久遠の神話
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第七十一話 全ての光でその十五
「思考もありません」
「共和党は親日じゃないですね」
「彼等は彼等の考えるアメリカの国益を追い求めているだけです」
そしてその追い求め方、政策に問題があるというのだ。
「それだけですから」
「そこで日本と友好的な関係を築jくことを望んでいるんですね」
「そういうことです、若し彼等が日本がアメリカの国益にそぐわないと判断した時は」
「共和党保守派は日本の敵になるんですね」
「そうなります」
これが現実だった。
「そしてネオコンの政策は世界に悪影響を与えますが」
「そのこともですね」
「彼等は全く気付いてもおらず」
しかもだというのだ。
「考えてもいません、ネットでのそうした書き込みをしている人達は結局のところ自分の思い込みしかなく考えていることも」
「自分のことだけなんですね」
「そうした意味で彼等が常に批判している日本の左翼と同じです」
正反対の関係の筈が、だというのだ。
「彼等は同じなのです」
「一緒ですか」
「何故なら日本の左翼も思い込みしかありません」
やはりそこには知性や教養はないというのだ。
「考えていることは自分のことだけです」
「そういう人達なんですね」
「上城君はそうした人達にならないで下さい」
下らない人間には、というのだ。
「絶対に」
「はい、僕もああした人達は」
上城も浮かない感じだが考えている顔で答えた。
「なりたくはないです」
「そう思われますね」
「あの人達はかなり偏見が強いですよね」
「むしろその塊と言った方がいいです」
だから平然と人種差別や部落差別についての差別的発言を書き込めるのだ、その差別している対象のことを何も知らないで。
「ああした人達はあのままいくと」
「地獄に落ちます?」
「少なくとも煉獄では済みません」
ダンテの神曲から話す、古典と言うと堅苦しいが見方によってはファンタジー小説でもあるし宗教文学、純文学のはしりとも解釈出来る名作だ。
「心が地獄に堕ちているのなら」
「地獄に堕ちるんですね」
「そうなります」
実際にそうなってしまうというのだ。
「彼等はその道を歩んでいます」
「そして挙句にはですか」
「この世にいる間は地獄から出ることも出来ますが」
「死んでから落ちたらですね」
「それは容易ではありませんので」
それでだというのだ。
「彼等は今のうちに気付くべきです」
「若し気付かないと」
「心が堕ちます」
「そうなんですね。じゃあ僕も」
「人は誰でも堕ちます」
そうなってしまうというのだ、誰でもだ。
「無論私もです」
「神父さんもですか」
「そうです、人ならばです」
それこそ誰でもだというのだ。
「堕ちますので」
「ううん、じゃあどんな素晴らしい人も」
「人は神ではありません」
キリスト教ではとりわけ絶対のことだ、キリスト教は神と人の間にあるものは途方もなく遠くそして強いものだからだ。
そうした話をしてだ、大石は上城にあらためて告げた。
「では後七人の剣士を」
「はい、戦いから降りてもらって」
「そのうえで、ですね」
「この戦い自体を終わらせましょう」
そうしようというのだ、そうした話をしてだった。
二人はまず高代が戦いを降りたことを喜んだ、まだ一人目だが非常に大きなはじまりであった。
第七十一話 完
2013・6・11
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