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久遠の神話

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第六十九話 二人の参加者その九

「悪人もいますので」
「人を騙す様な人もですね」
「いるからですか」
「はい、この戦いを知っている人は僅かですが」
 この条件もある、だがだというのだ。
「しかしそれでも知っていて悪意を以て戦いを煽る人や神がいるかも知れません」
「そんな人や神様もいるんですね」
「いないとは断言出来ません」
 それは決してだというのだ、いないとは言えないというのだ。
「私達もまた悪意で動く時がありますので」
「ギリシアの神様はですか」
「そうしたことがあるんですか」
「私達はよく嫉妬をし憎み怒ります」 
 ギリシアの神々の特徴だ、彼等はかなり人間的な性格の見方によっては人間よりも人間的な性格の神々なのだ。
「私もまた。お父様にしても」
「ゼウス神もですか」
「アテナ姉様も私もペルセポネーも母はそれぞれ違います」
 これは神話にある通りだ。
「つまりそれだけです」
「浮気をしてきたんですね」
「それは神話にあります」
「そういえばゼウス神って凄いですよね」
 上城は神話を読んだそのことから聡美に答えた。
「それこそ手当たり次第って感じね」
「お父様の悪い癖でして」
 聡美もこのことは顔を俯けさせて恥ずかしそうに述べる。
「素晴らしい方ですが」
「女性に関してはですか」
「どうにも」
 これがだというのだ。
「女性については」
「そういうこともあってですか」
「はい、そうです」
 ギリシアの神々は善の立場にあると言ってもだというのだ。
「人も神にも悪意がありますので」
「そうしたことをする神様がいても」
「不思議ではありません」
 そうだとだ、聡美は二人に話した。
「ですからお昼にお二人を信じなかったことはです」
「よかったのですね」
「そうです」
「そうですか」
「しかし今からはです」
「信じられる」
「そうなりますね」
 二人は聡美の言葉に応えた。
「銀月さんのお話を聞いたから」
「だからですね」
「人は信じている人の言葉は信じられます」
 その心を信じているからだ、その心から出される言葉もなのだ。
「つまりお二人は私を信じてくれていますね」
「そうなりますね」
 上城は聡美の言葉にその通りだと返した。
「やっぱり」
「はい、最初は私もですね」
「どうした人かわかりませんでしたから」 
 最初はだ、彼もそうだったというのだ。
「怪しいとも思っていました」
「私もです」
 樹里も言う、その聡美に対して。
「どうした人かわからなかったので」
「そうですね、ただ私は私が何者か話していませんでした」
 このことも言ったのだ、ここで。
「そのことを知ってもでしたね」
「どうした人かわかっていましたから、その時は」
 だからだとだ、上城は聡美に答えた。
「だからです」
「そうだったのですね」
「確かに隠されてましたけれど」
 聡美が女神であること、それはだった。
 だがそれでもだった、彼女の心がわかっているからだというのだ。 
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