鉄槌と清風
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5部分:5:アースラにて
5:アースラにて
目が覚めた時見えたのは、白い無機質な天井で。
「知らない、天井だ……」
と、とりあえず、良くある台詞を吐いてみて、むくりと起き上がる…格好は寝る前だった為、長袖で薄手のパジャマ。
「て、いうか…知らない部屋ってか?」
周りを見渡せば、白い壁、一寸した机、椅子くらいしかない、そして、見覚えが全く無いのだ。
「……何処、此処?」
「あぁー、よしくん、起きて平気なの?」
「よしくんて、いうなっ、なのは!」
扉が開いた音だったのか、プシュッと少しだけ音がした直後、聞きなれた声が掛けられる。
「つか、此処何処だよ、病院じゃないっぽいし、なんでなのはがいる?」
「えーとね…此処は」
「その質問には、僕が答えよう」
なのはの後から、声がかかる、同じ年くらいの少年、黒い髪に目、真っ黒な服には両肩に棘が付いている。
「えーと、どちら様…あ、俺は八坂良彦っていいます」
思わず、一礼しつつ答える、祖父から名前を聞くなら自分がまずなのれ、と、何度もいわれていたのだ。
「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ、ここは時空航行艦アースラの医務室になる」
「クロノ…はらうおん?」
「ハラオウン、だ…八坂だったか、詳しい話をしたいが良いだろうか?」
「あ、良彦で良いよ…んで、詳しい話って、なんだ?…というか、なのはがなんとか管理局と、関係してるのか?」
「にゃはは、えっとね」
「其処も含めて、僕が説明しよう、こちらも聞きたい事があるし」
なのはが困った顔で、頬をかく中、冷静に言ってくる少年。
「おっけ、俺も訳判らないし、説明頼む、聞きたい事ってのは判る限り答えるよ」
「すまない、とりあえず、何か飲みながら話そう、一緒にきてくれ」
「あいよー」
クロノ、なのは、良彦の順番に部屋を出て歩き出す…。
暫く歩いてたどり着いたのは広い空間に、机が変な形に並んでいる部屋で。
「何か飲みたいものはあるか?」
「俺はお茶で」
「私もお茶でいいよ」
「わかった、端にでも座っていてくれ」
良彦となのはが座る間にとってきたのか、持ってきたお茶を二人の前において、クロノ自身も自分の前にカップを置く。
「さて、まず何だが…君は魔法を知っているか?」
「……魔法って、火をばーんって撃ったり、氷の槍で敵倒したりとか、ゲームとか漫画でよくある?」
「まぁ、そういう事もできるが、此処で言うのは…そうだな、見てもらったほうが早いかS2U」
カードを取り出し、そのカードに声を掛けると、一瞬でカードが消え、杖?が現れる。
良彦の目の前には、いま其処にいるクロノと、20歳くらいの青年が、訓練なのか、戦っている様子が写しだされる…光る弾や、ナイフを打ち合い、避け、時には光る壁で受け止めたりしている。
「この、弾や光の壁、他にも色々あるんだが、これが僕が言う魔法だ」
「…あー、あれ…なんか、知ってるような気がする、さっき夢でみたような、使い方もなんとなく、判るかも?」
「夢で…ふむ、もしかして記憶遺伝?…いや、あれは普通ではありえないし、そも彼の家は…」
「よしくん、夢って?」
「あぁ、それがな…」
先ほど見た夢、それに何度か見た恐らく同じ城を見たときの夢を説明していく。
「ッて、感じで空飛んだり、色々…みたんだけど」
「そうなんだ、凄いね」
「いやまってくれ……良彦、使えるかもといっていたけど、後で実際確認させてもらって良いか?」
「あぁ、良いけど…できるかは知らないぞ、気がするだけだし」
「それで構わない、じゃぁ、次は管理局についてだけど…」
結構きちんと説明してくれたのだが…良く判って無い顔をしていると。
「確かね、警察と裁判所が一緒になったようなかんじなんだよ!」
と、いうなのはの一言で、良彦はなるほどッ!、と納得しクロノが苦笑していたり。
「なのはについてだが…」
と、P・T事件の概要、細かい部分は抜きで、なのはが偶然魔法に出会い、結果管理局に協力、現在も嘱託扱いでいることなどを説明されて。
「あぁ、なんか、俺がこっち戻ってくる前に学校暫く休んだとか、恭にいが言ってたあれかっ」
とか、納得したりしてると…クロノの横にウィンドウが一つ開き、茶色の髪の悪戯っぽい笑顔を浮かべた少女が映し出される。
「クロノ君、検査結果でたよー…っと、こんにちは、エイミィ・リミエッタです、気軽にエイミィって呼んでね」
クロノに一声掛けた後良彦に向かい声を掛ける。
「あ、八坂良彦です…検査って?」
「あぁ、君の検査だよ、なのはから連絡を受けた時、君は気絶してたし、念の為にね、結果を聞いておくと良い、自分の事だし」
「なるほど、んじゃお願いします」
「はいはーい、えっとね、バイタルには特に異常はなし、健康そのものだね、潜在魔力はAA+、なのはちゃんよりは少ないけど、結構多いかな」
「えーと、良く判らないけど、なのははどんくらいなんだ?」
「なのはちゃんは、AAAクラスかな、かなり多いよ」
「なのはに、まけた…だと、運動が壊滅的な、なのはに」
「ちょ、運動と魔法は関係ないよっ、よしくん!」
「え、でもさっきの訓練見てると、ちゃんと体術とか、杖術っぽい動きしてたぞ、しかもしっかり修行した感じで」
「あはは、なのはちゃんの場合は、相手の攻撃を受けきってから、大威力砲撃で落とす、『砲撃魔導師』だからね」
「戦車みたいな感じなのか?」
「ちょっ、エイミィさんっ!、よしくんも変な事言わないでよっ!」
「ごめんごめん、あと、良彦君は、変換資質もあるみたいだね、風の資質、あんまりいないんだけどね」
「良く判らないけど、珍しいのか?」
「まぁ、僕も風の変換資質に関してはあまり聞かないな、多いのは炎や電気だし」
「ふーん、まぁあって困らないならいいんだけど」
「あ、そだあとね、良彦君のデバイスなんだけど…これってアームドだよね、どうしたの?」
「デバイスって、なに?」
「魔法使うための道具だよ、レイジングハート」
『了解、起動』
声と共に、なのはのもっていた赤い珠が杖に変わる。
「そのレイジングハートや僕のS2Uがデバイスだ、ミッド式は基本杖になる事が多い、後レイジングハートは……」
とりあえず、インテリジェンスとストレージの違いを教わったが、まぁ会話できるのがインテリジェンスくらいしか判って無い。
「で、アームドデバイスなんだが…昔、ミッド式と勢力を2分していたベルカ式という魔法のデバイスで、カートリッジシステムという特殊な機構を使って、一時的に魔力を引き上げたりできる」
「んで…俺のがそのアームド?」
「あぁ、籠手型らしいな…」
画面にウィンドウが一枚開き、鋼色の籠手が写される…シンプルな籠手で、手の甲辺りに数本のスリットが入っている、肘位まである腕甲の途中に、スジが入っていて、其処が開いた映像も写されている。
「腕の方のスリットが、カートリッジの装填場所だな、恐らくこのサイズだと、両手合わせて4本くらいが最大だろう、手の甲のスリットはよくわからないけど」
「ふーん…まぁ、とりあえず、話は大体判ったし、この後どうするんだ?」
「あぁ、そうだった…魔法の事の確認もあるし、訓練室へいこう、そこでデバイスも返すよ」
「おぉっ、魔法使ってみろってことだな、おっし、早くいくぞっ」
すくっと立ち上がり、食堂を飛び出し…次の瞬間、戻ってくる。
「訓練室って、何処だ?」
「よしくん…駆け出す前にきづこうよ?」
「良彦…落ち着きが無いって言われないか?」
「あはは、まぁまぁ、クロノ君あんないしてあげなよ」
良彦の行動に3者3様に答えるのだった。
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今回は、良彦が時空管理局とかについての知識を得たというお話、途中かなりはぶいてますが。
次回は、実際に魔法を使用する予定です。
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