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久遠の神話

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第七十六話 富を求めるならその四

「おかずだよ」
「そうだね」
「麺もな」
 それもだというのだ。
「あれもだよ」
「中国ではラーメンはおかずじゃないのがな」
「不思議なんだね」
「饅頭も主食だよな」
「包や餅もね」
 包は中国の蒸したパン、餅は麦を練って焼いたものだ。どちらも中国の北部で主食となっているものである。
「全部主食か点心だよ」
「こうして食うものじゃないか」
「中国ではね」
 そうなるというのだ、本場では。
「面白いね、このことが」
「面白いか」
「日本に来たのは日本文化にも興味があるからだよ」
 それで来ただけにというのだ。
「好きだよ」
「そうなんだな」
「今色々と勉強してるよ、日本の文化についてね」
「じゃあ寺とかも見て回ってか」
「あとテレビもよく観るね」
 そちらにも目を通しているというのだ。
「ドラマやアニメを観てるよ」
「ああ、アニメもか」
「日本のアニメは中國でも人気だよ」
 これは本当のことだ、日本のアニメは中国でも人気なのだ。
「声優さんや監督さんの話にも興味があるね」
「日本語読めるよな」
「かなり慣れたよ」
 完全ではないがそれでもだというのだ。
「ネットも観られるよ」
「じゃあ声優さんや監督さんはな」
 ネットで調べればいいというのだ、所謂声優ファンが声優のことなら何でも書いてサイトや掲示板のスレに見せているからだ。
「そっちも調べていけばな」
「いいね」
「ああ、最近の日本はな」
「そちらがいいね」
「まさかあんたがアニメファンなんてな」
「アニメだけじゃないけれどね」
 ドラマにも興味があることはまた言うのだった。
「ゲームも好きだしね」
「意外と多趣味なんだな」
「まあね、趣味は多い方だと自分でも思ってるよ」
「面白いな、そこは」
 中田も王のその話を聞いて笑顔になる。
「やっぱり人間趣味が多い方がいいよな」
「全くだよ、趣味によるけれど」
 趣味といっても様々だ、 中には剣呑なものや他人に迷惑をかけるものもある。だがそれでもおおむねとしてだというのだ。
「人間は趣味を楽しむといいんだよ」
「そうすればそれだけで楽しく過ごせるけれどな」
「戦争をしなくてもね」
「平和に楽しく過ごせるな」
「自分から戦場に行きたいという人は少ないよ」
 目的もなくそうした人間は、というのだ。王にしろ富を手に入れたいが為に戦っているのだから彼のこの言葉に矛盾はない。
「本当にね」
「そういうものだな」
「そうだよ、出来れば早いうちに戦いを降りたいね」
「百億手に入れてか」
「うん、そうしてね」
 こう中田に話すのだった、遠くを見ながら。
 そうしてだ、彼にこう問うた。
「それでだけれど」
「デザートか」
「うん、何かいるかな」
「野菜食ってないからな」
 見れば彼が食べているものに野菜は少なかった、炒飯や餃子の中に多少ありラーメンの上にもやしや葱があるがそれだけだ。 
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