MS Operative Theory
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ドムの開発①
——MSによる陸戦を一変させた、ZIMMAD社の局地戦用重MS——
ZIMMAD社が開発したMS-09(ドム)は、地上における機動性を向上させるため、推進器に熱核ジェット・エンジン(正確には熱核ジェット⁄ロケットを併用した熱核ハイブリッド・エンジン)を採用した、局地戦用重MSである。
MS-06(ザクⅡ)は、熱核ロケット・エンジンとAMBACシステムを駆使し、宇宙空間で高い機動性を発揮した。しかし、地球上では脚部を用いた歩行とスラスターを併用した短距離ジャンプで移動するしかなく、その機動性は著しく低下することとなった。
そのためジオン公国では、ZEONIC社とZIMMAD社を中心に、地球上における機動性向上を目的とした局地戦用MSの開発が進められた。これに対するZEONIC社の回答は、MSに直接的または間接的に飛行能力を付与するというもので、MS-07Hシリーズやサブ・フライト・システムの始祖となったド・ダイYSを開発した。
これに対しZIMMAD社は、熱核ジェット・エンジンによるホバー走行システムを採用した局地戦用MSを開発したのである。
ZIMMAD社はかつて主力MS選定とライアルにおいて、革新的な大推進力エンジンである「木星」エンジンを搭載したEMS-04(ヅダ)を提示したが、本機は試験中に空中分解事故を起こしている。
また、ザクの1.8倍というコストも問題視された結果、ヅダは不採用となった。その後、ZIMMAD社はザク、グフのライセンス生産を行い、さらにはザク・シリーズをベースに水陸両用MSを開発することになったのである。
ZEONIC社の下請け的な存在となっていたZIMMAD社が、地球上での機動性向上を目指して開発した局地戦用MSが、このドムである。ドムのベース機はZEONIC社製のMS-07C-5(グフ試作実験機)と考えられており、YMS-09(プロトタイプ・ドム)を経て、MS-09の形式番号を冠したドムが完成した(一説によると、ホバー走行式MSの開発自体はU.C.0078の開始とされ、ドムの基本設計の終了はU.C.0079,06といわれる)。
ドムが画期的だった点は、シールドの装備を前提としない重装甲と当時のMS用携行兵装としては最大級の破壊力を持つ360mm口径のジャイアント・バズ、そして何よりも全備重量81.8tに達する機体をホバー走行させる熱核ジェット・エンジンを装備していたことであった。
この熱核ジェット・エンジンこそ、ヅダに搭載された「木星」エンジンの改良型である「土星」エンジンで、時速280~381kmでの高速移動が可能であった。これは時速80km程度の歩行速度とされるザクⅡと比較してはるかに優れていた。
事実、ドムは大火力と高機動性を用いた一撃離脱戦法や機体の操作性の高さが評価され、ジオン公国軍は陸戦用主力機としてドムを採用した。また、ドムが採用したホバー走行機講と、脚部やスカートにスラスターを配置する構造は、後のMSにも多大な影響を与えたのである。
補足事項
——ドムとヅダの関連性——
ドムの推進器には、EMS-04(ヅダ)用の「木星」の発展型である「土星」が使用されたことはすでに述べた(リック・ドムのエンジンも「土星」系である)。ZIMMAD社はヅダの雪辱をドムで晴らしたが、この話には続きがある。
ドムの技術がフィードバックされたヅダは、U.C.0079,10、EMS-10として復活したのだ。これに伴い、エンジンは「木星」から「土星」へと乾燥され、機体も補強されたはずであった。だが、ヅダの復活はプロパガンダこそが目的であり、空中分解事故を起こしかねない欠陥気であることに変わりはなかった。
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