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鉄槌と清風

作者:deburu
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3部分:3:邂逅…そして、会話?


3:邂逅…そして、会話?

 その出会いは、偶然か、必然か…されど、交わった二つの軌跡は、物語を描き始める。

 「ったぁー…って、みた、みたのかいまの!?」

 「あぁ、なんか変な声したから、来たんだけど、何してんだお前?」

 「何って…修行だよ、実験とか、自由研究にみえるか?」

 「いや、修行って普通こんな所でやるもんじゃないだろ?」

 「仕方ねーじゃん、家でやるには場所が無いんだし」

 「だったらどっかの道場とかないのかよっ!」

 「道場は遠いんだよ、車で何時間かかかるし、教えてくれる人もいねーし」

 「はぁ?、んなことやってたら、怪我するぞガキ一人じゃ」

 「んぁっ!?、何言ってんだそっちだってガキじゃねーか、しかもんなでかい犬一人でとか、あぶねーし!」

 「(………狼、なんだがな)」

 「んだと、こら、あたしはガキじゃねーですー」

 「だったら、俺もがきじゃねーよ、ほらっ」

 近づき、ぽんぽんとヴィータの頭を叩く少年…良彦…どう見てもヴィータの方が年下である。

 「てっめっ、なにすんだ!」

 ばしんと手が払われ、脛につま先がたたきつけられる。

 「痛っー、手目、なにしてくれんだ、いきなり!」

 「そっちがわりーんだろ、はっ!」

 「(……ヴィータ、いきなり何をしてるんだ)」

 「(だってよ、ザフィーラこいつ、なんか蹴りやすいんだよ)」

 「(すまん、意味がわからん)」

 「何処がわりーんだよ、一寸頭叩いただけじゃねーか?!」

 「何で気安く、頭とかたたくんだっての」

 「叩きやすかったんだよ!」

 「意味わかんねーぞ、お前!」

 「お前じゃねー、良彦って名前があんだよ、ガキ!」

 「こっちだってガキじゃねー、ヴィータッつー名前があるっての!」

 お互いの顔を思いっきり近づけ、いがみ合ったかと思うと

 「はっ、修行の時間損したっつーの、まったく、さっさとどっかいけよヴィータ」

 「悪かったですよー、良彦、勝手に頭に木材打ちまくってろ馬鹿、目で見るだけじゃなくて耳とかも使うんだなっ!」

 お互いがふいっと、別れ、良彦は再びロープで吊るされた木材の囲いの中へ、ヴィータはザフィーラを連れて、歩き出していく。




 怒りと共に修行を再開する良彦、怒りに任せて強く木材を殴り飛ばし、反動で強く木材に打ちつけられるのをくりかえしていた。


 「ったく、なんだっつーのヴィータとか言うガキは、アイツにあってから調子わりぃ、っつの」

 ごろんと、地面に横たわり……痛みが治まるのをぶつぶつと呟きながら待ち…ふっと、木の間から差し込む日差しに目を瞑る。
 いらだっていた心がゆっくりと落ち着き…

 「そういや、耳がとかいってたな…」

 手を伸ばして、木材を軽く放るように動かす…微かながら、葉のざわめきとは違う、木材が空を切る音。

 「木材が、動く時にする音、か……それだけじゃないな、ロープからも少し音がする、ふむ」

 暫くしてようやく立ち上がり

 「もいっちょー!」

 がつんと、木材を殴りつける…『弾き』はせず、目で見て、音を聞いて『捌く』…死角の木材も、音を聞き、振り向いて…受け止める、『弾く』暇がない。
 だけど、受けられはする、目と耳をできる限り動かす…目で見て音を聞いてできる限り『捌く』、間に合わないものは受ける…何度も繰り返し、
等々死角から気付き切れなかった木材に頭をうたれる。

 「ってぇー…でも、いままでで一番長くできたな」

 うずくまりながらも満足そうに呟く…

 「耳、か…音も大事、ってことかぁ…はぁ」

 少女…ヴィータ…の言っていたのはこれなのか、と…納得半分、納得できない部分半分で、溜息が出る。

 「でも…一歩すすんだんだな、なら、礼はしないとな」

 微苦笑のなか、良彦は呟いていた

 「ヴィータ、だっけ…翠屋のシュークリーム辺りで喜ぶかな」



 「ったくなんだってのあのガキは、生意気なっ」

 「(あの少年も、上手く行かなくて気が立っていたんだろう、落ち着けヴィータ、騎士たるもの常に冷静にな)」

 「判ってんだよ、でも、あの良彦とかいうのは、なんか…こう、なぁ」

 「(…ふむ、しかし珍しいな)」

 「あ、何がだ?」

 「(お前が一度で名前を覚えるのが、な)」

 「はぁ、あたしはそんなに頭わるくねーぞ?」

 「(いや、此方の人の名前は覚えづらいと以前いっていたきがするが?)」

 「偶々だろ、偶々」

 「(それに、怒っているのにアドバイスをするというのも珍しい)」

 「あ、あれは、あの馬鹿が、これ以上馬鹿にならねー用にだよっ」

 「(………そうか、しかし)」

 「しかし、なんだよ?」

 「(お前があれだけ初対面の相手と会話するのも珍しいと思ってな)」

 「なんか、あたしの事どう思ってるかききたいんだけどな、ザフィーラ」

 「(ふっ、さてな…ともあれ、急がないと夕食に間に合わんぞ)」

 「そりゃやべぇ、急ぐぞザフィーラ、ギガうまな料理が待ってる」

 大型犬…ザフィーラ…と少女…ヴィータ…が掛ける、これもまたこの町の新しい日常の一ページ。

 「(…しっかし、なんであいつの目見た瞬間、なんか変な感じしたんだ、初めてあったはずなのに)」

 ヴィータの思いは誰にも伝わる事無く、心の内へしまわれていった。
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3話目です、誰がどの台詞か一応はわかるように書いてるつもりですがどうでしょうか?
次も、会話回ですが、他のキャラも一寸でるかもしれません。

5/2
一寸予定変更して、魔法覚醒関連を先にいれます。
 
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