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ヘタリア大帝国

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TURN122 砂嵐の中でその三

「この嵐だとビームやミサイルも曲げられてな」
「鉄鋼弾もですね」
「満足に攻撃が出来ない」
 こちらからはだ、エイリス軍もそれがわかって砂嵐の中に布陣して守りとしているのだ。
「しかしだ」
「しかしですか」
「敵が砂嵐を使っているということはだ」
 今の様に、というのだ。
「こちらも使えるな」
「この砂嵐を」
「気候に人格はない」
 自然、それにある筈がなかった。
「敵につくつもりも味方につくつもりもない?」
「?長官、それは一体」
「だからだ、味方につけることが出来る」
 これが東郷の今言うことだった。
「それがな」
「では今は砂嵐を」
「そうだ、味方につける」
 そうして攻撃を出すというのだ、艦載機にしても。
「わかったな」
「どうされるのですか、では」
「風は前から後ろに向かって吹いてきている」
 枢軸軍から見てだ。
「そうだな」
「はい、我々にとっては向かい風です」
 つまり敵にとってみては追い風だ、モンゴメリーはこのこともわかっていてそのうえで布陣しているのだ、彼等の攻撃は有利になる。風を後ろから受けている為。
「このまま攻めれば」
「そうだな」
「それでどうして砂嵐を使われるのですか?」
「風は急に変わるものだ」
 東郷は自信に満ちた笑みでこうも言った。
「この北アフリカでもな」
「ではこの向かい風も」
「変わる」
 そうなるというのだ。
「そしてその時にだ」
「攻撃ですか」
「無論敵もそれがわかっている」
 何しろ彼等の植民地だ、わかっていない筈がない。
「そこをだ」
「逆に使い」
「攻める」
「風はどう変わりますか?」
 この向かい風から、というのだ。
「それは一体」
「左から右になる」
 具体的にはだ、そうなるというのだ。
「その動きに合わせるぞ」
「わかりました、それでは」
「全軍まずは散開しろ」
 前から来る敵の攻撃に備えて、というのだ。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「それでは今は」
「それからだ」
 その砂嵐を利用しての攻撃は、というのだ。
「わかったな」
「はい、では今は」
「守りに徹します」
 皆東郷の言葉に頷いた、そうしてだった。
 彼等は今は待った、風が変わるのを。それでエイリス軍のビームと鉄鋼弾の攻撃に今は散陣でかわした、そうしてエイリス軍の攻撃が終わると。
 すぐにだ、東郷は全軍にこう命じた。
「全軍取り舵だ」
「了解」
「それでは」
 皆東郷の言葉に従いそこに動いた、左に。
 そして全軍が左に来たところでだ、東郷の言う通り風が変わった。
 今度は枢軸軍から見て追い風になった、その追い風はというと。
 これまでの彼等から見ての向かい風に比べてかなり強かった、まさに突風だった。 
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