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ヘタリア大帝国

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TURN116 カテーリンの資質その一

           TURN116  カテーリンの資質
 カテーリンは覚悟を決めていた、そのうえでだった。
 傍にいるミーシャとロシア兄妹に決死の顔で言った。
「何があってもね」
「うん、カテーリンちゃんがどうなってもなんだね」
「皆は私が守るから」
 怪訝な顔のミーリャに答える。
「だから安心してね」
「けれど若しカテーリンちゃんに何かあったら」
「あっ、そのことは安心してね」
「私達がいます」
 ロシア兄妹は心配する顔でカテーリンを気遣うミーリャにあえて微笑んで答えた。
「僕達が同志書記長には指一本触れさせないから」
「お任せ下さい」
「けれどもう私は」
「いいんだよ、だって書記長は僕の上司じゃない」
 ロシアはカテーリンにも微笑んで答えた。
「だからね」
「安心していいの?」
「そう、それに向こうは領土と捕虜の返還を約束してるじゃない」
「私のこともよね」
「彼等は安全を約束するってね」
 このことを約束しているからだというのだ。
「安心していいよ」
「信用出来るの?」
 カテーリンは疑問に思う顔でロシアに問うた。
「私、今思うと」
「開戦の時だね」
「うん、資産主義だから。悪い子達だからって言って」
 ロシアから先に約束、即ち条約を破ったというのだ。
「そのことがあるから」
「大丈夫だよ、今から来るのは日本君達だよね」
「ええ、そうよ。
「日本君は好きじゃないけれど約束は守るから」
「約束は破らないのね」
「量共捕虜も返してくれるよ」
 まずこのことを安心していいというのだ。
「それに書記長もね」
「そうなの」
「行こう、今からね」
 ロシアもカテーリンの傍に来た、彼の妹もまた。
 二人はミーリャと共にカテーリンを護りそのうえで会談の場に赴いた、会談の場には日本兄妹の他に東郷と宇垣、山下がいた。
 ここで山下はこちらが一人多いことに気付いて日本に言った。
「あの、こちらが一人多いので」
「だからですか」
「この交渉はそれぞれ同じ数で行った方がいいかと」
 こう日本に言ったのである。
「そう思いますが」
「そうですね、ここは」
 日本もだ、山下の話を受けて宇垣に顔を向けた。そのうえで日本側でこの場で最も立場のある宇垣に問うた。
「どうされますか」
「はい、それではです」
 宇垣は日本の問いに真面目な顔で答えた。
「ゲーペ長官をお呼びしましょうか」
「あの方ですか」
「ソビエト側に来てもらいましょう」
 そうしてはどうかというのだ。
「如何でしょうか」
「はい、それでは」
 日本はそれを受けてだった、そうして。
 ソビエト側にこう話したのだった。
「あの、そちらさえ宜しければ」
「ゲーペ長官をですか」
「今はイタリア君達のところにお客人としておられます」
 その彼女をだというのだ。
「帰国に帰ってもらいますが」
「カテーリンちゃん、どうするの?」
 ミーリャは日本の言葉を受けてカテーリンに問うた。
「先生に戻ってもらう?」
「それは」
「先生がいてくれたら」
 それならとだ、ミーリャはカテーリンに話す。 
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