Ghost trick
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黒い蝶
W7を後にし、再び上空を放浪していると…
『最初のルーキー見ぃっけ(妖笑)』
一隻の海賊船を見付けたムウマは、不適に笑い、船に近付く。
「ん?」
船員の一人が、前方に浮かぶ不可思議な人影を目にする。
「どうした?」
「あそこに人が…!」
指を指して、他の船員達に知らせる。
「あぁ?人?」
指指す方に視線を向け、水平線を見る。
「何も無ぇじゃねぇか」
「気のせいだろ?」
しかし、水面には人影は無かった。
その時…!
ドレーク「気を付けろ!…何か居る…」
フフフッ…
全「「!?!?」」
不気味な笑い声が耳に入り背筋をゾクッとさせる。
フフフフフフッ…
クスクスと聞こえる声は、甲板上の空気を包む。
子供の様な声がハッキリ聴こえた船員達は、武器を構える。
『だぁ~れだ?』
そして、ドレークの背後に姿を現し、後ろから目を隠す。
「躰がっ…浮いてる!?」
「コイツ、能力者か!?」
「てめぇ!ドレーク船長から離れろ!!」
一人の船員の言葉に、周りが騒ぎ始める。
『煩いな~。お前等に興味ねぇよ。バーカ』
手を離し、船員達を罵始めるムウマ。
ドレーク「お前は、一体…」
視界がハッキリしたドレークは、ふわふわ浮いている彼女を不思議そうに見る。
『ウチは、ムウマ。ヨロシクね、ドレークさん。
いや…、
元少将(妖笑)』
ドレーク「!?」
フードの中から見える、艶美な笑み。
そして、ふいに出た答えに驚くドレーク。
『フフッ(妖笑)』
すると今度は小さく笑い、ドレークが被っている帽子を奪い取る。
「てめぇ!謂い加減にしろ!」
「降りて来い!!」
ムウマの悪戯に、堪忍袋の緒が切れた船員達。
ドレーク「落ち着け、お前等!」
と、船員達の怒りを静めさせるドレーク。
『アハハハハハッ(笑)』
そんな状況を楽しむ様に、眺めるムウマ。
ドレーク「ムウマ。帽子を返してくれないか?」
『何で?』
ドレーク「どうしてもだ」
『う~ん…』
ドレークの答えに、ムウマは少し悩み始める。
『じゃあ、お菓子頂戴』
「てめぇ。また訳分かんねぇ事を…!」
ムウマの発言に、再びピリピリした空気が走る。
『そしたら帽子も返すし、ドレークさんが知りたい事、一つ教えてあげる』
「船長!!こんな餓鬼の言う事なんざ、聞く必要…」
ムウマが出す条件に、船員達は納得がいかない。
ドレーク「お菓子では無いが、甘い物なら何でも良いのか?」
「船長!!」
ドレークが出した答えに、焦り始める船員達。
『ケーキが良いな(笑)』
ドレーク「今直ぐコックに作る様、言ってくれ」
「わ、分かりました…」
ドレークの言葉に、渋々了解した船員は、伝えに行った。
『じゃあ、約束通り』
そして、甲板に足を着き、素直に帽子を返すムウマ。
ドレーク「それで、何故俺が、元少将と知ってるんだ?」
『う~ん…。そうだな~』
悩む様に、ムウマは、答えを考え始める。
『風の噂?』
ドレーク「ふざけるな」
しかし、ムウマの答えに納得しないドレーク。
『けど、ウチはちゃんと答えたよ。もう質問、出来ないよ(妖笑)』
そして悪戯っぽく笑うムウマ。
『けど安心しなよ。ウチは敵じゃないから』
ドレーク「……」
ムウマの答えに、ドレークは真っ直ぐ彼女を見つめる。
『まぁ、味方でも無いけどね(妖笑)』
すると、少しずつ甲板から足が離れて行く。
ドレーク「待て!!」
『じゃあね。ドレークさん』
そしてムウマは、手を降って無数の黒蝶となり、姿を消した。
to be continued
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