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万華鏡

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第五十一話 文化祭開幕その五

「そうしないかい?」
「今からなの」
「ああ、今からさ」
「何かあるの?部室で」
「部室でカップ麺パーティーするらしいんだよ」
 火、コンロの類は使えない。それで袋麺は食べられないがこちらは食べられるのでそれになるというのだ。
「それでどうかって思ってさ」
「そうなの」
「どうだい?カップ焼きそばとかカップうどんもあるぜ」 
 カップのものなら何でもだというのだ。
「それを食べながらさ」
「飲むのね」
「書記さんのお兄さんの一人が八条食品の人でさ」
 八条グループの中の企業の一つだ、インスタントラーメンやカレールー等様々な食品を扱っている。
「カップ麺大量に送ってくれたらしいんだよ」
「大量に?」
「二百はあるってさ」
「多いわね、一人辺り十個じゃない」
「何でも試食で不採用になったのがかなりあってさ」
 一つの製品を店に出すまでに数多くの努力が舞台裏においてある、それで試食の段階でボツになった商品も多いのだ。
 だからだ、そういった商品はというのだ。
「それの在庫一掃で」
「妹さんに丸投げしたのね」
「で、書記さん携帯でお兄さんに文句言ってたよ」
「書記さんも大変ね」
「だよな、とにかくな」
 それでもだというのだ。
「ラーメンが大量にあるからさ」
「それでパーティーするのね」
「お湯はあるからさ」
 電気の湯沸しで幾らでも作られる、これは。
「お酒もあるから」
「だからなの」
「ああ、琴乃ちゃんも今から行くかい?」
「今からするの」
「部長さんが大張り切りでさ」
 書記はともかく彼女がだというのだ。
「それでなんだよ」
「今からなの」
「それであたしも景子ちゃんから携帯で連絡を受けてさ」
「そうなの・・・・・・あっ」
 美優の口から景子の名前を聞いた時にだった。
 琴乃の携帯が鳴った、今着ているジャージのポケットに入れていたのだ。それを見てみると景子からのメールが来ていた。
 メールの内容は、予想通りだった。
「カップ麺のことだったわ」
「ああ、言ったすぐ傍からか」
「ええ、そうね」
「じゃあどうするんだい?」
 美優は琴乃にあらためて問うた。
「これから」
「ううん、クラスに戻ろうって思ってたけれど」
「行ってきたら?」
「そうしたら?」
 一緒にいるクラスメイト達はこう琴乃に勧めてきた。
「そうしてきたら?」
「後でクラスに戻って来てもいいじゃない」 
 彼女達はこう琴乃に言うのだった。
「別に何処にいてもいいから」
「最初は部室に行ってもいいでしょ、今日は」
「確かに。それじゃあ」
「ええ、また後でね」
「気が向いたらクラスの方に戻って来てね」
 こう言って琴乃の背を言葉で押してだった、そのうえで。 
 琴乃は美優にだ、それならという顔で答えた。
「じゃあ」
「ああ、楽しく飲もうな」
 こうしてだった、琴乃は美優と共に部室に向かうことになった。その祭クラスメイト達と笑顔で別れた。
 そうして部室に入るともうそこにはプラネッツのメンバーは全員いた、他の一年生の面子も揃っている。
 そして二年の先輩達もだ、全員いてだった。
 部長がだ、カップ焼きそばをすすりながら琴乃にこう言ってきた。
「これで全員揃ったわね」
「カップ麺パーティーですよね」
「ええ、そうよ」
 それだとだ、部長は琴乃に答える。
「じゃんじゃん食べてね」
「お兄ちゃんがやるって言ってね」
 書記はカップヌードルを食べている、そのうえで琴乃に話すのだった。 
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