真剣で清楚に恋しなさい!
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一部 高校一年
プロローグ
2話 入学、川神学園
前書き
すごい懐かしいw
久々に読み返すと文章力の無ささえ目を瞑れば自分で書いた話覚えてないおかげで読めるというババロア脳です。
ここは川神学園に行くために通る橋、通称変態橋。ここにはだいたいモモ先輩への挑戦者が立っているらしい。さすが世界の武神、毎日違う挑戦者が現れるとは。まぁ、大体の挑戦者はモモ先輩の一撃で終わってしまうらしく、今回もその例を外れなかったようだ。二年ぶりにモモ先輩の技が見れるというのは研究できていいが、こうもあっさり倒されるとあまり意味がない。もっと粘ってくれればいいのにと理不尽なことを考えながら決闘を見ていると、後ろから声をかけられた
「おはよう、龍斗」
「うん? あぁ、モロか、おはよう」
「どうしたの?難しい顔して」
「いや、モモ先輩への挑戦者っていつもあんな感じで一撃なのか?」
「そだね、僕は一撃以外で終わるところは見たことないよ。」
「マジかよ…。」
「アハハ、龍斗は打倒モモ先輩を目指してるもんね」
今話しかけてきた、小柄で大人しそうな少年は諸岡卓也、通称モロである。風間ファミリーでは大和と同じく常識的な部類で、それゆえにツッこむことが多く、磨き抜かれたツッコミは天下一品である。だが、コイツはコイツで髪の毛フェチだったり女装癖があったりs
「ちょっと!!勝手に変なこと決めつけないでよ!! だいたい僕が女装したとこ、龍斗は見たことないでしょ!!」
もうこの際、心を読まれることに関しては考えることをやめよう。うん、実にいいツッコミだ…あれ?
「なぁ、モロ、俺はってことは……」
少しモロと距離をとっておこう、まさか本当にそんな趣味だったとは…。
「誤解しないでよ!!言葉の綾だよ!!」
モロが必死に弁明している。その姿が逆に信憑性を……
「大丈夫だ、それくらいの性癖、みんな受け止めてくれるさ」
俺はニッコリと微笑みながら悟した。
「全然大丈夫じゃないよ!!」
そこに決闘を終えたのか、モモ先輩が戻ってきた。
「ヤーマートー、お姉さんは欲求不満だぞ」
モモ先輩が大和に後ろから覆いかぶさるような形で抱きついた。
「ちょっと、姉さん、朝っぱらから抱きつかないでくれよ」
「いいだろ、お姉さんのスキンシップだ。それに最近戦い足りなくて頭がモヤモヤするんだ。」
「しょーもない」
「はぁ、はぁ、やっと追いついた。おーい、皆お待ちかねのナイスガイが来たぜ」
「あ、ガクトだ」
向こうから走ってきた、色黒のがたいのいい男が麗子さんの息子のガクトである。
風間ファミリーの中でも随一の腕力を誇っている。(俺やモモ先輩は空気を読んで除外している)。情に熱く、仲間思いの男気溢れるやつだが、女に弱く、ナンパして振られた回数は数知れずという残念な男だ。
女子と話すときの血走った目と荒い呼吸を直せばもうすこしもてるのではないだろうか。
「これでキャップと以外は全員揃ったな。」
なんとかモモ先輩から抜け出した大和が今度は京のアプローチを躱しながら言った。ちなみにゲンさんはいつもひとりで行ってしまうため一緒に行くことはほとんどないらしい。
「あれ?キャップはどうしたの?」
「うー、大和がつれない。キャップは先に一人で走ってっちゃったよ。」
「あはは、相変わらず自由だね」
「そろそろ、時間的にもやばいし、それじゃあ、行きますか」
一行はぞろぞろと学園へと向かった。
川神学園 F組教室
入学式も無事終わり、今はSHR中だ。どういうわけか全員同じクラスになっていたが、そこは気にしてはいけない部分だろう。このクラスの担任は小島梅子先生、厳しい先生だが融通が利かないわけではなく、生徒に対して生徒に対しても分け隔てないので人気の先生らしい。でも、手に持ってるあのムチはなんだ。いやまさかn
「熊飼!HR中に食べ物を食うな!!」ビシッ!!
「すいません、お腹が減っちゃって」
マジかよ!本当に叩くのかよ、問題にならないのか? さっきもお粉塗りたくった変なのがいたし、ここの教師変なの多くないか? なんてことを考えているとSHRが終わり帰宅になった。
「さて、帰りますか」
「ねえ、君名前なんていうの?」
突然、茶髪のいかにも今時の女子高生?みたいな女の子に声をかけられた。
「俺は黒月龍斗だ、よろしく。君は?」
「私は小笠原千花、よろしくね」
「うお、チカリン系がいきなり凄いイケメンを捕まえようとしてる系、そうはさせない系!」
突然向こうから山姥みたいな女子が飛びかかってきた。俺は本能的に危険を感じ取り全力で避けてしまい、ヤマンバみたいな女子はそのまま床をズサーっと滑ってしまった。
「すまん、大丈夫か」
慌てて手を伸ばすと、その手をがしっと捉えられた。俺はビビって手を振りほどこうとするが、力が強く解けない。
「うおっしゃー、イケメンゲット系」
「ちょっと、羽黒、やめなさいよ。それに私が先に声をかけたのよ!」
え、そういう問題なのか? ていうか、この二人は何なんだ…
「甘いぜ、チカリン、こいつはもうアタシのモノ系だっつーの」
「いやいや、さっきから二人ともおかしくない?俺は俺のものだからね?何その早いもの勝ちで所有権が決まるみたいな会話」
やっと会話に割り込めた。
「あ、ごめんね。コイツは羽黒って言って中学の時からの友達なの。」
「よろしく系だぜ、イケメン系。」
「よ、よろしく系。あと俺の名前は黒月龍斗系だ」
「別に乗らなくても…。まぁ、いっか。」
「千花ちゃんたちすごいですね。もう仲良くなった人がいるんですか。むむむ、これはお姉さんとして遅れを取るわけにはいきません。」
何やら今度は小さな可愛らしい女の子が来た。
「私の名前は甘粕真与です。よろしく、えっと・・・」
「黒月龍斗だ、よろしく甘粕さん」
「はい、私はこう見えても大人のお姉さんですからいろいろ頼ってくださいね」
「おう、頼りにしてるよ」
一方、教室の端では
「大和ぉ、いきなり女子に話しかけられてる野郎がいるんだが俺はこの怒りを何にぶつければいいんだ」
「諦めろガクト、あれがイケメンの力だ」
荒ぶるガクトの肩にそっと手をおく大和。いつも、でかいガクトがこの時ばかりは小さく、哀愁を漂わせていた。
「まぁ、龍斗は小さい頃からモテたものね」
ワン子も会話に加わってきた。
「なのに一回もOKを出したことがないからな、付いたあだ名が不落の月だったもんな」
「それは、大和が考えた痛いやつでしょ」
「グハッ!! まさか自分で墓穴を掘るとは」
「そんなドジな大和も好き、付き合って」
突如会話に入ってくる京、しかもきっちりと大和の隣に陣取っている。
「ありがとう、でもお友達で」
「このタイミングでもダメか、がっくし」
「京は新しい知り合いできたか?」
「孤独サイコー」
「ですよね~。あれ、ガクトは?」
「そういえばいないわね、あ、自分から話しかけに行ったみたいね。って、あれ?帰ってきた」
「シクシク、話し始めは良かったのに、龍斗が話し終わったのを見たとたんにそっちに行っちまった。」
「「「・・・・・・。」」」
三人ともかける言葉が見つからなかった。突然ガクトが窓の方へ走り出した。
「聞こえてるか、神様。あんたは不公平だぞー!!」
ガクトの魂の叫びが学園中に木霊したという。
金曜日
学校が始まって五日がたち、学校にも慣れてきたところだ。ユキやクマちゃん、井上や葵とも再開できたし、福本といった新しい友達もできた。しかし、まさか、女王蜂に会うとは思わなかった。・・・プッククク、まさかあの女王蜂がメイドをやってるとは、笑いが止まらなかった。ユキこと榊原小雪は一時期風間ファミリーのゲストメンバーだった。というのも、ユキは幼い頃、虐待を受けていて、それに気づいた大和が風間ファミリーに引き入れ、風間ファミリーの活躍により虐待していた母親は親権を剥奪され、ちょうど治療を受けていた先の葵紋病院の榊原さんの養子になった。それからは葵紋病院の院長の息子である葵冬馬や副委員長の息子の井上準等と一緒に過ごし、今でも三人でずっと一緒にいるようだ。ただ、ユキ自身は自分を救ってくれた大和に恋心を抱いているようだが・・・、本人も自覚してないので、今すぐどうということはないだろう。
一応、二人の補足をしておくと、葵は頭がとてもよくイケメンだが、男性女性どちらもいけるという変態だ。井上は、能力が高く比較的常識があるためツッコミ役だ。だがロリコンという深い業を抱えているため、ある意味では葵より危ないかもしれない。
女王蜂の話は、今日の金曜集会で話すことになるだろう。今日は二年ぶりの金曜集会の日だ。金曜集会というのは中学の時、親の都合で引っ越してしまった京のために毎週開かれていた集会のことである。
「いやー、龍斗がいる金曜集会って久しぶりだな」
「そうだね、かれこれ二年半も旅に出てたもんね」
「てなわけで、旅の話を聞かせてくれよな」
金曜集会が始まるなり、キャップが切り出してきた。
「まさか、旅の先々で綺麗なお姉さんと会ってきたんじゃねーだろーな」
ガクトがまだこないだのことを根に持っているようだ。
「まさか、あの九鬼のメイドと知り合いだったなんてな。私も驚いたぞ」
モモ先輩も気になっていたようだ
「メイドね・・・プハハははは、ダメだ堪えらんねえ。あいつがメイドとか」
本人の前でさんざん笑ったのに、まだおさまらないとは我ながら驚きだ。
「どこで会ったの?」
ワン子が不思議そうに聞いてくる。
「戦場だよ、あいつは元凄腕の傭兵だ。他にも血まみれステイシーとか、大佐とかとんでもない連中の中のひとりだったんだ」
「「「「「「戦場!?」」」」」」
話を聞いていた全員が驚いた。驚かすつもりではあったが、そこまで驚かれると逆にこっちがびっくりさせられるな。
「他にも鉄家を訪ねたり、北陸の剣聖十一段に会いに行ったり、松笠の龍鳴館にいったり、そこにちょうど止めてあった戦艦に乗っけてもらったんだ。そのあとドイツでおろさせてもらったんだけど、色々あって、一時期ドイツの雇われ兵みたいな感じで、戦場にだされたんだ。そこであったのが女王蜂だよ。」
「すげーなー、俺も早く海外を冒険してーぜ!!」
「キャップ軽すぎでしょ!!」
モロのツッコミが炸裂する
「すごいわね、本当にいろんなとこに行ってきたのね~」
ワン子が感心したように呟いた。
「鉄家というと乙女さんや陣内さんたちか、北陸の黛十一段に松笠にいる橘兄弟、とその娘の瀬麗武、どれも壁を越えた者たちばかりだ。これだけのところに行ってきたんだ、相当強くなっただろう?勝負しn「だからまだ嫌ですってしつこいですよ、モモ先輩」なんだよケチ~」
モモ先輩の視線が一瞬鋭くなったが、すぐに元に戻った。まだ戦闘衝動を抑えられているようだ。
「う~、私は戦ってないと頭にモヤがかかるんだよ~、ここは弟でもいじって気を紛らすか」
「やっぱりそうなるのか」
大和はもう逃げても無駄と分かっているのか、抵抗しない。
「ほーら、お姉さんの抱擁だぞー」
モモ先輩がその豊満な胸で大和の顔を埋もれさせた。
「痛い、痛い、痛い、前がすごい幸せだけど背中がー!!」
「抱擁とサバ折りのコラボだぞ」
「そんなコラボは勘弁だ!!」
しばらくして解放された大和があることに気づいた。
「今日、クッキーは?」
「クッキーってここにも来るのか?」
「そうだよ、普段はここの清掃と警備員をしてくれてるんだ。」
モロの解説が入った。さすが解説キャラだな、
「そんなキャラなった覚えがないよ!!」
「悪い、ツッコミキャラだったな」
「ツッコミキャラでもないから!!」
「「「「「「「え?」」」」」」
「みんなして乗らなくていいよ!!」
「で、キャップ、クッキーはなんでいないんだ?」
大和が話を軌道修正していく。
「いやぁ、昨日充電しそこねちまったから、いま充電中なんだ。」
「あれ、電気で動いてるのか、電気代とか大丈夫なのか?」
「九鬼のプレゼントってことである程度は負担してもらってるんだ」
今度は大和が解説に入った。
「あ、そうだ、みんなに言うことがあるの。」これまで黙っていたワン子が突然口を開いた。
「あたし、来月に試合なの!!」
「へぇ、練習試合とかじゃないきちんとした試合なのか?」
「そうよ、お姉さまへの挑戦者が弟子にも経験を積ませたいんですって。すごく久しぶりの試合だわ、師範代になるためにも負けられないわ!!」
ワン子は元気よくそう言いきった。…ん?となりのモモ先輩が少しだけ辛そうな表情をした気がしたけど、気のせいかな。
「?」
京も気づいたようだった、が気のせいだと思い直したようだ。
「頑張ってね、ワン子、応援してるよ」
「ワン子、ガンバ」
「負けんじゃねーぞ」
「頑張れよ、ワン子」
「怪我しないようにね」
「応援してるよ」
「頑張れよ、一子」
「ありがとう皆、アウウェーになるからってことで見には来れないけど、絶対勝ってみせるわ!!勇往邁進よ!!」
「早速、修行再開しなきゃ」
そう言ってワン子は腕立てを始めた。
「ワン子、来月って、その前に中間だぞ」
「みゃー!! そうだったわ。どうしよう?」
ワンコはうろたえ始めた。ワン子の成績はあまり芳しくなく、下手したら赤点になってしまうレベルだ。さらに他のにもガクトが同じように頭を抱えている。キャップとモモ先輩も成績が悪いのだが、この二人は成績など最初から諦めているので悠々としている。
「しょうがないな、今回は、俺が何とかしてやるから修行頑張れよ」
「ありがとう!!大和」
「まったく、お父さんは甘いんですから」
「まあまあ、お母さんも今回は大目に見てあげてよ」
「うーん、お父さんがそう言うなら」
「ほら、ワン子、お母さんにも礼を言っときなさい」
「ありがとう、ママ」
「役とは言え、悪くない、本当に悪くない」
そんな風に京と大和のショートコントをしていると、ガクトが便乗しようとしている。
「俺様のも何とかしてくれませんか?」
「安心しろお前には、ちゃんと問題集を作ってやるから」
大和がニッコリしながら答えた。
「ちくしょー、やっぱりそうなるのか」
「そういえば、龍斗は中学の部分の勉強とか抜け落ちてないの?」
モロが聞いてきた。確かに俺は中学3年間のほとんどを武者修行で過ごしていたが、修行先にも勉強をさせてくるおっかない存在がいたし、なにより
「俺は、高校入試のためにちゃんと勉強してたからな。大丈夫だ」
そんなこんなで金曜集会は過ぎていくのだった。
そして中間テストが終わり試験結果が発表された。ワン子は大和の言ったところだけ勉強し、見事に赤点を免れた。実は、大和はワン子の為に副業で代行業も営んでいる宇佐美巨人という不良教師と取引をし、テストに出る問題を仕入れていたのだ。教師としてそれはどうなんだ?最も大和はそんなことしなくても上位五十位以内に入るほど頭が良いので、必要ないのだが。風間ファミリーでは、勉強ができるのは俺、大和、京で、普通くらいがモロ、ゲンさん、ひどいのがガクトとワン子である。モモ先輩は頭自体はいいのだが勉強に対してやる気がないため、成績は悪く、キャップに至っては冒険家になるからテストなんて受けないと言って、テスト期間にいなくなることさえある。
ちなみに今回の成績上位五十名は葵がさすがの一位、二位が九鬼英雄で井上やユキが20位くらい、俺と大和と京は並んで8位、9位、10位だった。
その結果を見て京が
「大和にぴったりくっつく女ですから、ってあれ? 龍斗も大和の隣だ。まさか龍斗も大和を? これは妄想が加速するんだ!!」
などと叫んでいた。正直、勘弁して欲しい。
「テストも終わったし、試合に向けて勇往邁進よ!!」
そう言って一子は、学校が終わるなり修行に出かけた。
「元気だねえ、あれ?ゲンさんも帰るの?」
いつもなら、宇佐美先生のところに行くはずなのに珍しいな。宇佐美先生はゲンさんの里親でもある。
「ああ、親父のとこの仕事が久しぶりにないからな、たまには一子の修行を手伝おうかと思ってな、って、何ニヤニヤしてやがる!!」
「べっつにー、早く行きなよ」ニヤニヤ
「ちっ、」
軽く舌打ちだけすると、ゲンさんは顔を赤くして帰ってしまった。うんうん、ゲンさんをからかうのは楽しいなぁ。
「さて、俺らも帰りますか」
「秘密基地行こうぜー」
「いいね、行きますか」
俺たちの日常はまだ崩れることなく過ぎていく。ワン子の試合までは。
この試合が大きな決断を含んでいることを、百代以外はまだ誰も知らなかった。
後書き
地の文「解せぬ」
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