Element Magic Trinity
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大海の選ぶ道
前書き
タイトル、原作は「カナVSジュビア」・・・。
なんとなく違うな、と思ってオリジナルだが。
・・・変だな。
【バトル・オブ・フェアリーテイル結果速報】
【ビックスローVSルーシィ&ルーレギオス】
【勝者:ルーシィ&ルーレギオス】
「あ・・・あれ?体が・・・」
「黄道十二門を2体も使ったからね」
ビックスローを倒したルーシィは、ドサッと近くの袋の上へと倒れ込んだ。
魔力の消費量が多いのが原因である。
「僕はいつでも助けに来るから」
ロキはそう言い、ルーシィの星霊の鍵の束を渡す。
「うん、ありがと」
「マジか!?あのバニーガール戦えたのかよ!?」
送られてきた情報を見たガジルが驚愕の声を上げる。
「ルーシィは強えぞ、きっと。あとルーもな」
「一応、ルーシィは最強チームの1人だしね」
「ウソだろ!?だってバニーだぞ!」
確かにバニーガール姿のルーシィは戦えるようには見えないだろう。
「さすがルーちゃん!私も負けてられない!」
親友のルーシィが雷神衆を倒したと聞き、レビィは更にやる気を出して術式解読へ取り組む。
「あとはここさえ解ければ・・・」
『バニーは強えんだよ!』
『そんな話聞いた事ねぇヨ!』
レビィが頑張る中、ナツとガジルはバニーの話を始める。
バトル・オブ・フェアリーテイルには関係ない事だ。
「術式を書き換えて・・・」
『お前、ウサギと亀の競争の話知らねーのか?』
『ウサギ負けてんだろ、それっ!』
ガジルの言う通りだ。
「だけど、ここが最難関・・・」
『最初の1回はな、この後何百回競争してもウサギの連勝だ!』
『な、なるほど。教訓を活かして・・・』
『アンタ達はさっきから何の話をしてるのよ!?』
ナツとガジルの会話にティアがツッコみを入れる。
彼女が何も言わなかったらこの話はエンドレスだったかもしれない。
「それだっ!」
『!』
その瞬間、レビィが顔を上げる。
どうやら、ナツとガジルの話の中に解読のヒントを見つけたらしい。
「そうだよ!2つの文法を違う速度で解読していくんだ。一周して同期した文字の整数をギール文法に変換して、更にローグ言語化」
火がついたように紙に文字を書き続けるレビィ。
カリカリカリカリ・・・と音が響く。
すると、そのペンがカッと止まった。
「解けたっ!」
「「おおっ!」」
そしてついに術式の解読に成功した。
「待ってて、術式を書き換えてくる」
紙の束を手に持ち、ギルド入り口へと駆けていくレビィ。
振り返り、笑った。
「準備はいい?バトル・オブ・フェアリーテイル、参戦だよ」
レビィが術式を解読した。
もう、2頭の竜を閉じ込める存在はない。
「おう!」
「ひと暴れしてやんよ」
遂に――――――火竜と鉄竜、2頭の竜が神鳴殿舞うマグノリアへと解き放たれる。
「!」
マグノリアの街の花屋の前。
その近くにやってきたミラは、そこに倒れる2人を見て目を見開いた。
「エルフマン!アルカ!」
倒れているのは、弟のエルフマンと恋人のアルカ。
その声に反応した2人はゆっくりと目を開く。
「ね・・・姉ちゃん・・・」
「・・・ミラ?」
アルカはゆっくりと起き上がり、立とうとしてふらつき、その場に座り込む。
「ひどいケガ・・・」
「よ・・・良かった・・・元に、戻れ・・・たん、だ・・・」
「ハァ、ハァ・・・悪ィな、ミラ・・・俺達、勝てなかった・・・」
エルフマンは身を起こそうとし、アルカは空を見上げて息を切らす。
アルカは特に大きな怪我はないが、1度放った炎を操るにはそれなりの魔力が必要の為、かなり疲労がたまっているのだ。
「ごめんねエルフマン、アルカ。ごめんね」
ミラの目に涙が浮かぶ。
「何で・・・姉ちゃんが謝る・・・の?」
「私、ファントムの時も・・・今回も・・・何も出来なくて・・・それで・・・」
俯き、涙を流すミラ。
そんなミラの銀髪に手を伸ばし、アルカは優しく撫でる。
「何もしなくていいんだよ、ミラは・・・この面白くもねぇケンカが終わった時、いつもみてーに『おかえりなさい』って、俺の大好きな笑顔で俺達を迎えてくれりゃあいい」
「うっ・・・うえ・・・ひっ・・・」
両手で顔を覆い、ミラは泣く。
自分の力不足、不甲斐なさを再び痛感した瞬間だった。
「頼むよ姉ちゃん・・・泣かないで」
「・・・アー、ライアー!」
「ん・・・」
その頃、フリードに敗れたライアーはサルディアの声によって目を覚ました。
後頭部で1つに結えた長い黒髪を揺らし、辺りをきょろきょろ見回し、ハッとする。
「サルディア!?という事は・・・」
「うん。ティアちゃんも無事だよ。今はギルドにいる」
「そうか・・・」
ほっと安心したように溜息をつくライアー。
「サルディア!ライアー!」
「ヒルダ!」
そこにセルリヒュールを片手にヒルダがやってくる。
その後ろにはボロボロながらしっかりと立っているスバルがいた。
「スバル・・・?お前、どうしてそんなにボロボロ・・・」
「ビックスローに負けちまったんだよ、グレイと一緒にな」
「フルバスターが!?珍しい事もあるものだな」
目を見開いて驚愕するライアー。
すると、人数が1人足りない事に気づく。
「主はどうした?姿が見えんが」
「あー・・・聞いた話だが、クロスは魔力使い過ぎと連戦の疲労でギルドで休んでるんだと」
「ティアを助ける為に必死だったのだろう」
「クロス君、お姉ちゃん大好きっ子だもんね」
サルディアが笑う。
「にしても、ビックスローの奴・・・本気でやりやがって・・・今度会ったらマジで潰す!」
「もう・・・」
「スバル・・・お前はもっと戦い以外の事を考えろ!」
「はは・・・」
エウリアレーを掲げて叫ぶスバルにサルディアとヒルダは呆れ、ライアーは苦笑いを浮かべた。
「ジュビア・・・神鳴殿発動まであとどれくらい?」
「30分くらいだと思います」
一方、マグノリアの別の場所ではカナとジュビアがラクサスを探していた。
「もぉっ!何がバトル・オブ・フェアリーテイルよ!自分は隠れて何もしてないじゃないの、ラクサス!」
「どこにいるんでしょうね」
苛立たしげにカナが言い、ジュビアが呟く。
すると、声が降ってきた。
「ラクサスは魔力をためている」
『!』
「本気でマスターと戦うつもりなんだ」
その声の主は、長い緑の髪を風に靡かせた。
「その為に力を今、ためている」
雷神衆の1人、フリードはカナとジュビアを見下ろす位置に立っていた。
「フリード!」
「この人が術式の・・・!?」
その2人を見たフリードの脳裏に、ここに来る前の、カルディア大聖堂でのラクサスからの命令が響く。
―お前はカナとファントムの女をやれ。あの口の悪い女王様も参戦したら潰せ。殺してもいい―
今、この場にティアはいない。
が、命令に上がったカナとジュビアはいる。
それを確認したフリードはくるっと背を向け、走った。
「あ!」
「逃げるつもり!?待ちなさい!」
その後ろ姿を逃がすまいと追うカナとジュビア。
すると、フリードは突然ピタッと足を止めた。
と同時に、地面に文字が浮かぶ。
「術式!?」
その文字は光り、カナとジュビアを四角い壁で囲っていく。
「しまった!」
「罠!?」
そう。
フリードは逃げたのではなく、この術式に2人を引っ掛ける為に走ったのだ。
そして2人を囲む術式のルールは――――――――
【ルール:どちらかが戦闘不能になるまで、この術式から出る事を禁ずる】
「!」
「どちらかが、戦闘不能?」
「勝った方と相手してやる。さあ、始めろ」
顔の左半分だけを向け、フリードが呟く。
「卑怯よフリード!一対一がいいならこんな事しなくても私が相手になるよ!ここから出しなさい!」
「こうやって仲間同士争う事に・・・」
「それとも何かしら?2人同時に戦うのが怖い訳!?女2人にビビっちゃって、情けないわねフリードォ!」
ガンガンと術式の壁を叩きながらカナが叫ぶ。
それに対し、フリードは冷静に口を開いた。
「俺自身の殺生人数を極力減らしたいだけなんだがな」
「何だとテメェっ!」
カナが怒鳴る。
その背後で、水がさざめく音がした。
「こうなった以上、仕方ないですね」
全身を水へと変えたジュビアが、立っていた。
「ジュビア・・・アンタ・・・」
「フリードさん。本当にどちらかが倒れれば潔く戦ってくれますか?」
「俺はルールを絶対に破らない」
「よかった」
ジュビアは微笑む。
腕を広げ、助走をつけるように体を浅井九の字に曲げる。
「本気なのジュビア!こんな所でやり合っても奴の思うツボ・・・」
カナの言葉をジュビアは聞かない。
「ちょっ・・・!」
向かってくるジュビアから身を防ごうと両手を前に出して――――――
「!」
その手が水で濡れず、目を開いた。
ジュビアはカナに攻撃せず、術式の壁を蹴りあげながら空へと昇っていく。
「え?」
「どんなに高く上昇しようと術式からは出られんよ」
そう言われても、ジュビアは上へ昇る。
その目に映るのは――――――――――――
「誰かをキズつけるくらいなら、仲間をキズつけるくらいなら」
――――――――空を舞う、神鳴殿。
「魔水晶に向かっ・・・まさか!?」
「やめなさい!それに攻撃しちゃダメ!」
ジュビアの考えに気づいたフリードは目を見開いて驚愕し、カナは叫ぶ。
が、ジュビアの意志は揺れず、勢いよく上昇し―――――――――
「ジュビアは道でいい!」
水と化した両腕を振るい、神鳴殿を1個破壊した。
カナが目を見開く。
ビキッ・・・と、ジュビアに電撃が訪れる。
「ジュビア・・・」
カナが呟いた、瞬間。
「うああああああっ!」
バチバチバチッ!
凄まじい音と共に、ジュビアの体は電撃に包まれた。
「・・・」
落下していくジュビアを見るフリードの目は見開かれている。
「アンタ!」
ドッと地面に落ちたジュビアにカナが駆け寄った。
その瞬間、2人を囲んでいた術式が消える。
「こ・・・これで・・・術式は・・・と、解けました」
「何考えてんのアンタ!」
目に薄い涙を浮かべ、カナが叫ぶ。
「ジュビアは早、く・・・認めてほしい・・・」
ジュビアは微笑む。
目から涙を溢れさせ、笑う。
「妖精の尻尾の仲間だ・・・って。皆が大好き・・・」
言葉を紡ぐジュビアに、カナは泣き叫んだ。
「とっくに仲間よ!認めるも何もとっくに仲間なの!アンタは立派な妖精の尻尾の魔導士なのよ!」
感情に任せるように、カナが叫ぶ。
その目から涙を流して、顔を歪めて。
「嬉し・・・」
それを聞いたジュビアは嬉しそうに微笑み・・・気を失った。
「ジュビアーーーーーーーーーー!」
空を見上げ、カナが叫ぶ。
(な、何だコイツは・・・自分が生き残る事より・・・仲間を生かす道を・・・)
この術式のルールが【術式内の者同士で戦い、勝者だけ出る事を許可する】みたいなものだったら話は別だっただろう。
が、今回は「戦闘不能」にさえどちらかがなればいいのだ。別に仲間同士で争え、などとは一言も書かれていない。
だからジュビアは選んだ。カナを生かす道を。
「フリィィドオオオォ!」
目に涙を溜め、その目を見開き、表情を怒りで染め上げる。
カナはカードを持ち、フリードへと向かっていった。
後書き
こんにちは、緋色の空です。
そういえば、雷神衆って皆目にセカンドの魔法を持ってるんですよね?
エバーグリーンは石化眼、ビックスローは造形眼。
じゃあフリードは?闇の文字がそうなんでしょうか。
いや、アレは目関係ないのか・・・?
感想・批評・投票、お待ちしてます。
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