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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第13話:知己激似

 
前書き
さあさあ150話ですよ。
サブタイトルは勝手に造った四文字熟語。
知己激似(ちきげきに)とは「知ってる人に凄く似ているじゃん!?」って意味。 

 
(ロザリーヒル)
ホイミンSIDE

「シ、シンシア!? 生きてたんだねシンシア!!」(ドガッ!)
「何なんだ貴様は!? いきなり人の妻に襲いかかりやがって!」
人山の中から抜け出すと、綺麗な鎧を着たシンさんが吹き飛ばされたところだった。

事態について行けないボクは、一緒に人山から抜け出たライアン様と顔を見合わせながら呆然と眺めている。
「い、一体……何事でしょうかね?」
「わ、解らん……だがリュカ殿は『妻』と言ってなかったか?」

確かに言ってました……だからボクとライアン様はリュカさんへ視線を再度向けます。
そこには、大きな天蓋付きのベッドで金髪の女性の肩を抱き寄せている(リュカさん)の姿が……
「あの金髪の女性がリュカさんの奥さんですかね?」
「………」

ライアン様に疑問を投げかけたのだけど、ライアン様は答えてくれませんでした。
思わずライアン様の顔を見ると、口を半分開け金髪の女性に見取れています。
……何でしょう? 何だか解らないですけど、何だか嫌です。

「や、やり過ぎだよリュカさん! 天空の鎧を着てなきゃシン君死んでるよ!!」
「あの鎧を着てるからやったんだ。手加減はしている!」
「あの子……何?」

ベッドの方ではリュカさんウルフさん、そして金髪の女性が大きな声で話をしてます。
ボクの視線を感じたライアン様は、慌てて視線を他に移しました。
やっぱりボクはライアン様に気に入られてないのでしょうか……?

「ごっめ~んシン、生きてるぅ?」
リューノさんが壁に打ち付けられたシンさんに近寄り、何やら謝ってから手を引いて起き上がらせてます。
一体何を謝ってるのですかね?

「な、何? リューノちゃん……どういう事!? 彼女はシンシアじゃないのか?」
「うん。あの女性はビアンカさん……お父さんの奥さんよ。憶えてる、私が初めてシン達の前に現れた時、シンシアの事をビアンカさんだと勘違いしたわよね。あの後あんまり話題にならなかったから忘れてたけど、シンシアとビアンカさんはそっくりなのよ! 違いは耳かな……ビアンカさんは人間で、シンシアはエルフだからね」

「おいリューノ……そう言う大事な事は前もって言わなきゃダメだろう! 俺と再会して随分と時間は経ってるし、リュカさんと再会したって結構経つ!」
「だからごめ~んって……色々事が盛り沢山で、みんなに報告するのを忘れてたのよ。ごめんちゃい(てへ♥)」

「まぁ良いじゃない。取り敢えず問題は無くなったんだし……それに笑えたじゃん! 格好いい鎧を着込んだ伝説の勇者が、もの凄い勢いで吹っ飛ばされるシーンって(笑)」
ウルフさんのもう一人の彼女のマリーさんが、リューノさんに近付き笑いながら話をまとめ出す。
やっぱりリュカさんの血筋は厄介だ。

「お前の元カノに似ていようが、彼女はビアンカだ! 僕の妻のビアンカだ!! イカ臭い手で触んな!」
「も、元カノじゃない! 今だって俺の彼女だ……」
リュカさんの発した言葉に強く反応するシンさん……何だか悲しそうだ。

「今カノだと言うのならビアンカに抱き付こうとするんじゃねー! そのシンシアに抱き付けよ」
「あ、あのお父さん……」
「もう死んだんだ……シンシアは……」

ああ……リュカさんは遂に言ってはいけない事を言ったらしい。
沈痛な面持ちで俯くシンさんとリューノさん。
さっきまでざわついてた室内は痛いほど静かだ。

「そんなこと僕が知るか! それよりお前等全員出て行け。僕はこれからビアンカと夫婦するから、お前等全員この部屋から出て行け!」
凄い……流石は厄介菌の元凶だ。
この重い雰囲気を物ともしない精神構造……

「何言ってんだ馬鹿! 今までの事をビアンカさんに説明しなきゃならないんだから、リビドー垂れ流すのは後にしろよ!」
身勝手なリュカさんを説得するウルフさん……でも、

「今までの説明なら僕が一汗かきながらする! お前等はさっさと出て行けば良いんだよ!」
そう言うとウルフさんを突き飛ばし、ベッドのカーテンを勢いよく閉めて籠もりました。
カーテンの奥では「あん、リュカ……慌てちゃダメぇ……」とか聞こえてきますが、お二人ともボク達の事を気にするつもりはなさそうです。

ボク達全員、ビアンカさんの甘い声を聞きながら呆然と立ち尽くします……
すると突然、緑色の何かがベッドへ駆け寄りカーテンを引き裂き叫びます。
「貴様、何をやってるか……ロザリー様から離れろ!」

「あ゛、何だよ!? ロザリーなんて知らねーよ……」
引き裂かれたカーテンの向こうに見えたのは、既に裸状態になってるリュカさんとビアンカさんです。
きっと反対側の隅で、こちらを覗っているのがロザリーさんだと思われますが、緑の人は気付いてない様子です。

裸のビアンカさんを見て思わずライアン様に視線を向けました……
するとやはり、ライアン様はビアンカさんの裸に見取れてます。
ボクのお胸の方が大きいのに……ボクではダメなんですか、ライアン様?

「君の事は後で口説く予定だったんだけど……混ざりたいの? 良いよ僕は」
「はぁ? 後で口説くって……この無口、女なの?」
既に身体を服で隠したビアンカさんが、隣で裸のままのリュカさんに尋ねてます。

でもボクも同じ疑問を持ちました。
甲冑で声がくぐもってるから判断できませんが、女性と断定する要因が見当たりません。
何でリュカさんには判るんでしょうか?

「わ、私を侮辱するのか!? 私はピサロナイト……デスピサロ様に仕えし騎士だ!」
ピサロナイトさんは大きな声で怒鳴り、引き抜いた剣をリュカさんの喉元に這わせます。
でもリュカさんは、剣先を軽く摘まむとニヤニヤしながらピサロナイトさんの後ろに居るウルフさんに、目で何か合図します。

(スポッ!)
「本当だ……リュカさんの言う通り女性だった。しかも、この顔は……」
合図されたウルフさんは、無駄の無い動きでピサロナイトさんの兜を取り去り、その中の顔を検めます。

「え、嘘……お母さん!?」

ホイミンSIDE END



(ロザリーヒル)
アローSIDE

何だか事態が急展開している。
奥さんと子作りしようとしてたリュカさんに激怒した緑の甲冑が、優雅な動きでアニキに兜を脱がされ面を晒すと、オイラの隣に居たリューラが『え、嘘……お母さん!?』と驚きの声を発する。

「うわぉ……ピエールにそっくりだね君。もしかしてホビット族かな? 美女だとは感じてたけど、予想外の美女だ(笑)」
緑の甲冑は殺気を振りまきながら威嚇し続けている。
しかしリュカさんは裸のまま股間を隠そうともせず、まったり口調で会話し続けている。威嚇の効果は薄そうだ……

「あの……リューラ。ピエールさんって誰?」
オイラの予測では、ピエールさんとはリューラの母親なんだと考えているが、その事を確認する為に娘さん(リューラ)に訪ねてみる。

「わ、私の……お母さん。お父さんの愛人……」
やはりそうか……
でも、娘までもが愛人という地位を理解しているのは如何なものかなぁ……

「ふん! そのピエールという奴は、随分と男の趣味が悪いのだな」
緑が突き出している剣をリュカさんが摘まみ動かせない状態の為、奴は口喧嘩を吹っ掛けてきた。この一族に口喧嘩で勝てるわけないのに……

「何言ってるんだよ……君だって同じ顔に惚れてるんだろ? デスピサロに惚れてるんだろ!?」
「な、何を……い、言うか!!」
どうして判るんだろう? あの動揺っぷり……図星みたいだなぁ。

「デスピサロってのは何やら人間の存在を嫌っている節がある。そんな男に従属しているホビットの君も、きっと人間に良い感情を持ってないのだろう。違うかい?」
「ふん、その通りだ! 人間など滅んでしまえば良いのだ!」

「デスピサロとしては君は最高に信頼できるナイトなんだろう。『ピサロナイト』と自らの名前を与えるほどだからねぇ……それに信頼できない奴に、愛する女を守らせられないからね」
「当然だ、私はデスピサロ様の忠実な騎士! デスピサロ様の期待には決して裏切らない」

「って事は、君がデスピサロの配下に馳せ参じたのは、人間を滅ぼす計画に同調したから……奴の女を守る為ではなかったはずだ」
「………」
緑は何も答えない。答えられないのかな?

「本来なら、実行部隊の一人として人間殲滅作戦に従事したいと思ってる事だろう。だけど現状は違う! 女の世話係を言い付けられ、君はそれに従っている。この顔と同じデスピサロに惚れてなきゃ、そんな屈辱的な事には耐えられない……」
「……ぐっ……」

緑の顔が真っ赤になってゆく。
怒りなのか、恥ずかしさからなのか……オイラには判らないけど、顔が真っ赤だ。
そして頻りに部屋の隅に居るエルフの事を気にしている。
そのエルフは吃驚仰天って感じで立っている。

「それにさっき……通路で初めて会った時、僕の事を見て『あ、デスピサロ様♡』と嬉しそうに呟いてた。あれは恋する乙女の咄嗟に出た呟きだ。互いの位置を入れ替える時、持ち上げられた君は驚きながら『キャッ♡』って声も出してた……あれは可愛かったよ(笑)」

先程まで緑は兜を被っており、発する声はくぐもっていた。
オイラになんかは男女の区別もつかないほど、ヘンテコな声になっていたんだ。
何でリュカさんには、その声が可愛く聞こえるのだろうか?

アニキにも可愛く聞こえたのかな?
オイラはまだまだ修行不足って事だろうか?

アローSIDE END



 
 

 
後書き
サブタイトルが指す意味は、ピサロナイトとピエールの事でしたー!
またも出ました勝手に設定。
私がデスピサロだったら、どんなに信頼している部下でも、自分の女の所に男を四六時中就かせたくないんだよね。
ちょっとした勘違いとかで疑心暗鬼になるかもしれないし、ガチで出来ちゃうかもしれないじゃん!? 
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