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魔法超特急リリカルヒカリアン

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無印編
  第一話

 
前書き
ヒカリアン。
それはヒカリアン星から正義の光エネルギーで構成されるエネルギー生命体だ。彼らは地球では自身の身体を五分しか維持出来ない。そこで列車や自動車などと融合し、エネルギーである電力を得ている。有事の際は車両からヒカリアンへチェンジ!悪と戦うのだ。
そんな彼らは普段JHR(日本ヒカリアン鉄道)の車両として日本中を走り回っている。 

 
ここは、ヒカリアン達の基地『ヒカリアンステーション』ここではヒカリアンの司令官的存在の“300X博士”、オペレーターの“ウィンダッシュ”、そして技術者の“ドクターイエロー”が毎日JHRの路線やそこで走る列車、それにその付近の街で何か異常が無いかチェックしていた。
だが、ブラッチャーの三人が改心した事で最近は大きな事件は起きていない。だが・・・

ウィーン!ウィーン!!!

突然、警報が鳴り響いた。

「何があった!」

博士がウィンダッシュに聞いた。すると、彼はキーボードを操作しながら答える。

「神奈川県海鳴市内で謎の巨大な木が出現しました!!!」

そして、メインモニターにある映像が映し出される。そこには街を蹂躙しながら物凄い勢いで成長する巨大な木があった。

「よし、ヒカリアン出動だ!!!」




早速“のぞみ”、“ひかり隊長”、“つばさ”、“マックス”、“ポリスウィン”、“E2ジェット”、そして“E3レーサー”の7人が向かった。

「何て大きさなんだ!」

木の大きさにのぞみが思わず叫ぶ。

「それだけじゃない、どんどん成長して大きくなってるよ!」

つばさも、木の成長の速さに驚いている。

「皆!一斉攻撃だ!!!」

『了解!!!』

ひかり隊長の命令に従い、ヒカリアン達は一斉に木を攻撃した。

「ハンドソード!!!」

のぞみは左手に持つ剣ハンドソードの先端に着いたマジックハンドを伸ばし

「ソニッククラッカー!!!」

ひかり隊長は武器であるソニッククラッカーを回転させ、光の輪を発射

「スラッシャーウイング!!!」

つばさはブーメランを

「パワーハンマー!!!」

マックスはハンマーを投げ

「パトリボルバー!!!」

ポリスウィンは専用のリボルバー銃を発砲

「ジェットガン!!!」

E2ジェットは両手に持ったジェットエンジンから突風を発射

「きりたんぽ!!!」

そして、E3レーサーはきりたんぽ型手榴弾を投げつける。
彼らの攻撃は見事に大樹をえぐるが、直ぐに再生してしまった。

「くそう!」

「もう一度だ!」

それを見たマックスとE2が再び攻撃しようとする。だが、それをひかり隊長が止めた。

「待て!無闇に攻撃してもエネルギーを無駄にするだけだ!!」

「じゃあ、どうすればいいんですか?」

「何処かに弱点があるハズだ。まずはそこを見つけなければ・・・」

のぞみの質問に答えながら大樹の弱点を探そうとするひかり隊長。だがその時、突然桜色の光線が飛来し、大樹に直撃した。

「な、何だあれは!?」

それを見て思わず叫ぶひかり隊長。すると、徐々に大樹が消え始めた。

「これは一体・・・?」

不思議な事が連続で起こり、良くわからないといった感じの表情をするのぞみ。他のヒカリアン達も同様だ。
やがて木は完全に消え、光線もどんどん細くなり消えた。すると、光線の当たった場所から青い宝石と男の子と女の子が一人ずつ出て来たのだ。

「危ない!!!」

慌てて、つばさとマックスが落ちて行く二人をキャッチした。

「これは、一体・・・?」

一方、のぞみは空中でフヨフヨと浮いている青い菱形の終盤宝石に手を伸ばそうとした。だが、ひかり隊長が彼の腕を掴んでそれを止める。

「待てのぞみ!おそらくその宝石がこの騒動の原因だ!!下手に触ると何が起こるか分からん!!!」

「す、すみません!」

のぞみは慌てて手を後ろに引っ込めた。




その頃、ヒカリアン達が居る場所から少し離れた場所にあるビルの屋上。ここでは一人の少女と一匹のフェレットが居て慌てていた。

「ど、どうしようユーノ君!!!」

少女の方は白い衣装を身に纏い、手に赤い宝石の着いた金色の機械的な杖を持っている。その姿は魔法少女に見えない事も無い。
彼女は慌てながら足元に居るフェレットに話しかけていた。

「どうしようって・・・あの人(?)達は何なの?」

すると、何とフェレットが喋ったのである。だが、少女にとってこれは当たり前なのか、フェレットの質問に答えた。

「あの人達はヒカリアンって言って、遠い宇宙から来たんだ。」

「と言う事は宇宙人なのかい?」

「そう。それで、今はJHRって言う組織を作って地球の平和を守ってくれてるんだよ。」

「そのJHRと言うのは公共の組織なのかい?」

「ええと・・・鉄道会社でもあるから、そうなんじゃないかな?」

少女のその言葉を聞いてフェレットは慌てた。

「不味いよ!公共の組織に“魔法”の事が知られると大変な事になる!!」

「じゃあ、どうするの?」

「このままどうにかして“ジュエルシード”を回収・・・と行きたい所だけど、それでも魔法の事が知られちゃいそうだし・・・」

これからどうすればいいのか悩むフェレット。その時、少女が叫んだ。

「ユーノ君!ヒカリアンの皆さんがジュエルシードを持って行っちゃうよ!!」

「ええっ!?」

それを聞いてフェレットは空を見るが、ヒカリアン達はもう殆ど見えないくらい遠くに行ってしまった。





さて、皆さんはブラッチャーの“ブラックエクスプレス”、“ドジラス”、そして“ウッカリー”の三人組を覚えているだろうか?
『超特急ヒカリアン』の終盤、上司であるシルバーエクスプレスの手によってドジラスとウッカリーは故郷に帰れる事となったが、ブラックエクスプレスだけはセブンとひかり、そしてのぞみを倒さなければならなかった。彼はドジラスとウッカリーと一緒に居る為に三人に戦いを挑んだ。その結果、セブンとひかりを倒す事に成功するが、のぞみには負けてしまう。だが、ドジラスとウッカリーは懸命に戦うブラックエクスプレスの姿に心打たれ、故郷に帰る事よりも彼と一緒に居る事を選んだのであった。
その後、彼らはJHRで一緒に働かないかと誘われたのだが、『今まで散々迷惑をかけてきたのにそれは出来ない』と自分達の道を歩む事にした。その結果・・・




路頭に迷っていた。




色々な仕事に挑戦したがどれも上手くいかなかった。いや、実際には借金返済時代の経験を活かし上手くやってきたのだが、いつも何らかのトラブルが起きて仕事を失ってしまうのである。

「おやぶ〜ん・・・」

「お腹空いたよお〜」

「そんな事を言っても、お金が無いのだから仕方ないだろうが。」

腹の虫を鳴らしながら言うドジラスとウッカリーに対し、ブラックエクスプレスは低いテンションで答えた。と、その時・・・

「ん?あれは・・・」

ドジラスが道の脇に何か光る物を見つけた。ドジラスは直ぐにそれを拾い上げる。

「親分!これ小銭かと思ったら宝石ですよ!!!」

「本当かドジラス!!!」

ブラックエクスプレスがドジラスの手に握られている青い菱形の宝石を確認した。

「でかしたぞ!その宝石はかなりの価値があるに違い無い!!だから・・・



交番に届けた時の報酬(宝石の価値の5〜10%)は結構な額になるハズだ!!!」



すっかり、小市民になってしまっているブラッチャーだった。

「そうですね!これでやっとお腹いっぱいご飯が食べれます!!」

そうドジラスが言いながら宝石を握る手を振った時だった。何と、宝石が光り出したのである。

「お、おやぶ〜ん!!!」

そして、ドジラスはその光に飲み込まれてしまったのである。

「「ドジラス!!!」」

それを見て思わず叫ぶブラックエクスプレスとウッカリー。だが、少しすると光が収まってきた。そして、二人が見た物は・・・車両形態サイズまで大きくなったドジラスだった。すると、それを見たウッカリーが言った。

「あれ〜?ドジラスいつの間にまたパワーモードになれるようになったの?」

パワーモードとは、一時の間にヒカリアンとブラッチャーが持っていた強化形態の事だ。

「呑気な事を言っている場合か!」

すると、ブラックエクスプレスがウッカリーに怒鳴る。

「これは若しかしたら、あの宝石の力でパワーアップしてしまったのかもしれん。」

「パワーアップ!?凄いじゃん、ドジラス!!」

分析するブラックエクスプレスと、ドジラスのパワーアップに純粋に喜ぶウッカリー。だが、ドジラスの目はどこか虚ろだった。そして・・・何と、突然二人を無視して何処かへ歩き出したのである。

「おい、ドジラス!何処へ行くんだ!!」

呼びかけるブラックエクスプレス。だが、ドジラスはと言うと・・・

「お腹・・・いっぱい・・・食べる・・・」

片言な言葉でそう言うだけで、ブラックエクスプレスの声は耳に入っていないようだ。その時・・・突如、金色のエネルギー弾が飛来し、ドジラスに直撃した。

「あばばばばば!?」

エネルギー弾には雷の属性か何かが宿っているのか、ドジラスは痺れる。

「な、何だ!?」

ブラックエクスプレスはエネルギー弾の飛んで来た方向を見る。そこには一人の少女が居た。金髪の髪をツインテールにしており、手には金色の宝石のような物が埋め込まれた黒い機械的な戦斧をもっている。そして、その服装黒いレオタードの水着のような物をベースに、白いスカートにそれを固定する赤いベルト、さらに背中にはマントをつけていた。

「な、何だあの敵役魔法少女みたいなのは!?」

少女の姿を見てブラックエクスプレスが叫ぶ。だが、その声は少女には入っていないようだ。

「うう・・・・」

すると、突然さっきまで痺れていたドジラスが復活した。

「ご〜は〜ん〜・・・」

そして、少女を敵と判断したのか、背中の煙突型キャノン砲を発射する。少女はそれを素早い動きで回避した。そして、着弾した砲弾はと言うと・・・何と地面に大きなクレーターを作ったのだ。

「おお!凄いねドジラス!!」

感心するウッカリー。だが、ドジラスは今度はなんとウッカリー達の方にキャノン砲を向けたのだ。

「ちょっ!ドジラス!?」

「ま、待て!」

二人が呼びかけるが、ドジラスはそれに構わず砲撃を放つ。

「「うわああああああ!!!」」

ブラックエクスプレスとウッカリーは慌ててそれを避けた。だが、ドジラスは構わず砲撃を続ける。

「な、何がどうなっているのだ!?」

ウッカリーと一緒に逃げながらブラックエクスプレスが叫んだ。
すると、砲弾のうち一発が二人への直撃コースに入る。

「「わあああああああ!!?」」

それに思わず悲鳴を上げる二人。だが、その時・・・

〈ディフェンサー〉

先程の金髪少女がバリアのような物でブラック達を守った。

「大丈夫?」

「え?あ、ああ。」

少女に声を掛けられ、ブラックは困惑しながらも返事をする。

「ねえ、ドジラスはどうしちゃったの?」

すると、ウッカリーが少女に聞いた。

「彼はジュエルシードに寄生されています。」

「ジュエルシード?」

「まさか、あの青い宝石か!?」

ウッカリーが首を傾げる中、ブラックエクスプレスは答えを導き出した。

「一体、どうすればドジラスは元に戻るんだ!」

「ジュエルシードを封印すれば戻ります。でも、その為には動きを止めないと。」

「よし!それなら俺様達も手伝うぞ!!!」

少女の説明を聞いたブラックエクスプレスは武器である暗黒鉄球を取り出した。ウッカリーも背中のキャノン砲を前に向けている。

「ダメ!危険過ぎる!!」

「そうは言っても、子分が大変な事になっているのに親分の俺様が何もしない訳にはいかんからな。」

「同じ子分もだよ!」

少女が止めようとするが、ブラック達の決意は固かった。

「分かりました。気をつけて下さい。」

二人の覚悟を聞いた少女は共闘を受け入れる。

「行くぞ!暗黒鉄球!!!」

まず、ブラックエクスプレスが暗黒鉄球をドジラスに向かって投げた。すると、ドジラスはそれを両手であっさりと受け止める。それだけでなく、なんと暗黒鉄球を引っ張った。

「ぐっ・・・身体の大きさだけで無く、パワーも上がっているのか!?」

何とかそれを耐えるブラックエクスプレス。すると、今度はウッカリーが背中の煙突型キャノン砲をドジラスに向かって発射した。

「目を覚ましてよ、ドジラス!」

「ゴホッ!?」

発射された暗黒石炭はドジラスに当たり、黒い煙を撒き散らす。それにより、ドジラスの視界が遮られ、ブラックエクスプレスを引っ張る力が弱まった。

「今だ!!!」

その隙を逃さず、ブラックエクスプレスは暗黒鉄球に電流を流す。

「アバババババ!?」

ブラックエクスプレスはいつもこれでお仕置きをしているため、効果は抜群だ。
それに合わせ、少女が戦斧を振るった。

「ジュエルシード!封印!!」

すると、戦斧から金色の帯のような物が伸びてドジラスに巻き付いた。そして、ドジラスの身体から例の青い宝石、ジュエルシードが分離し、ドジラスは元に戻った。

「これで大丈夫です。」

そして、少女はそう言うと、宝石を戦斧の中に取り込むのであった。

「そうか、それは良か・・・」

その時、なんとブラックエクスプレスとウッカリーが倒れてしまった。

「だ、大丈夫ですか!?」

それを見た少女は慌てて二人に駆け寄る。すると・・・

グゥ〜

腹の虫の音が響いた。

「は、腹ペコの状態で戦ったから・・・

「もう動け無い・・・」

「「ガクッ」」

そして、二人は気絶した。

「ど、どうしよう!?」

困惑する少女であったが、ひとまずドジラスを含めた三人ともを自分の家に運ぶ事にした。



これが、少女“フェイト・テスタロッサ”とブラッチャー三人組の出会いである。



続く


 
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