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万華鏡

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第五十話 遂に開催その九

「ライブ会場の方もね」
「全部整ったからですか」
「それぞれのクラスに行ったか遊びに出たわ」
「それで部長さんお一人ですか」
「一年の娘達も同じで」
 二年生達と同じくだというのだ、それぞれのクラスか遊びに行ってそれでいないというのだ。
「あんたと私だけよ、今ここにいるの」
「そうなんですか」
「ええ、それであんたも自分の楽器のチェックしたらどうするの?」
「ええと、それからは」
 実はそこまで考えていなかった、それでこう言うのだ。
「どうしようかと」
「予定ないのね」
「夜までは」
「夜は皆飲むからね」
「どうしましょう」
「じゃあ百合する?」
 素っ気なくだ、部長は琴乃にこんなことを言ってきた。
「そうする?」
「百合ってまさか」
「そうよ、毛布もあるし」
 急に思わせぶりな笑みになってだ、部長は琴乃に言うのだった。
「丁度いいでしょ」
「私そういうのは」
「趣味じゃないの?」
「というか部長さんそんな趣味あるんですか?」
「冗談よ、そんなことはね」
「ないんですか」
「冗談よ」
 それに過ぎないとだ、部長は琴乃に笑って返す。
「私女の子には興味ないから」
「だといいですけれど」
「百合はないのよ」
 そういった趣味はというのだ。
「男の子だけだから」
「その冗談はちょっと」
「楽しめなかった?」
「本気かと思いました」
「びっくりしたでしょ、二人きりだし」
「はい、本当に」
「大丈夫よ、それに彼氏も一人だけだから」
 浮気もしないというのだ。
「そういうことはしないからね」
「部長さんってそういうところ真面目なんですね」
「そういうところはね、とにかくね」
「はい、楽器ですね」
「チェックすることはいいことよ」
 部長は笑顔で言う。
「いい心掛けじゃない」
「いや、クラスメイトに言われまして」
 それで来たとだ、琴乃は真面目に答えた。
「それでなんです」
「そうなのね、それでもね」
「いいんですか」
「そこで来ることがよ」
 他人に言われたこととはいえ、というのだ。部長は微笑みながらも賢者の顔で琴乃に言うのだ、それが目にも出ている。 
「いいのよ」
「自分で決めて来るのが一番なんじゃないですか?」
「まあね、それが一番よ」
 このことはそうだとだ、部長も認める。
「やっぱりね」
「ですから」
「けれど世の中は一番だけじゃないのよ」
 部長は微笑みながらこうも言うのだった。 
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