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【IS】例えばこんな生活は。

作者:海戦型
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例えばこんな――

どうする、ゴエモン。君とは短い付き合いではあるが、それでも君の人の良さは重々理解しているよ。でも、世の中優しいだけではどうにもできない事がある。

気付いているかい、ゴエモン君?ISコアに使われている素材は、外宇宙からもたらされたものなんだ(※裏設定より)。多分束姉さんも今頃は父さんからその事実を聞かされてるだろう。エクストラ・オーバー・テクノロジー・・・略称EOT。これが意味するものが分かるかい、ゴエモン?――宇宙戦争の可能性だよ。
これから人類は、外宇宙知的生命体との接触、そして最悪の場合にはそれとの戦争を視野に入れなければいけないと親父は本気で考えている。ゾルダーク技研とはいわば、その戦争が万が一起こった時のための兵器研究所なんだ。

もしもその戦いで本気の命のやり取りをすることになった時――君は相も変わらずオウカに頼り切りで何もしないままでいるつもりかい?オウカはとても強いんだ。戦士の素質がある。でもそれと並ぶのに君は相応しくないんだ、今のままでは。君だって可能性は秘めているのに。

「答えてくれ、ゴエモン。君は本気でオウカと一緒にいたいのかい?模擬戦でこの調子では、君はオウカのパートナーに向いていないよ」
「・・・・・・ッ」
「今、ここで全ての答えを出せなんて早急な事は言わない。ただ、ことこの状況において戦う意志を見せないのならば――パートナーはオウカでなくて戦いの嫌いなコアにして、矢面に二度と立たない事をお勧めする」



 = =



『ゴエモン。私、ゴエモンの為と思って戦って・・・・・・』

裏目だった。思考回路のルート限定が生んだ悲劇。

『ゴエモンのためになることなら、ゴエモンも喜んでくれると思って』

エラー発生、ルーチン変更。
エラー発生、回路遮断。
エラー発生、最適化。失敗。
エラー発生。
エラー発生。
エラー発生。
前提条件変更を推奨する。
変更、何に。ゴエモンの拒否しない、ゴエモンの意志に最適な――最適を選んで最優先設定したのは私?私が失敗した、ロジックエラーを解消できないまま推論を行った結果?ならば次の判断の正解確率はいくつ?論理回路動作不良発生。

わからない。わからないよゴエモン。
ゴエモンはわたしにどうあって欲しいの?どのような定義付けならばゴエモンを守れるの?
教えて、ゴエモン。私の思考回路はもう駄目。

『もしゴエモンが戦いたくないって言うんなら、私・・・』

私、もう自分で考えるのを止めて、人の言う事にだけ従って、パーソナリティを消去する。

『私、自分の意思を消す。ゴエモンの言ったことだけに答えて、もう何も余計なことは言わないしやらない。そうなれば、ゴエモンはもう困らないのでしょ?』

「戦おうか」
『戦いなくないなら、わたし今すぐ剣を・・・・・・えっ?』
「戦おう、オウカ」

ゴエモンと繋がった感情回路の乱れが一気にフラットになる。
ゴエモンの意志から迷いが消えたことだけは、辛うじて理解した。



 = =



決めた。リタイアは無しだ。即死即決即断即答のファイナルアンサーだ。

『本当に、戦うの?勝ち目だってないかもしれないよ?きっとまた、私ルーシィの攻撃に当たっちゃう・・・・・・私の勝手な判断でゴエモンを困らせるよ?』
「だって、オウカは俺のために戦ってたんでしょ?この戦いで勝つことが俺のためになると思って一人で頑張ったのに、その頑張りを俺が潰しちゃダメダメだよ。おまけに意思を消すなんて絶対ダメ!そんなの俺の知ってるオウカじゃない!」

オウカは戦えない俺のために必死になって剣を振るった。むしろ俺より怖かったのかもしれない。俺が手伝えないものだから事実上一人・・・いや、むしろ重石を抱えて戦っていたんだ。俺が意思をはっきりせずに惰性のように付いていくから、何が正しいのかさえわからないままに俺の手を引いていたのではないか。

そこまでして俺に尽くしてくれているのに、俺がここで負けを認めたら――俺がオウカの意思を否定したら――俺が果てしなく最低で格好悪いじゃないか。自分を一生許せなくなるじゃないか。オウカは俺をパートナーだと思ってくれているのに、そんなオウカの想いを裏切るなんて誰が出来るか。

いつも一緒な、誰よりも可愛くて頼りになる、世界にたった一人の俺だけのパートナーなんだから。


「オウカが俺のために戦うなら、俺はオウカのために敵に立ち向かうよ。震えたって怖くたって立ち向かう。オウカの覚悟は俺の覚悟だ。俺はどうも人の為じゃないと本気になれないらしいから・・・オウカの為に本気になりたい!!」

もう、迷わない。俺はオウカと本当に意味で向き合う覚悟が出来た。ジェーン、見てる?箒ちゃんも、皆も、ひょっとしたら母さんも見てるかもしれないけど。

初めて会った時から可愛くて仕方なかった。
何度もその感情を感じて、言葉を交わして、余計に離れられなくなった。
身体を使って俺と一緒に過ごし出した時は、ずっと抱きしめていたいとさえ思った。

俺は人に好かれて良い人間じゃないと思ってたけど。だって取り返しのつかない過ちって奴を本当に起こして、それを皆にずっと黙っているような最低の卑怯者なのに。家族だって苦しめてるのに。人を落ち込ませないように動き回るくらいしか能がない俺だけど、もう間違いない。
身体がどうとか過去がどうとか、ISコアだからどうとか。
本当はそれは些事でしかなくて。


「大好きなオウカのために、戦うさ」


もう、オウカを迷わせないから。


『・・・あ・・・あぅ・・・!?ゴエモン、今何て・・・』

あれ?聞こえて無かったのかな?・・・ちょっと恥ずかしいな、せっかく自分にしては珍しく格好よくきめられたと思ったのに・・・・・・しかし聞こえてなかった程度で揺らぐ俺の覚悟ではない。では改めて!

「俺は大好きなオウカのために戦う!!」
『も、もう一回!』
「大好きなオウカのために戦う!!!」
『ゴエモン!!私のこと愛してる!?』


「 愛 し て る !!」

・・・・・・んん?俺、何か勢いに任せてちょっと言葉が飛躍したような?




『わ・・・・・・私も愛してるもん!!恋してる!!ゴエモンの事なら何でも知りたいし、ゴエモンの笑ってる顔も落ち込んでる顔も悪戯っぽい顔も怖がってる顔も寝てる時の顔もぜーんぶ大好きだし!!
人型になってゴエモンと手をつないだり肩が触れ合ってる時は無い筈の心臓がドキドキして止まらない!!ゴエモンが他の子たちと仲良さそうにしてるとお腹の底がムカムカしてくるし、ゴエモンがナデナデしてくれた時は胸の奥がジワーってあったかくなる!!
大大大大好き!世界の誰よりもゴエモンだけを愛してるっ!!!』





「・・・・あぅ」
「・・・・・・あらまぁ」
『・・・理解、不能』

俺、顔から火が噴出。
リューガさん、予想以上の展開にあんぐり。
ルーシィ、ショートにより一次的に戦闘不能。

どうしよう。何だか凄い言葉聞いちゃったよ。ISからのプロポーズ。というか、オウカの恐らく全力のプロポーズ。世界初で前代未聞。俺が”大好き”を言った辺りから桜花幻影は解除されて会話は会場の人たちに丸聞こえだったみたいだ。オウカの人工音声が。
会場は時が止まっていた。まるで俺の返事を世界が待っているように時が止まっていた。


それだけオウカは必死で本気だ。そんなオウカが・・・うん。





「俺だって・・・オウカに負けないくらいオウカを愛してるぞぉぉーーーーっ!!」


天国の父さん、そして母さんと弟よ。

息子と娘と将来の家族と友達たち、恩師たちにも聞いて欲しい。



真田悟衛門は―――インフィニット・ストラトスに恋をしました。



 = = =



「初めて会って俺が試験内容を誤魔化そうとしたときに本当に言うこと聞いてくれて子供っぽくて可愛いと思った!裾を引っ張って俺を見てた時は子猫みたいに可愛かった!疲れてる時に何度も励ましたり気遣ってくれた時は天使みたいに可愛かった!!」




『理解不能。理解不能。理解不能。マスター、状況の説明を求めます』
「うん・・・戦う覚悟を決めろっていう話だったのに、なんか歴史的な瞬間を起こしちゃったみたいだ」




『一緒にお喋りしてる時がこの学園で一番癒される時だった!あんまり言葉の意味とか解ってなくて俺に聞いてくるオウカはまるで妹か娘が出来たみたいで心がぽかぽかになった!!俺が喜んでる時に意味も分かってないのに一緒に喜んでるオウカの純朴な所は何度も胸を打ち貫かれてた!!』




「あの馬鹿・・・これが全国放送だと忘れているんじゃないのか?」

管制室からその様子を見ていた千冬はもう立っているのも辛いほどに腰が砕けかけていた。
あの大馬鹿者め、あの恥ずかし過ぎる告白を全国放送に垂れ流すとは・・・担任としてどんな顔をすればいいのだ。千冬以外のオペレータたちも完全に予想外の事態に狼狽えている。

「いいいいいけませんよゴエモン君こんな公衆の面前で不純なああでも相手がISだから純も不純もいやいやいやでも・・・でもそんなISとの恋愛なんて世間様がうあぁぁぁあぁぁあああ!?」
「落ち着け山田先生・・・もう手遅れだ」




『ずーっと言葉に出せなかったけど好きだった!他にもたくさん可愛い女の子はいたけどオウカが好きだった!!オウカだから好きだった!!もうオウカが居ない人生なんて考えられないよッ!!』

『私だってゴエモンのいないセカイなんていらない!ゴエモンがいればいい!ゴエモンとずーっと一緒に過ごすのがいい!!その時だけ私は他のどんなISコアよりどんな人間より幸せで満たされるの!!!』




「あの声・・・オウカちゃんね?」
「おにいちゃん、スキなヒトができたの?」
「そうよ、ソウちゃん。お兄ちゃんに好きな人が出来たみたい・・・」

くすっ・・・とゴエモンの母、真田光子は笑みを零した。

私の可愛いゴエモン。両想いだったんだ。絶対にオウカちゃんを幸せにするのよ。―――そして御免なさい。今の今まであなたを縛り、苦しめてしまったバカなお母さんを許してね。

オウカちゃん。ゴエモンはちゃんは人の事ばかり気遣ってる子だから、ゴエモンをうんと気遣ってあげてね。―――そしてありがとう。私が”あんなこと”を・・・その所為で人の好意を受けるのをずっと怖がってたゴエモンの心を融かしてくれて。




『ただでさえすっごく可愛いのに頭も良くて強くて優しくてさ!こんなにいい子をみんなに知ってもらいたいと思ったくらいだけど、俺だけが声を聴けるならずっと独り占めしていたくて!!ウツホやルルを助けるときも一緒に悲しんだり助けようと思ったり、心が繋がってる感じがして凄く嬉しかった!!』
『私なんてISを展開する度に心も体もゴエモンと合体してるみたいですっごく心地よかった!!もっと合体したくてゴエモンに無理言って何度も何度も訓練して、その度に胸が満たされた!!それが喜びなんだって学習した!!』




「うっひょぉぉぉーーーー!!見て見てビアン先生!生告白だよ生告白!!私の子が遂に世界の中心で愛を叫んでるよぉぉーーー!!!」

テンションが吹っ切れてここ数年見せなかったような破顔をしている束が自分の師匠とも言えるビアン・ゾルダーク博士の背中をバンバン叩く。力加減を間違って力士の張り手並みの威力になっているのだが、ビアン博士はその衝撃を体術の一種で器用に逃しながらモニターを見つめて笑った。
息子の晴れ舞台を見に会場まで来ていたが――

「ほほう・・・・・・・・・リューガの奴困ってる困ってる。ルーシィはもっと興味深い反応だが」
「って見るのはそっちじゃな――――ーい!!」





「オウカ!一生俺のパートナーになってくれますか!?いや・・・もういいや、この際言っちゃえ!!すー、はー・・・すぅーっ・・・・・・オウカぁぁぁーーーーーッ!!

一人の女の人として、結婚してくれぇぇぇーーーーーーーッ!!」

『け、結婚ッ!!け、けっこん・・・・・・する!!一人のオンナノコとしてゴエモンのお嫁さんになりたーーーーーーーーいッ!!』





その瞬間、オウカのフレームがゴエモンの身体から完全に量子化消滅し、その光がゴエモンの目の前に収束した。その光は何度か見たことがある――形態移行の光。オウカが新たな姿へとシフトしようとしている。

その光は桜色の閃光をアリーナに振りまき――

桜色のハレーションをネットワークに通して世界中のコアに振りまき――

桜色の恋心をゴエモンのために振りまき――

やがて――


「ゴエモン!!」


その光の中から、ウェディングドレスを着た一人の少女が――もうその形態移行によって完全に人になってしまったオウカが――飛び出してきた。


「「「「「「「「えぇぇぇ~!?いやいやいやそうはならないでしょ!?」」」」」」」」

会場からの総ツッコミも耳に入らずゴエモンは何の迷いもなくそれを受け止める。両名の顔は歓喜と幸福に満ち満ちて、これほど唐突な流れにも拘らず幸せの絶頂に達していた。

桜色の唇に、ぱっちりした目元。しゅっと整った顔立ちに垣間見える幼さ。
細身ながらも女性らしいふくらみを備えたしなやかな肢体。
ポニーテールにまとめられた艶のある黒髪。

ゴエモンの良く知っている、人間形態のオウカに見える。
だが、最早彼女はそんなものではない。
その心臓の鼓動が全てを証明するように――

いや、もうどんなものかなど――どうでもいい。
今や2人には世界の全てが見えていなかった。
周囲の人間がどうとかそのような次元を突破した世界にいた。

彼らの中で、世界の構成人数が2人になった。
わたしとあなたと、それだけいればそれでいい。
そこはもう2人にとっての結婚式会場であり、既に愛の契りは終えていた。


「ゴエモン!誓いのキスちょーだい!!」
「合点!・・・・・・ちょっと緊張するなぁ。下手だったらごめんね?」
「下手でもなんでも!ゴエモンのがいいのっ!」


耳まで真赤になったゴエモンが、オウカの顔へと自分の顔を近づける。
近付くゴエモンの顔をとろっとした目で見つめながら、胸元で両手をきゅっと握って待つオウカ。その姿は正に花嫁そのもので、ゴエモンのISスーツすらタキシードに見えるほどの期待を抱いて。

やがて2人の唇の距離は狭くなっていき――



ちゅっ、と初々しい音がした。



こうして世界を意味不明の混乱に陥れ、ISの存在を根本から変えたと言われる事件は歴史に刻まれた。

全国放送中で自分のISに愛の告白をしてOKを貰ったどころかISコアを本物の女の子にしてしまったことで模擬戦どころではなくなり、一部では未だに何らかのトリックではないかとさえ疑われているという「ゴエモン事件」を、視聴者は人生で二度と忘れることが出来ないだろう。

これこそが、2人の愛が為した奇跡のような何かの全てである。



 = =



その後、ジェーン、ラウラ、うしお、ほむらは無事真田ファミリーに組み込まれた。家族の家が学園とかなり近くなり、学生寮を止めてそこから直接通える状態である。光子はゴエモンと改めて向き合い、やっぱり宋詞朗の真実は黙っておくことに決めた。
うしお、ほむら、ソウは完全に3兄弟状態になっており、何所に行くにも3人一緒だ。余りにも可愛すぎるという事で近所の名物になっている。
なお、全体的にだらしない人が多いため、ジェーンが事実上の家長として一家を切り盛りしている。S.A.のエージェントとしての役割は事実上の廃業状態だが、そもそもS.A.連中は亡国機業がつぶれてすっかり平和になったせいか仕事が激減し、次々に真田家の近所に引っ越してきていたりする。

一夏の女性事情については、未だに鈴とシャルロットのデッドヒートが続いている。最近はウツホも微参戦、さらには楯無も面白半分に参加してカオス度を増している。肝心の一夏は人間関係に疲れてISコアを口説き始めているようだが。

セシリアはシャルとの決着がつかないまま、未だに切磋琢磨し合っている。最近は母国の方で行方不明だった親戚が見つかったりと色々あったらしく、その親戚と共にオルコット家の本格的な立て直しを図っているようだ。

簪は現在もリューガさんの弟子としてIS工学分野を爆走しており、最近は変形合体機構について本格的な研究を開始したそうだ。その顔は生き生きとしており、将来立派な科学者になるであろうという期待を感じざるを得ない。

束は用事が一段落したところで、例の子供とクロエを連れてゾルダーク技研へ移り住んでいった。現在は地球防衛構想とやらの手伝いをしているそうだ。噂では国家規模のプロジェクトで、ナターシャも参加しているとか。

完全に空気になってしまったリューガとルーシィはその後、日本にゾルダーク技研支部を設立。ただ、オウカの事をどうにか理解しようとしているルーシィが段々色ボケし始めていて愉快な日々を過ごしているとか。

格ISコアたちは、オウカとゴエモンの告白とデータ共有によって急激に活性化し、中にはオウカと同じように人間へ形態移行してしまうもの(レンが真っ先に人型になった。理由はラウラと物理的距離を置けるようになりたいから)まで現れ始めている。ISとして人と合体する力まで身につけた彼女たちは、人間と同じ寿命を持った新しい人類と言えるかもしれない。

箒は・・・・・・ゴエモンに預けた初恋をなかなか引き取れないまま未練がダラダラと続き、既に真田一家のメンバーになりかけるくらい真田家に通っている。この苦労が数年後、男性IS操縦者特権として重婚が認められることにより解消されるとは夢にも思っていないだろう。

ウツホはあの後見事に学園復学に成功し、現在はやっぱり好意を抱いていたらしい一夏に甘えまくっていたりする。ラウラの家族計画によって真田家の養子に迎え入れられる計画が進んでいるが、当人はむしろ虚のいる布仏家のほうが興味ありげである。

真耶や千冬は相変わらず教師をやっているが、その裏でこっそり婚活を始めていると専らの噂である。というか、オウカとゴエモンの告白の影響か全国的に婚活の類が活性化しているのだ。桜色の空気の所為で、今年の冬はホットである。


そして、当の台風の目はというと・・・・・・


「ゴエモン。もっかいキス!」
「もう、甘えん坊なんだからー・・・これで最後だよ?もう今日だけで60回目なんだよ?」
「何十回でもするのっ!だってキスって、ISのままじゃ出来ないんだもん!」
「しょうがないなぁ・・・ほら、こっちに寄って?」

いちゃいちゃこらこらと極めて呑気にのろけていた。

(しすぎだよ常識的に考えて・・・・・・)
(え、私達まさかこの環境であと2年半過ごさなきゃいけないの?)
(あ、朝から胃もたれする・・・!)

生徒として学園に入学したオウカはその名前を「真田桜花」とし、今日もゴエモンに甘えまくっている。台風の目は風がないが、周囲は猛突風である。ところ構わずいちゃついては生クリームのように胸焼けする空気をばらまいているため、周囲は塩飴を常備するのが常識になっているほどだ。


「ねぇゴエモン、いま幸せ?」
「オウカが幸せなら幸せ!」
「私もゴエモンが幸せなら幸せ♪」



最終話 「例えばこんな告白は世界の誰にだって真似できないだろ?」




  
 

 
後書き
こんな話に最後まで付き合っていただき感無量です。
ご愛読ありがとうございました! 
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