迷子の果てに何を見る
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第二話
前書き
ここで出会ったのも何かの縁だろう。
ならその縁を大事にするのは悪いことか?
byレイト
第二話 旅の道連れ
side レイト
軽く自己紹介を済ませた後、オレとエヴァンジェリンは堂々と教会を占拠した。
「それで貴様の目的は何だ」
「それなんだが、ちょっと長くなるんだが聞いてくれ」
そうしてオレは今まで起こったことをエヴァンジェリンに話してみた。
「なぜ異世界だと思う。違う大陸なだけという考えもあるだろう」
「それだけは無いんだよ。オレは文字通り世界中を見て回ったんだよ。だから星の概念なんかも知っている。そしてオレの世界では魔法は病気でもない限り誰でも使える物なんだ」
「ほう、誰でもか」
「まあ、才能やら色々あるけど種類がとにかく多い。だからどれか一種類は使えるのが普通なんだ」
「種類?」
「媒介やら詠唱やらが全く違う物だな。見本を見せよう」
椅子から立ち上がり、外に向けて右手を突き出す。
「我が手に宿るは炎の精、その身を以て燃やし尽くせ。ファイアボルト」
右手から炎の固まりが飛び出していく。
次にポケットの中から呪符を取り出して外に向かって投げる。
「汝は炎」
呪符が燃え上がり先程と似た様な炎の固まりとなって飛び出していく。
「こんな感じのが後四種類程あるからな、だから誰でも使える」
「なるほど、では聞くが先程人を殺していたあの技は一体なんだ。魔力も気も何も感じさせずに何をした。アレも誰でも使えるのか」
「アレを使えるのはオレともう一人だけだ。今の所はな」
「ほう、どんな技なんだ」
言うべきかどうか悩んだが協力者は欲しいので正直に話すことにする。
「......森羅万象を操ることが出来る」
side out
side エヴァ
今こいつが言ったことが理解できなかった。
森羅万象を操る。
逆に言えば、出来ないことは無いとこいつは言った。
「......本気で言っているのか」
「......本気だ」
「ならそれをどうやって証明する」
途端あいつの姿がどんどん老けていく。
幻術でも変化でもない。
本当に老けていく。
そして、また若返っていった。
「これで良いか?」
「ああ。信じられんがな」
こいつの底が見えない。
正直恐怖すらある。
だが傍にいて安心感もある。
「それでお前はこれからどうするんだ」
「できれば君にこの世界にある魔法を習いたい。構わないだろうか?」
「言ってなかったが私は真祖の吸血鬼だぞ。それでも良いのか」
その時のあいつの顔は不思議なものだった。
安心した様な、そんな顔だった。
この時はなぜこんな顔をしたのかが分からなかった。
「そんなことか、オレは吸血鬼以上の化け物だからな」
それを知ったのはずいぶん先のことだった。
「これからは頼むよ。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル」
「エヴァで構わんよ。レイト」
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