| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

虹との約束

作者:八代 翔
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第一部
エピローグ
  エピローグ

 少年は河川敷に向かった。二年ぶりの再会だ。たまたま彼女の父親が東京に訪れる機会があり、時間を取ることができたらしい。
 そっとあの日のように河川敷に腰を下ろす。風の香りも、河面に映る光の粒も、風に乗って歌う草の声も、何もかもあの日のままだ。
 河川敷の道路に、一台の車が止まった。中から一人の少女が出てくる。二年経っているのに、変わっていないように見える。また、その少女の胸には、未だ汚れ一つない、金色のロケットが光り輝いていた。
 少女が手を振ってくる。少年も振り返す。自然と胸が温かくなった。

 あの雨の日、勇気を出してよかった

 少年は思った。

 二人は駆け寄り、抱擁を交わした。少女は微笑むと、行こうよ、と言った。
 二人の男女は、春の光の中へと消えた。
 繋がれた手は、決して離れなかった。 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧