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ソードアート・オンライン 〜槍剣使いの能力共有〜

作者:カエサル
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閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
  64.神殺しの聖槍

 
前書き
第64話投稿!!

ALOで見つかる神を殺す槍!!
手に入れるためにシュウたちはクエストへ!! 

 


「シュウ、ちゃんと聞いてるの?」

という声とともに水色の髪の少女は俺に大きな二つの瞳を向けてくる。

「お、おう。.....で、なんだった、シノン?」

「撃つわよ」

一瞬で両手を上にあげて降参するようなポーズに苦笑いを浮かべる。眼の前にいる水色の短い髪にシャープな形の三角耳を生やしたケットシーの少女。一週間前にALOにやってきたばかりの新たな友人シノン。

「で、なんだ、シノン?」

降参ポーズをとったまま訊ねると、ため息を漏らしたのちに口にする。

「近接戦になった時の闘い方を教えてやる、とか言ったのはあんたでしょうが」

これが俺とシノンが現在ここにいる理由だ。
近接戦の闘い方を教えてやる、とは言ったが内心そんなもんいらないんじゃないかと思わされる今この現状。

キリトからシノンの射撃は異常だとは聞かされていたが眼の前で見た瞬間、俺は自分の言ったことを撤回したくなるくらいだった。
射程に特化した弓、ロングボウを、九種族中最高の視力を持つケットシーで使い、火属性魔法すら超えるレンジから矢をバンバン命中させ、モンスターに接近する隙すら与えず、倒すという光景を見てしまってわな。

これがGGOでつちかった知識なのだろう。俺やキリトが他のザ・シード規格のVRMMOでソードスキルを使うよりもたちが悪いのではないかと内心思い出している。

そんなことを考えながら俺は、シノンに近接戦での闘い方を適当に教えた。




「ふぅ〜.......疲れた」

仮装世界から戻ってきてまず口にした言葉がそれだった。
あれからシノンに近接戦での闘い方を教えたのはいいがそこから実践するということでデュエルを申し込まれた。それでデュエルを行うも片手剣だけで闘ったということもあるが近接戦に持ち込む前に遠距離射撃で普通に負けた。
終いには、それでよく死銃を倒せたわね、と言われるしまつだった。

アミュスフィアを頭から外し、ベットに置き、パソコンの電源を入れて一階へと降りる。適当に冷蔵庫にあったもので晩飯を済ませて再び二階へと上がる。

起動していたパソコンで国内最大級のVRMMOゲームの情報サイト、《MMOトゥモロー》のページを確認。

流し見をしている中、とある記事の前でマウスの動きを止める。
その記事をまじまじと見て、衝撃し、声をあげてしまった。

「な.....なにィ!!」

【《聖剣エクスキャリバー》に並び立つ伝説級武器《ロンギヌスの槍》、発見される!】

その記事には記してある武器紹介の写真を見て俺は再び、声をあげそうになる。
禍々しい真っ赤な柄に三つに別れた矛先。その姿は間違えなく俺がSAOでリズに頼み作り出された最強の槍《ロンギヌス》そのものだ。




「頼む!この通りだ!」

イグドラシル・シティ大通りに看板を出す《リズベット武具店》で外に聞こえてるんじゃないかと思うくらいの声が響く。

「シュウが頼むなんて珍しいな」

「そうだね。シュウくんが頼み込むなんて」

壁際にもたれかかる黒髪のスプリガンのキリトとその横に座るウンディーネを象徴するかのような水色の髪の長い少女、アスナが言う。

「まぁ.....確かにそうだな。でも、今回は、あの槍だけはどうしても手に入れたいんだ」

もう一度頼み込む。

「そこまで頼まれたら武士道として断るわけにはいかねぇよな」

「なにが武士道よ」

「クライン熱いね!熱いのは嫌いじゃないけどクラインだとね.....」

「テメッ!レイナ、せっかく俺がいいこと言ったのによ!」

このリズベット武具店の店主、レプラコーンのリズベットとサラマンダーの刀使いクラインと同じくサラマンダーの武闘家レイナが言いあっている。

「シュウくんは、なんでそんなに《ロンギヌスの槍》が欲しいの?」

「そうですね、どうしてなんですかシュウさん?」

俺の隣にいるシルフの金髪のポニーテールの少女、リーファとふわふわした水色の小竜を頭に乗せたケットシーの獣使いシリカが訪ねてくる。

「あの槍は.....俺がSAO時代に使ってた槍なんだよ」

「それが理由なの」

ボソッと隣から一言。背中に背を預け、腕組みしながら立っている、昨日俺をボコボコにしたケットシーの少女、シノンだ。

「まぁ、正直言えば、あのゲームを一緒に戦ってきた武器を人に使われたくないってのが本音だな。それはゲーマーとして許せない」

その場にいたキリト以外が呆れたといような表情を浮かべる。

「で、いつ行くの?」

その質問の答えにその場にいた全員が声を揃えて大声を出した。

「「「きょ、今日!!!」」」

「そんなでかい声だすんじゃねぇよ。別に今日とりにいくってわけじゃねぇよ。ただ偵察に行くだけだよ」

その言葉にその場にいた皆が少し安堵する。
だが、突然だったということで、アスナ、リズ、シリカは用事があるということで、結局、俺、キリト、リーファ、シノン、クライン、レイナ、ユイだけとなった。

「それでこのパーティーで行くのか?」

キリトが少し考え込んだように言ったくる。

「まぁ、そうなるな」

また考え込むキリト。
確かにあのクエストにこのメンバーだけで行くのは少しきついかもしれないがそこまで考えることがあるか?

「でも、あのクエストって《ロンギヌスの槍》に行くまでに確か三体の大型モンスターを倒さないといけないんだよね?」

「確か、そんなこと書いたあったな」

リーファが恐る恐る言う。

「このパーティー......あたし以外、回復役がいないよ」

「..........」

「それだ!俺が引っかかってたことは」

納得したようにキリトが手を打つ。

「じゃあ......どうしような?」

呆れた顔をするシノンとリーファ。

「アンタがあの時のシュウと同じ人物とは思わないわね」

あの時っていつだよ?、と言いかけたがそんなことよりもこの状況をどうにかしなければ。最低でも、回復役は二人はいる。今回のクエストに関しては二人でも足りないくらいだ。
なんでも、あの記事を見た限り、《ロンギヌスの槍》の前のモンスターもメチャクチャ強く。最後の三体を倒した後のモンスターはそいつら以上だと書いてあった。

そんな中、回復役が一人とか死にに行くようなものだ。

「遠距離からの弓で仕留められられないの?」

「そんなに甘いボスならとっくに誰かがクリア.....して.....る....」

シノンの言葉に何かが引っかかる。

(遠距離の弓......ゆみ......ユミ.....)

不意に思いつき、フレンドリストを調べる。そこのとあるフレンドの現在地を確認する。

「イグドラシル・シティにいる」

ボソッとつぶやいてそいつにコールする。




久しぶりにここに入ったような気がする。最初に入ったのは、アスナを助け出すためにキリトとリーファ、ユイとともにここに入ってサラマンダーのパーティーと戦うことになったんだよな。そんなことを思い出しながら俺たちはルグルー回路を進んでいく。

「で、急にわたしを誘ったんだから今度、ちゃんとお礼してよね、アッくん!」

少しキレ気味の口調で話す少女。水色のセミロングくらいのウンディーネの少女、《スペルマスター》の通り名を持ち、俺の従兄妹であるアーチャー/結美だ。

「悪い悪い。ちゃんとなんかするからさ」

「それならいいけどさ」

アーチャーの参加によって俺たちのパーティーは、俺、キリト、リーファ、シノン、クライン、レイナ、ユイ、アーチャーとなった。
普通なら回復役が二人という時点でやめるべきかもしれないが、認めたくはないが魔法のエキスパートのアーチャーが加わったことで回復は問題がなくなった。

ルグルー回路を歩くこと数十分。俺たちが目指す神殿が姿を現した。

「こんなんがルグルー回路の中にあったなんて.....」

リーファが少し驚いたような口調で言う。
それもそのはず、その大きさは誰もが唖然となるくらいのでかさ。こんなもんが洞窟の内部にある時点でおかしいくらいだ。

少し進むとNPCがおり、そいつに話をかけるとクエスト表示が出現する。

【《神々の息吹》を受託しますか?】

躊躇なく"YES"を押す。
すると神殿の扉が開く。俺たちを歓迎しているように。

「よし!それじゃあ、行くぞ!」

「「「おー!!」」」

全員の声がこだまする神殿に俺たちは、踏み込んだ。
 
 

 
後書き
次回、《ロンギヌスの槍》を手に入れるためにクエストに挑むシュウたち!!

そこに待ち受ける第一のフィールドボスが立ちはだかる!! 
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