この世界はヒーローが大勢いる!
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Every cloud has a silver lining(どんな雲にも銀に輝く面がある)
アカデミーでヒーローの衣装を受け取った日から数日後。俺、キャスター、セイバー、アーチャー、エドワードの五人は丞太郎さんと共にヒーロー協会が用意してくれたリムジンに乗って杜王町へと向かっていた。
……リムジンなんて初めて乗った。やっぱりS級ヒーローの丞太郎さんと一緒に行動しているからこんなに待遇がいいのかな。
まあ、それはともかくいよいよだ。ヒーローの衣装はできたし、ヒーローネームも決めたし、杜王町に着けばいよいよ俺もプロヒーローだ。前世の子供の頃に夢見たヒーローになれるように、そして「ジョジョの奇妙な冒険・第四部」で死ぬ予定の人を一人でも多く助けられるように頑張ろう。
「ねぇねぇ、砕くん。杜王町まであとどれくらいかかります?」
え~と、確かあと三十分くらいで……
“ズキン!”
……………………………………………!?
キャスターの質問に答えようとした時、突然頭に頭痛が起こった。な、何だこれは?
「えっ? 砕くん? 大丈夫ですか?」
ああ、大丈夫だ。
幸い頭痛はすぐに収まり、心配して俺の顔を覗きこんでくるキャスターに答えると、丞太郎が俺達に顔を向けて口を開いた。
「お前達、聞いてくれ。お前達は杜王町での一年間、俺の補佐役として動いてもらう訳だが……早速手伝ってもらいたいことがある」
そう言うと丞太郎さんはリムジン内部に備え付けられていたテーブルに一枚の写真を置いた。写真には一人の男が写っていて、男の隣には人形の顔のような影があった。
「何ですかこれは? 心霊写真?」
「男の顔も、人形の顔も、全く品が感じられんな」
「……この男の顔、どこかで見たような気がするな」
「本当だ。確かテレビで見たような……でも誰だっけ?」
キャスター、セイバー、アーチャー、エドワードが写真を見て口々に言うが俺には写真に写っている男が誰なのかすぐに分かった。
間違いない。この男は「アンジェロ」だ。
杜王町に逃げ込んできたスタンド使いの連続殺人犯。コイツの起こす事件が第四部の最初の殺人事件だ。
「男の名前は片桐安十郎……。新聞では『アンジェロ』とあだ名されるムナくそ悪くなる犯罪者だ」
その言葉を最初に丞太郎さんが教えてくれたアンジェロの情報は原作と全く同じだった。
杜王町で生まれた人間でIQは160。
十二歳の時、強盗と強姦罪で施設送りになる。その後は各地を転々として刑務所を出たり入ったり、あらゆる犯罪を繰り返す。刑務所で過ごした時間は三十四歳までで合計二十年。
最後の犯罪で捕まったアンジェロは絞首刑が執行されたが、アンジェロは死ななかった。二十分以上ロープにぶら下がっていたのに心臓は動いていて、死刑は延期された。
「そして先週アンジェロは脱走した。俺の勘だがコイツはスタンド使い、もしくはネクストだ。……いや、死刑はの時、能力に目覚めたと見るべきだろう。何故かはわからんが。そしてこれはジジイ……俺の協力者の調査で分かったことなんだが、アンジェロは俺達が向かっている杜王町に潜んでいる。これは間違いない」
丞太郎さんが言った「ジジイ」っていうのはジョセフ・ジョースターのことだよね。確か原作では息子である第四部の主人公、東方仗助をスタンドの「ハーミット・パープル」で念写しようとしたらアンジェロの姿が写ったんだっけ?
「アンジェロがシババワが予言した災厄なのかは分からない。だがこんなムナくそ悪くなる犯罪者がいるって分かっている以上、見過ごす訳にはいかない。杜王町についたらまずこのアンジェロを探すがそれでいいな?」
『はい!』
丞太郎さんの言葉に俺達は口を揃えて返事をした。
当然だ。ヒーローとして、こんな犯罪者を見過ごす訳にはいかない。それに俺の当面の目標「第四部の原作で死亡した人を一人でも多く助ける」を達成するためにもアンジェロは捕まえないと……、
“ズキン!”
………………………………!?
まただ。また頭痛が起こった。一体なんなんだ、これは?
“ズキン!” “ズキン!” “ズキン!”
今度の頭痛はすぐには収まらず、絶えず俺の頭を攻撃してくる! いたいイタイ痛い! あ、頭が割れそうだ……!
「ちょっと砕くん!? 大丈夫ですか?」
「砕!?」
「どうしたんだ!?」
「おい! しっかりしろ!」
「大丈夫か? 砕くん?」
皆が心配して声をかけてくれるが俺はそれに答える気力もなく……やがて意識を失った。
……………夢を、見た。
夢の中の俺は前世の姿に戻っていて、前世で暮らしていた社員寮の自室でゲームをしていた。
遊んでいるゲームは勿論モンスターハンター4。
ゲームのハンターは「爆砕の征矢」と「ブラキSシリーズ」を装備していて、一人でブラキディオスと戦っていた……。
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