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ヘタリア大帝国

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TURN116 カテーリンの資質その三

「軍事裁判を行う法律も権限も我々にはありませんし」
「では書記長のことも」
「興和の条件として提示したままです」
 東郷はあっさりとゲーペに述べた。
「ご安心下さい」
「何か僕達に凄くいい条件での講和だね」
 ロシアはここまでの流れを見て言った。
「そこまでなんて」
「そうですね、ここまでいい条件ですと」
 どうかとだ、ロシア妹も言う。
「こう言っては何ですが裏があるのではと」
「思うよね」
「無論我々も条件があります」
 日本妹がソビエト側に述べた。
「興和の条件として貴国には連合国から離脱してもらいます」
「そして枢軸国に参加して欲しいんだね」
「最低でも中立国になってもらいます」
 こう言うのだった。
「是非共」
「そうなんだ、僕達は負けたし」
 このことは厳然たる事実だ、ロシアは今はこのことから話した。
「それでこれ位いい条件だし」
「それならですね」
「うん、中立国でいる位でも悪いよ」
「私もそう思います」
 ロシア兄妹はこう話す。
「バルト三国はもう独立したみたいだけれど」
「彼等は仕方ないとしまして」
「色々と思うところはあるけれどね」
「ロープと蜂蜜を用意したいところですが」
 トランクス一枚にしてロープで縛ってそこで蜂蜜を塗って虫が多くいる場所に転がすのだ。ロシア妹の大好きなお仕置きのやり方である。
「ここはですね」
「うん、いい条件だね」
 バルト三国のことはとりあえず置いておいてだった。そのうえでだった。
 ロシアはカテーリンにだ、こう進言した。
「枢軸国に参加しよう」
「そうしてなの」
「うん、講和の条件としては申し分ないよ」
 むしろ思いも寄らぬまでの最高の講和条件だというのだ。
「だからね」
「私もそう思います」
「私も」
 ゲーペとミーリャもロシア兄妹の意見に賛成してカテーリンに述べた。
「ですからここは」
「枢軸国に参加することでいいと思うよ」
「枢軸国側に入ることはいいけれど」
 それでもだとだ、カテーリンは彼女の懸念をここで話した。
「ただ、我が国は共有主義だから」
「太平洋経済圏にはですね」
「そちらには入ることは出来ないわ」
 山下にきっぱりとした声で答えた。
「悪いけれど」
「ではその条件でいいです」
 宇垣がカテーリンにそれでいいと述べた。
「御願いします」
「そうなの、それじゃあ」
「はい、では御願いします」
 こう話してだった、そのうえで。
 講和は何のトラブルもなく進んだ、こうしてソビエトは連合国から離脱し枢軸国に参加することになった。ただし太平洋経済圏には入らなかった。
 量共捕虜も速やかにソビエトに返還された、亜空もソビエト軍に自動的に編入となった。
 その亜空にだ、ウクライナが今の心境を尋ねたのだった。彼等は丁度モスクワに戻ったところであった。
「あの、今のお気持ちですが」
「複雑だな」
「そうなんですか」
「何と言っていいかわからない」
「そうですね、提督は暫くラーゲリにおられましたし」
「そこにいてもよかったが」
 それでもだというのだ。 
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