久遠の神話
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第六十七話 人相その十二
「そしてそうしたことを言う組織や人間がいると思っている人間もだ」
「妄想を見ているだけですね」
「そうだ、完全にな」
工藤はまたしても忌々しげに言った、吐き捨てる様に。
「右でもいるがな、そんなことを言う奴は」
「ああ、ネットでですね」
「そして自分を世界征服を企む悪と戦う正義の戦士としたいのだ」
「そのまま特撮ものの主人公ですね」
「絶対の正義なぞない、この世にはな」
この世には確かに正義もある、だがそれでもだというのだ。
「絶対の、普遍の正義はな」
「そうしたことはないですね」
「自分が正しいことをしていると思えば人はそこからおかしくなる」
己を正義だと無謬的に思ったその時点からだというのだ。
「他の者と悪としていくからな」
「そうした奴も多いですね、世の中は」
「正しいことをしていると思った奴はそうではない」
実は、というのだ。
「そうした奴はすぐに吐き気を催す奴になる」
「ああ、そういう奴って本当にネットでいますね」
「いる、ネットは頭のいい大人が馬鹿をする場所だが」
「頭の悪いガキの遊び場じゃないですね」
「そうした風に考える奴が頭がいいか」
「そんな筈がないですね」
高橋も言う、そのことがわかっているが故に。
「絶対に」
「そうだ、頭が悪く実際の生活が無残な奴程ネットで自分が正しいことをしていると思う」
そう思い込むというのだ。
「そして暴れる」
「周囲の迷惑も考えずに」
「そうした奴は正義じゃない」
「むしろ悪ですね」
そうした輩共が攻撃しているつもりのそれだというのだ。
「しかも吐き気を催す」
「まさにな」
「何でそういう奴っているんですかね」
高橋は苦々しい顔で工藤に言った。
「そういう奴がテロとかするんですよね」
「そうだな、他人を巻き込んでな」
「自分勝手に」
「自分しかなくなるからな、そうした連中は」
「エゴですね」
「そうだ、エゴだ」
人ならばどうしても絶対に存在しているものだ、このことは否定出来ない。
しかしそれでもだ、工藤はこう高橋に言うのだ。
「エゴが巨大になり抑えられなくなりだ」
「ああなるんですね」
「そこで自分を正しいと思う」
「正しいことをしていると、ですね」
「そうなるからだ」
テロやそうした自己が肥大化した結果の行動を採る様になるというのだ。
「問題なのだ」
「そういうことですね」
「特にだ」
「テロリストですね」
「ネットでも悪質な荒らし行為はそうなる」
テロ行為になるというのだ、所謂サーバーへの攻撃なりがそれに当たるだろうか。
「自分こそが正しい、相手は絶対に間違っていると思うとだ」
「あっ、自分が法律だと思いますよね」
「そういう奴はいるな」
「いるんですよ、これが」
警察にいればそうした人間をどうしても見ることになる、そしてそうした人間が見せる醜さや薄汚さ喪で見るのだ。
「俺が正義だ、法律とか言って」
「捕まってもだな」
「罪を認めないですね」
「本当にいるからな」
「嫌なんですよ、俺達警察にしても」
正義と担うとされている彼等でもだというのだ。
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