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鉄槌と清風

作者:deburu
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45部分:44:Bランク試験


44:Bランク試験

 ヴィータとの婚約から約一年、新暦75年の4月、はやてが目をつけたという部隊員候補の魔道師ランクアップ試験があるというので、はやて、フェイトと一緒に見学に来ている。
 なのはとツヴァイが試験官だ。

 準備をしているのは二人、青い髪をショートにし、右手にリボルバーナックルをつけた少女、ギンガの妹でスバル・ナカジマというらしい、魔力光は青、良彦と同じだ。
 もう一人は、オレンジの髪を両サイドで纏めた少女、銃型のデバイスを持つ、勝気そうな雰囲気、ティアナ・ランスターという名前らしい。

 スバルは近代ベルカ式、更にシューティングアーツを…ティアナはミッド式、他に幻術なども使えるらしい。

 ツヴァイが二人に諸注意を与えた後、開始の時間が来る。
 開始位置を飛び出す二人。

 「さて、あの二人どんな感じなんだ?」

 「せやな、素質は十分やとおもうよ、後は今回の試験でしっかり見極めやな」

 「資料をみる限りでは、確かにいい感じみたいだけど」

 上空を飛ぶヘリの中で、良彦、はやて、フェイトが二人の様子を見ている。
 ティアナが銃型のデバイスからワイヤー付きのフックを打ち出し、それを利用して移動したり、スバルは狭いビルの中もローラーブレードで縦横無尽に壁とか関係なく駆け巡る。
 攻撃の精度もなかなか、ティアナの射撃魔法は的をほとんど外さない…スバルは肉弾型だ、速さと威力はかなり高い。

 「二人とも良い動きだな…ただ、スバルの方は以前のギンガと似た癖があるな、装備の問題か」

 「なんやそれ、ちょーきかせてんか?」

 「攻撃が真っ直ぐ過ぎる、相手がミッド式ならシールドで弾いて近づくのはまぁ、良い手だろう…ただ、同じ間合い、格闘戦の時な」

 「どうなるの?」

 「相手次第だが、攻撃が真っ直ぐという事はそれだけ読みやすい、あっさり負ける可能性がある…実際ギンガとの最初の模擬戦では、あっさり倒せたしな」

 それを聞きながら、はやてが首を捻る。

 「いま、最初のつーたか、なぁ良彦君…きみ、まさか」

 「……ギンガが非番の時にチョコッとシグナムやシャッハと一緒にな?」

 「…ヨシヒコ、それは」

 「非番なんだし、いーじゃねーか、今のギンガはかなり腕上げてるぞ?」

 「ま、えーわ…その内ギンガにも声かけるかもやし」

 はやてとフェイトの苦言に、苦笑で答える。
 その間も試験は続き、銃型デバイスを囮に妨害用オートスフィアを集め、光学迷彩魔法を使いスバルを隠し突撃させ、更に注意を引き、ティアナが射撃でしとめる、そんな連携も見せる。

 「良い感じできとるなー、でもこっからが難関やで」

 「遠隔攻撃可能な大型オートスフィア、半分の受験生は此処で脱落しちゃうからね」

 「だな、あのレベルの魔導師だとちとキツイだろうけど」

 言ってる間に一瞬の隙を突かれ、ティアナが転倒、転びながら撃った射撃魔法は偵察用のスフィアを打ち抜いたらしく画像が途絶える。

 「ありゃ…偵察用の落ちたか?」

 「流れ弾みたいやね、とりあえずゴールの方でまっとこ」

 「そうだね、なのはがどうにかするだろうし」

 「んじゃ、俺ツヴァイの所行ってていいか、どうもヘリの中は狭苦しい」

 「はいはい、ツヴァイの邪魔せんときよ」

 「あいあい、んじゃな」

 ヘリのドアを開け、飛び出し、一瞬の青の光りに包まれ騎士甲冑を纏い、ツヴァイのそばへ。
 一瞬驚いたツヴァイだが、良彦だと気付くと、腰に手を当てながら。

 「もう、何しにきたですか良彦さん」

 と、一寸怒ったように言ってくる。

 「狭いと息が詰まるから出てきた、様子どうだ?」

 「はぁ…邪魔はダメですよ」

 「判ってるっての、で」

 「現在、大型オートスフィアを攻略している所です、ヘリの方も画像戻ってると思うですよ」

 「良いって、ふむ…ティアナが一人で…当たっても倒れないっていうか、幻術かこれ」

 「ですね、本命はきっと」

 画面の一個にスバルが映る、ウィングロードを疾走し壁をぶち抜いて、大型オートスフィアの元へ突撃。

 「ほ…中々面白いな」

 「いや、規定ぎりぎりと言うか違反ですよ」

 「ま、現場で規定とかないからなぁ」

 ティアナの幻術に翻弄されていた大型オートスフィアがスバルへ狙いを変える…その間に近づき、大型オートスフィアが張ったバリアをスバルが打ち砕く。
 大型オートスフィアからの攻撃をシールドで受け止め、左手に作られた青い魔力光の球体を、大型オートスフィアに押し付け…右手でその球体を打ち抜き叫ぶ。

 「ディバイーン…バスターーー!」

 押し付けられた超至近距離からの直射砲撃に、大型オートスフィアは青い魔力光に包まれて、そのまま爆発する。

 「今のディバインバスター、だよな」

 「そうですね、スバルさんはなのはさんに憧れてるらしいですから」

 「ほう、今度からかっとくか」

 「そんなこと言ってると、ヴィータちゃん関連でからかわれますよ」

 「いい加減なれたっての、そっちは」

 そんなことを言っていると、遠くから疾走音が響き渡る、どうやらスバル達が近いらしい…。

 「ちーと、早すぎじゃねーか、あれ?」

 「止まれ、なさそうですね」

 「はぁ…(なのは近くいるんだろ、ネット頼む)」

 突撃という言葉通りに疾走してくるスバルと、おぶられたティアナが慌てた顔をしている。

 「(うん、そうする予定だけど…どうするの?)」

 「(力を逃がして、放り投げるから受け止めてくれりゃいいよ、ツヴァイもな)」

 「(了解です)」

 「(ん、わかったよ)」

 ツヴァイは蒼天の書を取り出し

 「ヴァイヒ・スツーツ」

 と、魔法を掛け…なのはも

 「レイジングハートお願い」

 『了解、ホールディングネット』

 と、魔法を掛ける。
 ゴールの後に桃色のネットと白い柱が幾つも立ち上がり、其処へスバルとティアナが飛び込む…瞬間に。

 速度を殺しきれないスバルの懐に良彦が飛び込み、襟を掴んで、身体を捻りながら、ダンッと地面を蹴り上げる…突進の勢いが上昇方向への力に変換され、スバルとティアナが空を舞う。
 飛び過ぎないように、襟を強く引き寄せ、ある程度の威力を殺し…離す。

 スバルはネットにダイブし、ティアナは白い支柱に引っかかって止まる、どちらも何があったか良く判って無い表情だ。

 「こらー、危険行為は原点の対象になるですよ!」

 と、ツヴァイが怒鳴り。

 「一寸危なかったかな」

 と、降りてきたなのはが苦笑している。

 「止まれない速度はやめとけ、危ないんだ」
 
 えらく実感のこもった良彦の言葉。
 言われた二人は、ネットと支柱の魔法が解けて、ようやく実感したらしく、すまなそうに謝ってから、スバルは立ち上がり、ティアナは足首を捻ったのか立てなさそうだ。

 「あぁ、今治療をするから」

 「それはツヴァイがやるですよ」

 と、すーっと飛んでティアナの足元へ。
 それを見て、二人は揃って

 「「ちっちゃ!」」

 との事だが、ツヴァイは特に気にしてないようだ。
 なのはを見たスバルが、泣き出し、抱きついたりしてたが、とりあえずは試験は終了した。

 良彦は何か聞かれても面倒なのでツヴァイの助手という事で通し、後片付けがあるからとさっさと離れた事を追記しておく。
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今回はヴィータはお休みです、スターズ二人の試験を見学してました。

次回は、六課稼動の話しになると思います、良彦とアインの六課での立ち位置も次回説明する予定です。
 
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