| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

一からWeb小説を書いてみる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

二次創作での注意点
  2-01回 二次創作の分類

 
前書き
 第二部は「二次創作を書くにあたって」をテーマに主に設定について触れていこうと考えています。ここまで読んできた方は大体察しているように私はどちらかというと設定厨と呼ばれる人種に近いので、この先は少々ややこしくなる可能性もあります。


 まずこの話では、二次創作の分類を軽く考えていきたいと思います。 

 
 ネット小説で一番制作数が多いのはおそらく二次創作と呼ばれるジャンルです。今更定義など必要ないとは思いますがあえて強調してその定義を述べると、原作になるマンガ・アニメ・ゲーム・小説などが存在するものに、「追加の要素なり訂正なり」を加えて書いたものを指します。
 

2-01-1 動機としての3区分

 実際に書きだす人には様々な動機があるとは思いますが、結果として以下の様な幾つかの類型に区分することが出来ます。大枠では2つ、全体で3つですね。

①原作の世界観を深めたい
②原作の不満点を修正したい
③自作を書く際に利用したい

 ③番は単純です。「ある作品のヒロインが可愛いから自作のヒロインにしたい」、「この作品の設定を流用したい」などという明確な目的を持って、「原作を踏み台にしながら」作品を作るパターンです。原作ファンには嫌われやすい構図ですが、何を引用し何をカットするのかを明確に決められるので作りやすいという特徴があります。また、原作に対するある程度の配慮を怠らなければ、意外と良作に仕上がることさえあります。

 問題は①番と②番です。作品への愛故に書き始める形になりますが、実は作者と読者の思惑が離れて行きやすく、そのことが衝突を引き起こす可能性があります。というのも、その作品に対するイメージが明確になりにくく、後からその乖離に気付くと言うことが発生する場合があるからです。
 ですので、イデオロギーのようなものが絡む場合には、一部の読者が途中でクレーマーに変わることも覚悟しましょう。

(対立の例)宇宙世紀ガンダムにおける正義の問題
 有名なガンダムシリーズの中には宇宙世紀と呼ばれる架空の歴史があり、初代、Z、逆襲のシャアなどの富野監督が作った多くの作品がここに属しています。この歴史では地球連邦とジオンという二大勢力が重要な役割を占め、スペースコロニー居住者の自由と独立を求める「持たざるもの」の代表としてジオンは存在します。ですので、富野監督以外(特に0083、MS Iglooの今西監督)が手掛けている外伝作品の一部では「義」のジオン軍という見方がし易い物語になっています。
 ところが、ジオンはその理想とは裏腹に独裁国家であるうえに、連邦勢力下のコロニーの殆どを破壊して結果として人類の半分(コロニー人口の2/3でもある)である50億人を虐殺しています。これで自由独立を求めるいわゆる正義の扱いをするのは無理だという考え方が二次創作を中心に存在しているのです。



2-01-2 形式としての区分
 続いて二次創作の形式についても触れてみます。これも結構単純で、大枠では2つ、全部で4つに区分できます。

①再構成
②ピックアップ
③オリ主もの
④クロスオーバー

 ①、②が余分なものを加えない形式で、「こうあるべきだった」、「本編では触れられてはいないがきっとこうであるに違いない」などの原作と一般常識からのみ考えられる作品です。一部だけピックアップした形式と、修正すべき要素を反映して全体を構成し直したものに分かれます。これは私見で証拠があるわけではないですが、原作を知っている人しか読まないイメージがあります。
 ③、④が二次創作で非常に多い形式で、駄作から良作まで玉石混合であることから読者層が非常に広いです。暇つぶしでなんとなく読む人から原作愛に満ち溢れた人までが目を通してくれます。書き方とは何の関係もないですが、この分野を集中して探す人たちにはスコッパーと呼ばれる称号がついていたりします。

(例)恋愛ものの作品で見る二次創作
①……ヒロインと主人公のデートシーンを短編として投稿
②……原作で結ばれなかったほかのヒロインのルートを作る
③……原作に主要キャストとしてのオリジナル人物を投入
④……原作主人公と他の作品のヒロインのカップリング

 分類を考えれば思ったよりシンプルだったと思いますが、そのどれで書いているという自覚がないと全員にそっぽを向かれてしまうかもしれません。 
 

 
後書き
 とりあえず最初の区分の話ですのでこの程度で終えておきます。要するに自分がどんな作品にしたいかを意識して作品を引用することです。その小説中における原作への配慮をどこまで行うか、明確に決めておいたほうが有利になります。次回は原作で登場する人物の扱い方について書いてみます。 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧