MS Operative Theory
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ベスパのMS開発①
——MS関連技術の停滞を打ち破った、ベスパの新機軸MS開発——
サイド2に興ったザンスカール帝国は、国軍ベスパの編成に際し、独自のMSを必要としていた。地球連邦を打破するにあたって、質の面で優位に立てる高性能MSが必要であったためである。
しかし、ザンスカール帝国は、かつてのジオン公国のような重工業を計画的に発展させたコロニー国家ではなかったため、地球連邦軍の機体を凌駕するMSの開発は不可能であった。
そこでザンスカール帝国はその勃興と前後して、地球連邦軍のMS開発機関であったサナリィのサイド2支部を接収したと言われる。こうして、ベスパは独自に起動兵器の開発をスタートさせたのである。
ベスパの起動兵器開発が画期的だった点は、「フォーミュラ計画」以降、停滞気味であった起動兵器開発を再び加速させ、かつてのクロスボーン・バンガード製のMSを超える新機軸MSを生みだしたことにある。
確かにサナリィは「フォーミュラ計画」でバイオ・コンピューターやMCA構造、V.S.B.R.などの新技術を採用したF91を実現している(U.C.0130年代には木星圏での運用も可能な高機動格闘型MS=F97(クロスボーン・ガンダム)や、ミノフスキー・ドライブ・ユニットを搭載したF99(レコードブレイカー)といった超高性能MSまで開発されたとされる)。
だが、F71(G・キャノン)などの例外を除けば、地球連邦軍に採用された機体はわずかしかなく、地球連邦軍の主力MSはRGM-119(ジェムズガン)とRGM」-122(ジャベリン)など、アナハイム・エレクトロニクス社製のMS型藩を占めていた。
しかも、ジェムズガンとジャベリンは、ザンスカール帝国が興ったU.C.0140年代末期には、旧式化していた機体であった。つまり、ジャベリンからおよそ30年間、新型MSが制式機として採用されていなかったのである。
ベスパは、サナリィの一部を取り込み、新機軸MSの開発をスタートした。最初期に実用化された機体が宇宙用のZM-S06S(ゾロアット)で、全てのベスパ系MSの始祖的な存在となった。
ゾロアットは15m級MS(第二期MS、第五世代MS)で、ベスパ系MSの外見的な特徴となった「猫の目」ことデュアル・センサー—————デュアル・マルチ・センサーとも言われる—————を採用。
また、ゾロアット以降、ベスパ系MSが独自色を強くする契機となった機体が、ゾロアットをベースに開発された大気圏内用可変/合体MS、ZM-S08G(ゾロ)である。
ゾロは、大気圏内におけるMS単独での行動半径を拡大するため、新型ミノフスキー物理学系推進/飛行装置である「ビーム・ローター」を搭載していた。これ以降、このビーム・ローターはベスパ系大気圏内用MSの標準装備となった。
また、ZM-S24G(ゲドラフ)を境に、地上だけでなく宇宙や水上、水中など、あらゆる領域で高い機動性を発揮する車輪型サブ・フライト・システムである「アインラッド」を実用化するなど、ベスパ系MSは機動性の向上を目指すようになっていた。
——ベスパMSの兵装——
ベスパMSの基本兵装は、同時期に運用していた地球連邦軍やリガ・ミリティアのMSと同じく、ビーム・ライフルとビーム・サーベル、ビーム・シールドであり、この点ではベーシックなMSのスタイルを踏襲している。
また、基本兵装以外の補助兵装や固定兵装として、宇宙用MSが搭載する電磁ワイヤー=ビーム・ストリングスや、有線制御攻撃端末ショット・クローなど特異な装備が採用された点も特徴である。
■特殊兵装
ビーム・ストリングスなどベスパMS用の特殊兵装は、得意な攻撃軌道をとる物や、視認性が低いなど、奇襲性に重点を置いたタイプが多い。このため、ニュータイプに匹敵する能力を持つパイロットであっても回避することは不可能である。
▼ショック・バイト
ドムットリアの口部に設置されたビーム銃。通常時は頭部に収納されている。接近戦時の奇襲攻撃に用いられる。
▼ビーム・ストリングス
1機のMSにつき、3本から10本が装備される電磁ワイヤー。ネットの用に展開して目標を捕らえ、高圧電流を流す。
▼有線/無線制御兵器
コンティオ系MSが装備する有線/無線制御式攻撃端末ショット・クロー。遠隔操作が可能な射撃/格闘兵装である。
■大口径ビーム兵装
スーパーサイコ研究所が試作したとされるMSのうち、いくつかの機体には、メガ・ランチャーを超える出力を持つ長距離ビーム砲が装備されていた。これらは、MSに戦術級ターゲットに有効な攻撃力を求めた結果とも考えられ、大気圏上層からの対地攻撃や、死人不可能な距離の長距離砲撃などに用いられた。
▼ザンネック・キャノン
ザンネック用の長距離ビーム砲は、大気圏の上層部から地上目標を撃破可能。粒子加速器やジェネレーターはMSの物を利用する。
▼メガ・ビーム・キャノン
ゴトラタンの長距離ビーム砲。砲身と機関部と思われるユニットは分割されている。MSからのパワーサプライだけでも発射可能。
補足事項
——ベスパの改良MS——
ベスパにはリグ・シャッコーなど本来の機体名の前に「リグ」と付けられた改修機や、ZM-S09GE(トムリアット偵察タイプ)など、基本設計を変更することなく改装を行った仕様も存在する。
これらはゾロアットの仕様変更機であるゾリディアやゾロなどとは異なり、比較的小規模な改装で新たなバリエーションが開発できる点がメリットであった。
●ZM-S22S(リグ・シャッコー)
ZMT-S12G(シャッコー)を宇宙用として量産化した機体。ビーム・ストリングスを追加装備した。
●ZM-S08GC(ゾロ改)
デュアル・センサーに左側を大型モデルに変更したタイプ。基本性能は変わっていないが、センサーの能力が大幅に向上していた。
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