万華鏡
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第五十話 遂に開催その一
第五十話 遂に開催
琴乃は朝起きてすぐにシャワーを浴びた、彼女はそれですっきりと日常に戻ることが出来たがクラスメイト達の中には。
そうでない面々もいた、彼等は死にそうな顔でこう言う。
「ちょっと八条温泉行って来るから」
「それか寮のお風呂に」
「そこで汗かいてお酒抜いて来るから」
「そこからクラスに戻るから」
こう言ってだった、彼等はリアカーに運ばれながら酒を抜きに行く。琴乃は朝御飯のお握りを食べた後で歯を磨いた。
その歯を磨く手洗い場で里香と一緒になった、そこで里香に尋ねた。
「ねえ、そっちのクラスどう?」
「予定通りよ」
里香も歯を磨いている、そのうえで琴乃に返事をしている。
「このままいけば 文化祭に間に合うわ」
「そうなのね」
「うん、いけるわ」
里香は上機嫌で答えている、見ればその黒髪は綺麗に洗われている。琴乃は彼女もシャワーを浴びたことがそれでわかった。
そのことも見てからだ、琴乃は言うのだった。
「里香ちゃんもお酒抜いてきたのね」
「ええ、すっきりしてるわ」
「じゃあそのすっきりとした体調で」
「そう、また頑張るわ」
里香は笑顔のまま琴乃に話す。
「今日もね」
「頑張ってね、私もね」
「琴乃ちゃんもなのね」
「うん、頑張るから」
琴乃は歯を磨きつつ里香に笑顔で答えた。
「お化け屋敷ね」
「頑張ってね、そういえば琴乃ちゃんのクラスのお化け屋敷の看板だけれど」
「あの将軍様ね」
「死んだの?昨日看板クラスの前に飾ってたわよね」
「そうなの、昨日ちょっと描き加えてね」
「頭から血を流して凄く不気味な感じになってるわね」
「あえてそうしてみたの、クラス委員の娘とお話してね」
琴乃は里香にこのことも話した。
「どれが一番怖いかってお話して」
「怖いわ、雰囲気も出て」
「でしょ?素材がいいからね」
「怖くするのにはね」
「そうそう、モデルの人がああいう感じだから」
不気味な顔だからだというのだ、確かにあまり生理的に受け付けやすい顔ではない。
「人造人間から今度はああなったの」
「ゾンビになったのね」
「そう、あのままね」
頭から血を流させたりしてそう変えたというのだ。
「いいでしょ」
「うん、怖いわ」
実際にこう返す里香だった。とはいってもその顔は笑顔である。
「いい看板ね」
「でしょ?インパクトがあってね」
「程よくね、けれどインパクトもね」
お化け屋敷では絶対のそれもだというのだ、里香がここで言うことは。
「あまりあり過ぎるとね」
「かえって問題なのよね」
「前に話してた先代将軍様が裸で団体で出て来るのはね」
「インパクトが強烈過ぎて」
「うん、駄目だったと思うわ」
しなくてよかったというのだ、里香はこの話もするのだった。
「怪物より怖いわよ」
「けれどあの先代将軍様も肖像画だとね」
それこそ日本人の誰もが知っている肖像画だ、初代将軍のそれと共に日本人の多くが知っている絵である。若しかすると教科書の芸術的絵画より有名かも知れない。
「やけに男前よね」
「そうよね、実物よりも遥かに」
男前だというのだ。
「有り得ない位にね」
「若いし」
尚且つ歳まで誤魔化している、美化しているだけでなく。
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