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久遠の神話

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第七十五話 避けられぬ戦いその十

「自分の辞書に不可能はないと」
「ナポレオンですね」
「この言葉は偽りではないです」
「不可能はないですか」
「はい、そうです」
「だからあの二人もなんですね」
「戦いから降りてもらいます、そして」
 そうしてだというのだ。
「戦いを終わらせることも」
「わかった、じゃあな」
「この戦い絶対に終わらせましょう」
 二人で話してだ、そしてだった。
 工藤は智子の目を見てだ、そしてこう彼女に言ったのだった。
「俺達はあんたに協力する」
「そうさせてもらいますから」
 高橋も智子に言う、二人は今は同じ目だった。
「そしてこの無意味な戦いを終わらせよう」
「絶対にそうしましょう」
「はい、私達が力を合わせれば」
 このことは今この場にいる三人だけではなかった、いまこの場にいない上城や聡美達もだ。戦いを終わらせようとする全ての者がだった。
「必ず出来ますから」
「ではまずはだな」
「あのお二人からです」
 スペンサー、そして王だというのだ。
「そうしていきたいのですが」
「選挙についてはな」
「もう結果はわかっています」
「民主党だな」
「今の大統領は敗れます」
 智子はこの戦局を読み切っていた、戦いの女神は選挙の戦局も的確に読み切ってしまうということであろうか。
「そして上下両院も知事も」
「全て民主党が勝つか」
「今の大統領候補はスキャンダルも出ていないですし」
「失言もない」
「政治家にこの二つは命取りです」
 このことは民主政治でなくともどの国でも同じだ、不祥事に失言から失脚した政治家は枚挙に暇がない。
 だからだ、あの大統領もだというのだ。
「あの大統領はスキャンダルも多く」
「失言もだな」
「かなり多いです」
 それでだというのだ。
「どうしても勝てません」
「政策も問題だしな」
「あれで勝つ方が不思議です」
 戦いの女神として戦局を読みながら話していく智子だった。
「私はそう思います」
「そうか」
「はい、そして」
 さらに言う智子だった。
「民主党の大統領候補が大統領になれば」
「確実にか」
「この戦争から降りる様に命じます」
「永久普遍のままの覇権がどうなるか知っているからだな」
「覇権はこの世にあるものであることは確かです」
 これは、だというのだ。だがその覇権もだというのだ。
「常に変わっていかなければ」
「この世にあるあらゆるものと同じくか」
「やがては腐り」
 そうした意味では変わっていくというのだ、永久普遍の覇権であっても。
「やがてはその覇権を持つ国を腐らし」
「腐ったまま永遠でいることになるな」
「誰もそういう普遍は望みませんね」
「変わらないことを望むのは綺麗なままだからだな」
「若しそれが腐れば」
「誰も望まないな」
「はい、ですから」
「あの大統領候補は気付いているか」
 覇権のそのことにもというのだ、そしてだった。 
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