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ヘタリア大帝国

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TURN115 オリジナル対クローンその六

 最後尾の陣にいるカテーリンは苛立ちを隠せないまま全軍に言った。
「後退は駄目です!全員その場に踏み留まって最後まで戦うのです!」
「同志書記長!第七陣が崩されました!」
「第八陣も今攻撃を受けています!」
「それでもです!」
 ソビエト軍にとってよくない報が来る、だがそれでもカテーリンの言うことは変わらない。
「全員退くことは許さないです!敵前逃亡の将兵は撃つと警告しなさい!」
「味方をですか」
「撃つのですか」
「若し逃げるのなら」
 それならばだというのだ。
「それは私も同じです」
「いえ、同志書記長を撃つなぞとても」
「我々には」
「ソビエトの法律は皆が守るものよ!」
 この場でもこの持論を出す。
「だからこれも当然よ!」
「わかりました、では」
「そうさせてもらいます」
「敵は消耗していくわ、間違いなく」
 それを狙っての布陣だ、例え各個撃破を受けていてもだ。
「それならです」
「このままですか」
「守っていきますか」
「そうします」
 絶対にだというのだ。
「守っていれば勝てます」
「わかりました、同志書記長のお言葉なら」
「我等は従います」
 クローン達もカテーリンの手の甲を見た、それでだった。
 彼女の言葉に無批判に頷く、そのうえで、
 その場に留まり続け果敢に戦う、劣勢だが一歩も引かない。東郷はその彼等の戦いぶりを見て秋山に言った。
「やはりな」
「石の力ですね」
「そうだ、間違いない」
 今話すのは石のことだった。
「あのお嬢ちゃんの言葉に皆が従うのはな」
「石故ですか」
「聞いてみれば共有主義には問題点が多い」
「はい、やはり子供の考えです」
「それに過ぎないがな」
「今読むと本当におかしな部分が多いんですよ、赤本も」
 リディアが大和のモニターに出て来て話してきた。
「ただ、それでも」
「石を受けているとか」
「石も大きいです。ただ」
「ただ。石以外にもあるのか」
「カテーリン書記長は真面目なんですよ」
 リディアはここでカテーリン自身のことも話した。
「そうなんですよ」
「確かに真面目だな」
「私がなくていつも皆のことを考えていて」
「悪い娘じゃないな」
「問題は確かに多いですけれど」
 それでもなのだ、カテーリンは。
「努力もされますから、それも必死に」
「ただ。かなり頑固ですね」
 秋山はカテーリンの性格の問題点を指摘した。
「こうと決めたら動かない」
「そういうところはありますね」
「それに。私が言うのも何ですが」
 自覚による前置きからさらに話す。
「心にゆとりがないです」
「そうしたところもありますね」
「ですがそれでもですね」
「いい方ですから」
 リディアが言うと他のソビエトの提督や国家達もだった、東郷に対してカテーリンのことを話すのだった。
「本当に国家と人民のことを第一に考えてくれているから」
「政策も厳しいにしても」
「生活も質素ですよ、あの人は」
「贅沢なんか絶対にされませんから」
「いい人ですから」
 それでだと話してだった、今もカテーリンのことを守ろうとしていた。今は敵味方に別れていても。
 東郷もその話を聞いてだ、静かに言う。
「わかっている、この戦いの後でじっくりと話して君達が決めてくれ」
「人民の人達が決めることですね」
 リディアがまた言った。 
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