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『八神はやて』は舞い降りた

作者:羽田京
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第1章 悪魔のような聖女のような悪魔
  第10話 エターナルロリータ

 
前書き
・ストックがなくなったので、更新頻度が落ちます。すみません。 

 
 部室なう。
 

 ――ってわけで、やってきたオカルト研の部室。
 魔法陣やらシャワールームやら、目を引くものが多々ある魔窟であった。
 壁に書かれている意味ありげな魔法陣はどういったものなんだろうか。
 え、ただのインテリア?それっぽいでしょって?
 そーなのかー。
 
 
 目の前には、リアス・グレモリーがいる。
 その両隣には、姫島朱乃、塔城子猫が控える。


 リアス・グレモリー。
 グレモリー家の出身で、現魔王サーゼクス・ルシファーの実妹。
 バアル家に伝わる『消滅の魔力』を持つ、若きエリート悪魔。
 オカルト研究部の部長であり、部員は全員彼女の眷属である。
 眷属たちは、転生悪魔と呼ばれ、チェスの駒に見立てた能力を持つ。
 『女王(クイーン)』『僧侶(ビショップ)』『戦車(ルーク)』『騎士(ナイト)』『兵士(ポーン)』がある。


 姫路朱乃。
 幼いころに母と死に分かれ、リアス・グレモリーと出会い眷属となった。
 正体は、堕天使バラキエルの娘であり、母を見殺しにした父バラキエルを恨んでいる。
 駒は、『女王』。


 塔城子猫。
 はぐれ悪魔となった実姉黒歌のあおりを受け殺されそうになる。
 彼女も、リアス・グレモリーに拾い上げられ、眷属となった。
 猫妖怪の末裔であり、仙術という特殊な技術を扱うことができる。
 もっとも、今の彼女では仙術は扱えないが。
 駒は、『戦車』。


 隣を見れば、案内を終えた木場悠斗がいる。
 彼は、天使陣営における聖剣計画の人体実験の犠牲者である。
 神器『魔剣創造』を持ち、剣技に秀でる。
 グレモリー眷属にして、駒は『騎士』。


 いまは、お互いの自己紹介をしているところである。
 グレモリー眷属の紹介が一通り終わった。
 

「次は、ボクの番だね。ボクは神器もちで、名前は『夜天の書』というんだ。昨日使って見せた魔法もその一種だよ」

「へえ、すごいな。悪魔しか魔法は使えないと思っていた」

「あら。一誠は知らないようだけれど、人間にも魔法使いはいるわよ?彼らは、悪魔の魔法を下地にして、人間用に改良しているの。わたしの眷属として活動していれば、そのうち出会うこともあるかもね」
 

 兵藤一誠は、ボクが悪魔でもないのに魔法を使えると聞いて、非常に驚いていた。
 彼も最近転生悪魔となり、消費した駒は『兵士』8つすべて。
 規格外の力をもつ神器の所有者であるホープだ。
 彼の言う、魔法=悪魔の図式は正しい。
 だから、他のグレモリー眷属は、異質な神器に少なからず疑問をもっているようだしね。
 どのみち、原作に関わっていく以上、隠している力を解放することもあるだろう。


 ――――リリカルなのはの魔法や夜天の書は、様々な意味で、この世界では「異常」である


「それで、どんな魔法が使えるんだ?」

「それについても説明する。他にもいろいろと機能があって、たとえば――」


 まず、人間が扱える魔法。
 歴とした科学として成立しているプログラミングで成り立つ魔法技術。
 騎士甲冑は、オートガードとして優秀だし、飛行魔法で自由に飛びまわることができる。
 非殺傷設定なんて、概念すらないだろうし、プログラム体であるボクたちは、半不老不死といえる。
 サーチゃーで気づかれずに監視出来、自由自在に個人で転移出来ると聞いたらどうなることか。
 とりあえず、ここでは適当にごまかしておく。


「――といった具合かな」

「なるほどねえ。わたしも知っていたとはいえ、あらためて聴くと、デタラメな性能よね。あなた達が使う魔法は、他人が行使することはできないのかしら」

「以前に、申し上げたとおりです。ボクとボクの家族だけですよ」


 適当にごまかした内容でさえ、リアス・グレモリーを驚愕させることができるのだ。
 つくづくリリカルなのは式の魔法は便利である。

  
 次に、夜天の書。
 元の世界ですらロストロギア認定された破格の性能をもつ魔道書である。
 守護騎士や管制人格の実力は非常に高い。
 ボクを含めた皆が、夜天の書に記載されている魔法を扱うこともできる。
 加えて、夜天の書内の防衛プログラムが正常化したことで、主であるボクは保護下におかれている。
 すなわち、プログラム体になり、防衛プログラムに本来搭載されていた修復機能の恩恵を受けることができるのである。


「ん?家族が使えるのなら、他の人間も使えるってことじゃないのか?」

「鋭いね。ボクには5人の家族がいるんだけど。彼女たちは皆、夜天の書に付属した存在なのさ。昨日、兵藤くんは、現場で銀髪の女性をみただろう?彼女もその一人なんだ」

「マジかよ。あの巨乳さんは、人間じゃないのか。でもそんなのかんけいねえ!今度、是非紹介してくださいッ!!」 

「だが断る」


 ――まあ、弊害として成長できないのはご愛敬だ。
 おかげで、ヴィータといっしょに、永遠の9歳児に仲間入りしてしまった。
 実は、普段の姿は、変身魔法を使っている。
 原作にもでてきた「大人モード」を参考に、成長した姿をイメージ化した。
 アニメ第三期の「八神はやて」といえば、近いだろうか。


「さて、ボクの自己紹介は、こんなところだ。次は、誰にする?」

「そうねえ。一誠君以外とは面識があるのだし、彼が自己紹介すればいいわよね」

「おう。俺の番だな。俺も神器もちだ。最近、発現したばかりで、まだ扱いこなせていないんだが――」


 最後に、ボク自身。
 無尽蔵の魔力に、夜天の書の主という立場。
 魔力が大きすぎて、精密な動作が苦手なのは、ご愛嬌だ。
 こんなところまで原作に似せなくてもいいのに。


 しかしながら、リインフォースとユニゾンしたときこそ、ボクは真価を発揮する。
 駒王町をまとめて消し飛ばせる広域せん滅魔法を連射できるといえば、その凄さがわかるだろうか。
 ゆえに、ユニゾンは奥の手として、ぎりぎりまで隠すことにしている。
 ユニゾンすると、変身魔法が解かれ、幼女姿を曝すことになることも理由のひとつではある――――もちろん、周囲には秘密だ。


「――っていうわけなんだ。正直、実感がわかないけれど、上級悪魔目指して頑張るつもりだ」

「『上級悪魔』ね。領地を手に入れて、女性の眷属でも手に入れようってのかい?」

「うぐッ」

「さすが、八神先輩です。一発で見抜くとは」

「簡単なことだよ、塔城さん。これでも一応クラスメイトだし、彼はわかりやすい性格をしているしね」

「つまり、単純ってことですね。兵藤先輩にもっと言ってやってください」


 そんな本心を隠しつつも、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の説明を聞いて、
 さも、はじめて知ったかのように驚いてみせた。
 ドヤ顔の兵藤一誠が若干ウザかった。が、なにせ伝説の装備を手に入れたのだ。
 少しぐらい有頂天になったとしても、仕方がないかもしれない。
 ボクだって、夜天の書をもっていて、それを誇りに思っているのだから。


「さて、自己紹介はこれでお終りね。さっきも説明したけれど、はやてと家族たちには、はぐれ悪魔の討伐などで協力することが多いのよ。後日でいいから、他の人たちと顔合わせしたほうがいいわね」

「そうだね。ボクたち家族は、グレモリー家の客人扱いになっている。だから、厳密には悪魔陣営とはいえないけれど、基本的には共闘関係にあると思っていい。今後、家族に会う機会もあるだろうから、会った時にでも紹介するよ」


 その後、いくつかの決まりごとや他愛もない雑談をしてから、お開きになった。
 教会を監視しているサーチャーからは、アーシアの様子が送られてきている。
 やはりというか。あまり扱いはよくないようだ。
 なんとかしてやりたいが、グレモリー家の客人であるボクでは、
 堕天使に干渉して、戦争のきっかけをつくることになりかねない。

 
 原作知識のとおりなら、堕天使の総督であるアザゼルは戦争否定派だ。
 が、コカビエルのような戦争狂もいる。迂闊に動くことはできない。


 ――――偽善かもしれないが、ボクは、ボクにできる限りのことをしようか。
 
 

 
後書き
・主人公はエターナルロリータ。ヴィータの仲間。
・チェスの駒を消費することで転生悪魔として眷属化することができます。
・グレモリー眷属には、『僧侶』があと一人います。彼は、あんまり登場しないと思います。
・『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』は、神滅具(ロンギヌス)と呼ばれる強力な神器(セイクリッドギア)の一つ。まあ、ロストロギアみたいなもんです。力を無限に倍加できるという、単純にして強力な神器。
 
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