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ヘタリア大帝国

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TURN120 エイリス王家その二

 モニターの個室から外に出てだ、エイリスの将兵達にこう告げた。
「今からな」
「はい、今からですね」
「このケニアで、ですね」
「ああ、何とか守るからな」
 そうするというのだ。
「後はカメルーンだけれど」
「あの人と、それに」
「ああ、暗黒宙域からだったな」
 ここでだ、イギリスは招聘の一人の言葉に微妙な顔になって述べた。
「あそこからな」
「あそこから出て来る者達はどうしますか?」
「戦闘に介入してくるんならともかくな」
 そうでないならというのだ。
「まあ特にいいだろ」
「そうですか」
「ああ、別にな」
 こう言うのだった。
「これまで通り放置ってことでな」
「つまりスルーですね」
「それでいいだろ」
 イギリスは彼等についてはこれで済ませた。
「問題は枢軸だからな」
「わかりました、それでは」
「彼等のことは放置ということで」
「カメルーンには俺から言っておくからな」
 この国についてはそうするというのだ。
「あいつにはな」
「戦線への参加ですね」
「それをですね」
「マイペースな奴だけれど俺の言葉には頷いてくれる奴だよ」
 植民地だから当然だがそれでも国によって違いがあるのだ、ベトナムなぞはイギリスもやりにくい相手だった。
 それでだ、イギリスはカメルーンについてはこう言うのだ。
「何とか守るぜ」
「はい、そして南アフリカを奪還して」
「そしてですね」
「エイリスの植民地も全部奪還してやるさ」
 これがイギリスの、そしてエイリスの望みだった。再び多くの植民地を手にした世界の盟主に戻ることを目指していた、その為ケニアでも守ろうとしていたのだ。
 そのマリーだが厄介なことにはなっていなかった、捕虜として入っている貴賓用の部屋の中でベトナムはインドと紅茶を手に明るく話をしていた。
「へえ、じゃあ皆元気なのね」
「そうだ、独立してからな」
「悪いことはないたいよ」
「太平洋経済圏で楽しくやっている」
「順調に発展しているたい」
「ううん、植民地こそはって思ってたけれど」
 マリーは独立した彼等の話を聞いて考える顔で言った。
「違うのね」
「考えてみればです」
 サフランもいる、彼女が言うには。
「植民地には駐留艦隊が必要ですね」
「植民地の叛乱鎮圧にね」
「それだけのかなりの国力を使います」
 こう指摘するのだった。
「軍隊の用意だけでも」
「叛乱が起こったらその戦闘で産業にも影響が出るしね」
 無論交易にもだ。
「それに派遣する総督や役人がね」
「うちの総督はいい人でごわすが」
 オーストラリアも言う。
「けれど中には酷いのがいるたい」
「そういう人間をどうにかしたいって思ってたけれど」
 エイリスとしてもそうは考えていたのだ、特にセーラが。
 だがそれは容易ではなかった、それは戦争以外にも原因があった。
「目が届かないからね」
「そうでごわす、エイリスの植民地は広過ぎるたい」
 そこが問題だというのだ。
「だから碌でもない人間が総督や役人に派遣されていたたい」
「そうした奴は私腹を肥やすだけだ」
 ベトナムが指摘する、彼等は産業を発展させはしないというのだ。
「だからだ、植民地統治は実はだ」
「思ったより国力の発展にはならないのね」
「むしろ負担が多いと思うが」
「言われてみればね」
「実際になんですよ」
 今はインドカレーの首相になっているクリオネの言葉である。 
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