魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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後日談14 文化祭、そして………
前書き
こんにちはblueoceanです。
かなり多忙&難産な話で大分時間がかかってしまいました。
申し訳ありません………
「それじゃあ今年の文化祭はこんな感じで良いか」
「そうやね」
「だな」
「私も賛成」
「我もだ」
「私は反対っス!!」
「「「「いいや、聞いてない」」」」
「何が不満なんや?」
「去年みたいな衝撃が無いっス!つまんないっス!!」
バン!!と生徒会室の机を強く叩いたウェンディ。
確かに去年は衝撃だったけどまた女装なんてしたくない。それに今回も今回で色々考えているのだ。
「ウェンディちゃんそんな事言わないで。確かに去年は女子の男装は好評を得たけど、男子の女装は外から来たお客様にはかなり不評だったの。それに一部の生徒が校内を大勢でおいかけっこしてたせいで怪我人も出たし………」
すずかが丁寧に説明してくれた。
因みに話にあったおいかけっこの原因は神崎の女装である。
「ううっ………」
「その代わり、校庭の一部に特設ステージを作って、色々イベントをやるつもりだし………」
すずかがそう説明するがどうも納得がいかないようだ。
「それに特設ステージでCUVEが歌うことになった以上、どうしてもあまり羽目を外し過ぎると問題になりかねないからな」
桐谷の言うとおり、今回はCUVEが文化祭でライブをしようと打診があり、特設ステージを作る事にした。
しかしその所為で元々あった予算も大分持っていかれ、それにCUVEの人気を考えると色々と問題も起こりそうだなので他に特別にイベントをやる余裕が無いのだ。
非公式ではあるのだが、それでも集まると思う。
「………!!分かったっス、それで良いっス!!」
何か閃いた様な反応をするウェンディ。
何か嫌な予感がする………
「期待してるで」
「任せてくれっス姉御!!」
はやては了承してるし………
「どうなる事やら………」
そんな俺の呟きに、夜美、神崎、すずかも同意したのだった………
「さて、準備は整ったぞ」
今年のクラスの出し物。
俺達のクラスはライが居るため今年もリアル肝だめしになった。去年とは違いぬらさんも結構乗り気で準備が始まる時にはクラスにやって来ていた。
そんな準備が完全な状態の今年の肝だめし。
ライとぬらさんの2人の計画で俺達クラスはほぼノータッチだった。
そんな思い出の少ないクラスの文化祭準備だったが、そんなに寂しい訳でもなく………
「ねえねえレイ兄、これはどう思う?」
「雪美ちゃんも参加するの?」
結構皆それぞれ妖怪達と盛り上がっていた。
「うん!お母さんが言うにはますこっと要員なんだって!!ねえレイ兄、ますこっと要員って何をすれば良いの?」
………今回はマスコット要員まで作ってるのか。
取り敢えず安心していいのかな?
雪美ちゃんは1年前にキャロ達と仲良くなり、それからちょこちょこ会ったり家に遊びにきたりしている。
なので家に居る者達とは結構仲が良い。
それにしても………
「妖怪達が中学校のクラスにいるとは誰が予想するのだろうか………」
今のクラスの状況を見て桐谷が呟いた。
桐谷の言う通り、今このクラスにはぬらさんを始め、雪美ちゃんや傘地蔵さんやろくろさんなど妖怪が沢山いるのだが、もはやクラスの皆は慣れたのか普通に接している。
ろくろさんは首を伸ばさなければただの美人なお姉さんだし、傘地蔵さんは大きな傘の帽子を被った田舎のおじいさんにしか見えない。
「ねえ零治、本当にこんなんでいいのかしら?」
そんなクラスの現状を見て、今年もクラス委員のアリサが話しかけてきた。
「いいも何もアリサがそうしたんじゃないか………」
「だって………クラスのみんながライの意見に賛成したからじゃない」
確かに今年の学園祭は満場一致でまたも肝だめしになった。
去年の惨劇を考えればライが提案しても拒否するのもだと考えていた。そう思っていた星は決まるまでご機嫌が良かったのだが………
「それにしても星はいつまでそうしてるつもりなの………?」
「さあ………?」
座ってる俺の肩にくっついてブルブル震えている星。
さっきまでの機嫌は何処に行ったのか、子犬みたいにくっついたまま動かない。
恐らく去年の事を思い出したのだろう。
「零治………?」
「睨むなよアリサ………星、アリサが睨んでるから………」
「嫌です!!見捨てないで!!」
駄目だ、軽く壊れてる。
「全く、星は………」
「まあまあ………加奈にだって苦手なものあるだろ?」
「私は………特に無いわね」
「無いの!?」
「いやあるだろ絶対に………」
星を見てそんなやり取りをする2人に思わず突っ込むフェリア。
「ねえねえフェイトちゃん、私もお化けやりたいの」
「でもなのは、お化けやるって事はあの本物の墓地にずっと居るって事だよ?」
「でももうこんなにお友達になっちゃうと多分平気だと思うんだ」
「確かに………」
「すずかちゃんは吸血鬼?」
「な、何で!?」
「何でって、多分似合うと思って………」
「私もそう思うよ」
「そ、そう………」
ホッと安心するすずかの様子に首をかしげる2人。
3-Aは取り敢えず平常運転だ。
『………それじゃあみんな、最高に楽しい文化祭を!!!』
そう言ってマイクの電源を切る。
「お疲れ様です、会長」
「ああ、こんな挨拶でよければ」
椅子から立ち上がり、一言言って放送室を出る。
「零治君」
「はやて、取り敢えず生徒会メンバーは明日の巡回する道の確認が取れ次第自由行動。明日は多分殆ど自由時間が取れないだろうから今日の内に楽しんでおくように言っておいてくれ」
「了解や」
そう言ってはやては生徒会室に向かった。
「さて、俺は文化祭実行委員の人達に説明をしなくちゃな………」
俺も文化祭実行委員がいる多目的室へ向かった………
「ということで明日の段取りは以上だ」
多目的室に着いた俺は早速文化祭実行委員に明日の巡回の段取りの説明。
特設ステージの警備や不審者への警戒についてなど色々説明した。
去年もはやてが不良に囲まれたりと問題はあった。
今年は去年以上に外部からのお客さんが多いと予想される以上、準備はしっかりする必要があるので特に力を入れている。
………と言っても特設ステージには事務所からちゃんと準備をしているらしいのでそっちはそんなに気にする必要は無いのだが。
「それじゃあ明日はよろしくな!!」
そう言って文化祭実行委員の会議も終了した。
「レイ~!!」
学校の見回りも終わり、下駄箱に戻った俺をライが迎えてくれた。
今日は3人と順番で文化祭を回る事になっている。
「早く、早く!!」
「ちょっ!?ライ!!」
慌てて腕を引っ張るライになすがままについて行くのだった。
「美味しい~」
「中々………」
「だろ!?私の料理の腕も馬鹿に出来ないだろ!!」
俺達の反応を聞き、嬉しそうにそう言うノーヴェ。
今では桐谷と同じく加藤家の胃袋を支えており、桐谷も随分楽になったと言っていた。
暫くライと食べ歩いた後、時間も後少しとなり、最後にと寄ったのがウェンディ達の教室。
セインからタダ券を貰ったとライが言ったので寄ってみたのだが………
「正解だったな」
それほどふわふわの美味しいホットケーキだった。
「これで彼の胃袋をロックオンだね!」
「セ、セイン!?」
………ノーヴェは誰かに作って上げるつもりらしい。
だがこれなら確実に喜んでもらえるだろう。
「頑張れよ」
「お、おう………」
「………レイって誰にあげるか分かってないよね?」
「うん………私達も何で気がつかないか分からないんだ………」
そんな零治を見て、話すセインとライだった………
「ふんふ~ん」
「ご機嫌だなライ」
「だってこういう女の子っぽいデートって初めてだと思って」
確かにライとデートに出かける時は体を動かすような所に行くのが多い。
バッティングセンターにボーリング、ビリヤードなど。
「実はこういう落ち着いたデートもしてみたかったんだ」
エヘヘと笑い、オレンジジュースをストローで飲むライ。
「レイはこういうのも好き?」
「………まあ落ち着いてゆっくり話せるからな。星や夜美とデートするときはこういう感じの喫茶店でのんびり話したりすることもあるぞ」
「やっぱりそうなんだ………」
俺の答えを聞くと俯くライ。
何やら思うことがあるらしい。
そう言えばライは昔みたいに風呂上がりに下着姿で上がってきたりしなくなった。
化粧とかにも興味を持ち始めたし、お菓子などもがっつかなくなった。
「ねえ………レイはやっぱりこういう大人っぽいデートの方が好き?」
上目目線で不安そうに聞くライ。
やはり自分が子供っぽいのでは無いかと気にしていたようだ。
子供っぽいことで今までのデートがつまらなかったんじゃないかと思ったのだろう。
俺は別に何処に行ったってお前らと居れれば楽しいんだから気にする必要なんて無いのに………
「いや、ライといつもみたいに体を動かすのも好きだぞ。体を動かすのは嫌いじゃないし」
「本当に!?良かった………」
やはり予想通りみたいだった。
やっぱり女の子は気にするのかな………?
そう言えば顔パットをしてる星をたまたま見たとき、顔真っ赤にして暴れたっけ………?
「女の子って大変なんだな………」
「レイ?」
「ん?ああ、何でもないよ」
「そう?………じゃあさっきの話の続きで、今度のデートは何処に行こっか………」
その後は時間ギリギリまで次のデートについて2人で話していたのだった………
「ふむ、前と比べると随分とマシになったものだ」
「だな」
次に一緒に回っているのは夜美。
夜美の要望で自分達のクラスの肝だめしにやって来た。
前と同じ墓地なのだが前よりかは妖怪達も控えめでやっているようで、相変わらずの途中退場者は出ているものの、クリアしている組がちょくちょく出ている。
「おっ、零治さん、夜美さんデートですかい?」
「木綿さん、せめて脅かしてからにしましょうよ………」
俺達に声をかけてきたのはふよふよと浮いている木綿。
妖怪、一反木綿だ。
「済まん、雪江さんに用があるのだがどこにいるか分かるか?」
「雪江………?ああ、そう言えば客人が来るとかで霊丘の桜の大樹に行ったような………」
「済まないが客人は我等なのだ。そこまで案内してもらえないだろうか?」
「お安いご用で」
どうやら雪江さんに会いに行くために夜美は肝だめしに入ったようだ。
デートすっぽかして何を………
「レイ行くぞ」
「うぃす………」
余り気乗りしないまま一反木綿の案内で更に奥へと進んでいった………
「これは………!!」
案内された先には丘があり、その真ん中に一本大きな木………いや、大樹の桜が咲いていた。
その下には袴姿のぬらさんと、その側に雪江さんがいた。
「綺麗だ………」
「そうだな………」
2人がいたが、挨拶を忘れ夜美と共に呆然と桜を眺めていた。
「ふっふっふ、綺麗じゃろ?この桜の木はな、霊界へ霊を導く大樹なのだ。」
「あっ、ぬらさんこんにちは………ってそれってかなり重要な場所………?」
「ああ、一回ここをくだらない事を考えた妖怪に占拠された事があってな、妖怪大戦争に勃発する所かもしれんかったんじゃ。わっはっは!!」
と大笑いするぬらさんだったが、大笑い出来る内容じゃないような………
「夜美ちゃん、準備しといたわよ」
「ありがとうございます雪江さん」
そう言って雪江さんがその場を退けると後ろには敷物とちょっとした飲み物と食べ物が準備されていた。
「それじゃあ儂らはこのまま退散するとしよう。ここは誰も入れないように結界を張っておくので後はしっぽりやらチョメチョメしようが好きに過ごすがいい」
「ちょ、ぬらさん!?」
「それじゃ行くかの雪江」
「はい、総大将」
そう言ってニコニコと消えていった。
大きな爆弾を残していって………
「ったく、何を言ってんだか………それに表現が古いし………なあ夜美?」
「そ、そうだな………」
ちょ、夜美さん、何で顔赤くして俯いてるんですか………?
「と、取り敢えず座るか」
「そ、そうだな………」
気まずいまま、俺達は並んで座ったのだった………
「夜美、何飲む………?」
「お、お茶を………」
気まずい雰囲気をどうにかしようと思い、話しかけても夜美はこんな感じで、一向に良くならない。
「な、何か食べるか?」
「だ、大丈夫だ………」
夜美は顔を赤らめたまま俯いて俺の顔も見ようとしない。
(どうしたものか………)
そう思いながら上を見上げた………
「本当に綺麗だな………」
「ああ………」
不意に声に出たのだが、返事が返ってきた。
夜美も俺と同じく桜を見ていた様だ。
「この木程では無いが、あの出会った時の木を思い出すな」
「確かに………まあこれほど大きい木じゃ無かったけどな」
出会ったあの場所もこの場所みたく丘にある大きな木。確かにあの木と同じ様に丘の上に綺麗に高く伸びている。
「俺達も死んだらここを通るのかな?」
「そうだな………しかし不思議だな、こんな経験普通に過ごしていれば経験などしないのに………」
俺にとって今ここに存在している事こそ不思議な出来事だと思える。
何故ならこの世界はアニメと同じような世界で、同じ様な人物達がいる世界に今生きているのだから………
「レイ、どうした………?」
「ん?いや………」
「我がいるのに他の女でも考えておったのか?」
夜美と話していたのに、上の空だった俺にちょっと不満そうに聞いてきた。
「いいや、目の前に大好きな人が居て他の女の子なんて考えないよ」
「そ、そうか………」
「ありがとう夜美、俺この場所とても気に入ったよ。来て良かった」
「そうか………」
それから暫く俺達は肩を寄せあい、手をしっかり握り、咲き乱れる桜を見ていたのだった………
「星、本当にここで良いのか?」
「はい。ささ、座りましょう」
さて、最後に星の順番になり、星と合流したのだが、星は売店で色々と買い物をした後、俺の手を取り引っ張っていった。
そして着いた場所は去年倒れた星と一緒に座った保健室近くのベンチだ。
「これはレイので、これは私の………」
「なあ星?」
「はい?」
「本当にここで良いのか?」
「ええ。レイはライと文化祭を回ったでしょうし、夜美とは一緒に桜を見に行ったと思いますし何処を回っても退屈だと思いますしね」
「そんなこと………」
………無いとは言えない。
「なので良いです。たまにはデート以外でも2人っきりでゆっくりしようと思ったのでここにしました」
「そうか………」
確かに何だか疲れたような気がする。さっきのあの桜の丘も本来なら生きた人間が踏み込める場所では無いため、普通に居るだけでも余分に体力を使うと帰り際に言われた。
夜美も帰ってきた時は少々お疲れ気味だった。
「ふぁ………」
「眠いのですか?」
「いや、済まん済まん!!大丈夫だ」
「………眠そうですね」
「大丈夫、大丈夫!!」
正直とても眠い。
だけど星だけ寝てしまうのは駄目だ。
「………えい!」
そんなことを思ってるといきなり俺の顔を引き寄せ、そのまま太ももに俺を寝かせた。
「せ、星………!?」
「膝枕です。いつもレイは頑張ってましたから………だけど私の方は向いちゃ駄目ですよ。パンツを見られるのは公衆の面前では流石に恥ずかしいので………」
色々ツッコミどころが満載だったが、星の膝は柔らかくとても心地良い為、何も言えずにされるがままになってしまった。
唯一の救いがここには滅多に人が来ない事か。
(あれ………こりゃマジで………)
あまりの気持ちよさに俺の意識はどんどん薄れていった………
「本当に寝てしまいましたね………」
本当はあの桜には私が行きたいと思っていたのですが、あの場所に行くまでに気絶せずにいられるか分からなかったので夜美に教えてあげたのですが………
「私も見てみたかったですね………」
その前にどうにか私の怖がりを克服しなくちゃいけませんが………
「それにしても………」
そう呟きながらレイの頬を突っついてみる。
「ん………」
くすぐったいのかもぞもぞと動くレイ。
………可愛いです。
「うふふ………」
こんな無防備なレイを見たのは私だけでしょう。膝枕だってライや夜美もしてあげた事は無いでしょう。
何か優越感で一杯です。一歩リードした気がしますね。
「これは私達だけの秘密ですよレイ………」
髪を撫でながら私はそっと耳元に呟きました………
「ん………」
「起きましたか?」
ふと目が覚めると上から星の声が聞こえた。
「星………?」
「寝ぼけてるのですか?」
「柔らかい………気持ちいい………」
「きゃっ!?レイ動かないで下さい!くすぐったいです!!」
………くすぐったい?
「そうだ、俺は………」
「「レイ………?」」
「あ………」
意識がハッキリした所でドスの聞いた聞き覚えの声が聞こえてきた。
言わずともがな、ライと夜美である。
「文化祭が終わり、レイ達の姿が無いと思って来てみれば………」
「随分とお楽しみだったみたいだね………?もう少ししてから来れば良かったかな?」
と言う2人だが、もう怒りが満ち満ちており、逃げようが無かった。
「星、何とか………」
「うふふ………」
「星さん!?」
何でそんなに笑顔なんですか!?
「レイ………」
「覚悟はいい?」
「………何でこうなるの?」
そんな零治の嘆きに答える者はいなかった………
次の日………
「会長、不審者を発見しました!」
「ああ、そのまま職員室に行って先生達に受け渡してくれ」
「はい!」
次の日、一般公開の日には去年と比べものにならない程の人がやって来ていた。
その中にはCUVEの袴を着たいかにも親衛隊みたいな奴らがいたりと様々な人達が遊びに来ていた。
やはりその中には………
「あの………困ります………」
「いいじゃん、俺達と遊ぼ………痛っ!?」
「すいません、無理やり誘うのは止めてください」
「イタタタタタ!!!」
少し先には柄の悪い男達に囲まれた女の子を桐谷が助けていた。
こんな感じでやっぱり見回りはかなり大事になっている。
「気張らないとな………」
そう思いながら再び見回りを再開した………
さて、それからも見回りを繰り返し、はやてと俺に同じタイミングで休憩をもらえたのではやてと共にCUVEのライブを見に来たのだが………
「凄い人やなぁ………」
「やっぱり人気あるんだな………」
野外ステージに準備したパイプ椅子には満員の見物客、しかしそれに収まりきらず、立ち見で大勢の人が居た。
「まあ私らは生徒会特権でこうやっていい席で見れるんやけどな」
「それでも夜美や桐谷、すずかはまだ見回りをしてるんだ、その分もしっかり楽しませてもらおうぜ」
「とは言うものの、ちゃんと見に来るらしいで。………っていうか、このライブに人が集まってるから見回りもそんなに必要無いんやけど」
はやての言うとおり、今学校にいる殆どの人がこのライブを色んな場所から見ている。
なので多くの人が見回る必要も無いのだ。
「あっ、そろそろ始まるな」
ステージにカラフルなスモークがたかれ、その中から菊池カナタを含む3人が現れた。
『みんなー!!今日はスペシャルライブだよー!!最後まで楽しんでいってねー!!』
カナタの言葉と共にライブがスタートした………
「思った以上にクオリティ高いんやね………」
思わず呟いたはやての一言。
俺もフェリアの音楽機器を借りて聞くまでは完全に舐めていた。
様々なジャンルの曲を上手く歌い上げる異色アイドル。
もちろんキャラクターの人気もあるだろうけど、広範囲の年齢に支持されているのは歌の力だろう。
「さて、ライブも終わりか………?」
実際のライブとは違い、3時間も4時間も出来る訳も無く、1時間半程でライブも最後になった。
「これが終われば文化祭も終わりか………」
「何か切ないね………」
途中席に座った桐谷、すずかがそう呟く。
ライブの途中、見回りを終えた桐谷、すずか、夜美が体勢を低くして席に着いた。
途中から一緒に楽しんでいた3人だが、みんなと同じ様にこのライブが終わると文化祭も終了の時間になってしまう。
「我等にとって中学校最後の文化祭だからな………」
夜美の言葉により、更に重くなる生徒会メンバー。
『………何暗くなってるんスか?』
そんな時、聞き覚えのある声がステージから聞こえた。
『祭りはまだまだ終わらないっスよ!!行くっスよヴァルキリーズ復活ライブ!!』
ドン!!っと大きな音と共に、ナンバーズのスーツを着たダメっ子+フェリアの姿が。
『みんなー!!私の歌を聞け!!!』
そんなウェンディの叫びに学校全体が震えた様な、凄まじい歓声が鳴り響いた。
誰もが笑顔で、ウェンディ達の立つ、ステージ上を見ていた。
「ウェンディー!!」
「最高だー!!」
「ノーヴェちゃん可愛い!!」
「セインちゃ~ん!!」
「フェリア!!フェリア!!」
様々な声がこだまする。
『みんな行くっスよ………まだまだ祭りは終わらないっス!!!』
そんな叫びと共に曲が流れ始める。
「………みんなに言いたい事があったんだ」
「言わんでも分かるよ」
「俺もだ。………ハッキリ言ってそれでいいのか不安を感じはするが………」
「だけどウェンディちゃんなら」
「ああ。必ずいい学校にしてくれる」
本当に俺の言いたい内容を言ってくれた4人。ある意味以心伝心である。
「なら決定だな。今年の生徒会会長には………」
「「「「「ウェンディを推薦する!」」」」」
ウェンディなら絶対に楽しい中学校にしてくれる。
水無月先輩の意思を継ぎ、学校を更に明るい学校にする。それを出来るのはウェンディだけだと思う。
確かにウェンディだけなら不安だけど、それをフォローしてくれる人がいれば問題無い。
「ウェンディ、頼んだぞ………」
未だに楽しそうに歌っているウェンディにそう呟いたのだった………
そして月日は流れる…………
翌年、3月中旬………
『答辞。生徒代表、有栖零治』
「はい!」
俺に、いや俺達に1つの大きな区切りを迎えた………
後書き
次が後日談最終話になります。
その後は高校編をちょこっと引っさげてストライカーズに入ろうと思います。
本当は高校編をそれなりにやった後と言っていましたが、自分の都合で変えさせてもらいます。
全くやらない訳では無いのですが、ストライカーズのプロローグな感じになるかと思います。
本当に申し訳ありません………
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