に協力して欲しいと言ってくれれば快く手を貸すって」

「それじゃあ!」

「勿論、手を貸してやるさ」


 拓斗君は先程とは裏腹に優しい笑みを返してくれた

















「協力する者同士にとって一番大切な事は何だと思う?」


 突然拓斗君がそう言ってきた。


「それは?」

「隠し事をしない事だ。お互いが本音で語り合って初めて信頼関係が生まれる。信頼できない相手とは協力なんか出来る筈がない」

「……ええ、そうね」

「だから俺は真実を言わなかったお前を信用する事が出来なかった。さっきは失礼な事を言って悪かった」


 頭を下げる拓斗君。


「とんでもないわ、謝らなければいけないのは私の方よ。なのはさんもごめんなさい、怖がらせてしまって」

「は、はい……」

「リンディ、俺は管理局は決して信用することはないだろう。だが、少なくともこの場にいる三人だけは信用するよ」

「それじゃあ……」

「ええ、協力しますよ。俺はね……」


 そう言ってなのはさんを見つめる拓斗君。


「なのは……もし、お前が嫌ならこれで」

「ううん、私も協力するよ。さっきも言ったけど……私に出来る事があるなら私は頑張りたい」

「……そうか」

「拓斗……いいのか?」

「私達、酷い事を……」

「ああ、俺はキミ達を信じるさ」

「わかった……ならば僕は全力で君キミ達を守ろう」

「どっちかって言うと、クロノ君が守られる立場じゃないの~?」

「エイミィ!!」

「あははっ!!」


 エイミィにつられて笑うみんな。先ほどまでの重苦しい空気は払拭された。


「あ、そうだ……お前たちは大丈夫だろうが、もし上層部等がなのはやなのはの周りの人達に手を出して無理矢理従わせようとしたら……」


 そう言った拓斗君から凄まじい殺気が迸る。手からは炎を出現させ、さらに周囲の空中に氷の刃を展開させていた。


「俺が管理局を塵も残さない様に消すから……そのつもりで」

「「「は…はい……」」」


 私達は頷くしかなかった。

 こうして私達は、拓斗君達と協力体制をとれる事になった。

 
 

 
後書き
~あとがき雑談会~

作「何度目かわからないあとがき雑談会~!!」

拓「いや、数えろよ」

作「やだよ面倒くさい」

エ「作者……もう少し真面目にやろうよ……」

作「今度からね」

拓「今回は俺がまたキレたな」

作「そうだね~。エイミィさん、」

エ「あれは怖かったね~」

作「拓斗って魔力なしの全力パンチでシロナガスクジラ(世界で一番大きな哺乳類。体長20-34m、体重80-190t)を数百メートル吹き飛ばすらしいよ」

エ「マジ!? 拓斗君本当!?」

拓「事実だ」

エ「うわぁ……すごいね~」

作「ホントホント。可愛い女顔なのにねぇ~」

拓「ほぉ……?」

エ(あ~ぁ……作者死んじゃったなこれ)

作「あれ? た、拓斗さん? 何故手に大量の魔力を集めてるんでしょうか? もうEXランク越えてますが?」

拓「ふふふふふ……覚悟!」

作「いいぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁ!! お助けぇぇぇぇぇ………」

拓「今度こそ殺してやるぅぅぅぅぅぅ………」

エ「ちょっと行かないでよ! 予告はどうするの!?……………はぁ、私がやるか





  アースラに寝泊まりして数日

  拓斗はクロノと共にジュエルシード回収に向かう

  そこで待ち受けていたのは

  次回 魔法少女リリカルなのは ~黒影の死神~『どろんこ遊びは何歳までの遊びなんだろう?』」





エ「それじゃあ、次回に」

エ「トリガー・オン!!」





 集え! 精霊に導かれし光の河よ! 照らせ! 邪なる牙を滅するために!!

 ちょ!? まって! 謝るからやめて!? それは確実に死んじゃう!!

 問答無用!! 奥義魔法 【セイントグリッター】!!


――ズガアァァァァン!!


 ギャアアアアアアア!!

 ……作者、生きてね 
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