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ISー電王の名を継ぐ者

作者:林檎
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VS代表候補生編
  TIME5 エリートと品格

現在 4月12日 時刻 14時30分

「とうとうか……。面倒くせえなあ。ったく、こうなったのも全部お前のせいだぞ、モモタロス!」

『仕方ねえだろ!つい、カッとなっちまったんだよ!あるだろ!?」

「確かにあるが、空気読め!」

「……上君……野上君!野上君!」

「え……はい!?」

まさか、今の聞かれてた!?

呼ばれた方へと振り向くと、駆け足でやってきた我らが副担任の山田先生。

あ、この人なら大丈夫だ。

「野上君?さっきまで、誰かと話してた様ですが大丈夫ですか?」

「電話です、気にしないでください。で、どうかしたんですか?」

「あ、そうでした。織斑先生が呼んでいるので、一緒に来てください」

「分かりました」

涼河 side out



side セシリア

「とうとう来ましたわ」

セシリアは一人呟く。

「やっと今日、あの男達に固唾を飲ませる時が……」

「どうせ、男なんて碌な者がいないんですから……」

セシリアは立ち上がる。

「行きますわよ」

『待て……』

「誰ですの……!?」

『お前の望みを言え、どんな望みも叶えてやる……お前の払う代償はたった一つだ……』

「望み?私に望みなど……」

『躊躇うな……あるはずだ……貴様の思い描く望みが……』

「私は……」

セシリア side out



side 涼河

俺は今いわゆる管制室に着ている。
山田先生に連れてこられたんだが、千冬さんは分かる。だが何故か雪姫、楯無、それと篠ノ之箒の姿があった。

まぁ、多分一夏の応援だろう。

「野上、いきなり呼んですまないな」

「いえ、それはいいんですけど、なんでこいつらが?」

俺の問いに間髪いれずに楯無が答えた。

「生徒会長権限」

ドヤ顔しながらの職権乱用宣言。そして、広げられた扇子には『越権行為』の文字が。
普通に職権乱用って書けよ、確かに意味一緒だけど。

「生徒会長へのこね」

こいつもこいつで中々ひでえ。
後、ドヤ顔やめろ。

「先生に頼んでいれてもらった」

普通だ、普通の奴がいる!

「まぁ、そういう事だ。で、本題だが」

「織斑の専用機が届いてない。予定とは違うが先に始めてもらう」

まじかよ……。一夏との勝負見ときたかったんだがな。

「分かりました」

「頑張ってね、涼河。まぁ、涼河なら大丈夫だよね」

「涼河君なら負けないわよね。まぁ、サクッと倒してきなさい♪」

「あぁ、行ってくる」

そして、俺は管制室を後にした。

んじゃま、気軽にサクッと倒してくっか。

俺、いや……


俺達で。

現在 4月12日 時刻 15時5分





俺はグラウンドへとやってきた。

そして、上を見るとセシリアは空にいた。

いやー、PICすげぇ。

「逃げずに来ましたのね」

ふふんと鼻を鳴らし、腰に手を当てたポーズで此方を見下ろしている。

「まぁ、俺がふっかけた様なもんだからな」

俺は完全にセシリアの方へ意識を向ける。

鮮やかな青色の機体『ブルー・ティアーズ』。
特徴的なフィン・アーマーを四枚背に従えている。

遠距離型….…か?

「にしても貴方、ISを起動しないとは、負けを認めた、と捉えて宜しいんですの?」

「バカ言え、俺のISは飛べねえからカタパルト使ってくる必要が無いんだよ」

「はっ、飛べないISとは、とんだ欠陥品ですわね」

「欠陥品か、ならその欠陥品に負けたら、お前はスクラップ以下だな」

「な……!?い、いいですわ。その様な態度ならチャンスをあげる必要はありませんわね。全力で叩き潰して差し上げますわ!」

「それはなによりだ。じゃあ俺もそろそろ行くか」

俺は金の懐中時計を取り出し、
電王ベルトをだし、腰に巻く。

「あいつは遠距離っぽいし、始めはリュウタ、行くぞ」

『え、僕から!?やった~!』

俺は紫のボタンを押して、パスを翳す。

「変身」

『Gun fome』

宙に紫色のアーマーが浮き、俺に装着される。
この、意識の離れる感覚も慣れてきた。

「ねえ、君が僕の対戦相手?」

「は?今更何を言って….…」

「お前倒すけどいいよね?答えは聞いてない!」

リュウタの決めゼリフを引き金に、セシリアと俺達の戦いが始まった。

「行きますわよ!」

キュインッ…!!

独特の音が鳴り、セシリアのビーム兵器『スターライトMKⅢ』からビームが俺を目掛けて放たれる、リュウタが慌てて避けた。

「うわぁ!不意打ちとかずるい!」

「さあ、踊りなさい。わたくし、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」

セシリアはもう一度、ビームを撃ち込んでくる。

が、

『撃ち消せ、リュウタ。いけるな』

「余裕!」

リュウタはガッシャーを『ガンモード』に組み立てて、銃弾を撃ち込み相殺させた。

「な……!?」

『ここはバリアも貼ってあるしいいか。リュウタ、ここなら好きに撃ちまくっていいぞ』

「本当に!?じゃあどんどんいくよ!」

リュウタは周りへの被害を無視して、銃弾を乱射する。

だが、その攻撃は確実にセシリアのエネルギーを削っていく。

「あぁもう!面倒ですわ!」

ブルー・ティアーズの背についたビットが突然離れ、俺達の方へ迫ってくる。

「今度は何!何か飛んできたよ涼河!」

『とりあえず避けろ!』

リュウタが避ける動作に入ろうとした、その時目の前をビームが通過した。

「うわっ!危な!」

リュウタは撃つのをやめ、避けに徹する。

『チッ、リュウタだけでイケると思ってたんだがな。しゃあねえか、リュウタ、ウラタと交代だ』

「え、もう交代?早いよ~」

ベルトの青のボタンを押して、パスを翳す。

『Rod fome』

宙に青色のアーマーが浮き、そのアーマーがセシリアの攻撃を弾きながら、俺に装着される。

「やっと、僕の出番か」

「アーマーが変化!?そんなの聞いた事ありませんわ!」

「君可愛いねえ。君、僕に釣られてみる?」

「なっ…何を馬鹿な事を!」

セシリアはビットからビームを撃ち込んでくる。

『ウラタ、釣り上げて壊せ』

「了解!」

ガッシャーを『ロッドモード』へと組み替え、ロッドのデンリールからでたオーララインを飛ばして、ビットを捕える。

「はっ!」

掛け声と共に、ビットをロッドで折り、破壊する。

「な、なんですって!?」

ビット兵器を破壊され、流石に動揺を隠せていない。

その隙にもう一つのビットを捕え、破壊し、残り二つのビットはセシリアの元へと戻った。




その最中、管制室では

「涼河、凄い……」

雪姫は圧巻していた。代表候補生と対等、いや、それ以上の戦いを見せる涼河に。

「始めてのIS戦とは思えないくらいに戦い慣れてるわね。せっかく後で教えようと思ってたのに!でもなんか涼河君のキャラがぶれてる気がするのよね」

これが終わったらISについて教えようと思っていた楯無は残念そうな顔をする。

「にしても、あいつはどこであんな珍妙なISを手に入れたんだ。………まさか、あれも束の仕業なのか?」

「……………」

たまたま聞こえた千冬の呟きを箒は黙って聞き流した。



「どうする、降参するかい?僕としては出来れば可愛い女性に攻撃したく無いんだけど」

「あまり調子に、乗らないで下さいな!」

セシリアはまた、ビットを展開してくるが、

「ちょうどいい足場に出来そうだね」

ウラタは、飛ぶビットを足場にしてセシリアへと迫る。

「これで終わりだよ!」

ウラタがセシリアへとロッドを振り抜く。

が、

「掛かりましたわね」

セシリアの背にある砲口からミサイルが放たれ、涼河が撃ち落とされた。

この勝負を見ていた誰もが、セシリアの勝利を確信しただろう。

だが、

「今のは効いたで~。でも、俺の強さには敵わんなぁ~」

親指で首を捻って鳴らしながら爆煙の中から出てきたのは、金色のオーラアーマーを身に纏った電王、『アックスフォーム』だった。

「そんな!あの距離でくらって無事な筈は……」

『ったく、危ないとこだったぜ。やっぱお前の硬さも中々役に立つな、キンタ』

「それが俺の強さや!泣けるで!」

『そろそろ決めるぞ、よくここまで我慢したな、お前の出番だ、モモタロス』

「え……ちょう待て涼河、俺の出番これだけ?」

『おう』

「んな理不尽な!モモの字!もうちょい待ってくれ!」

『とっとと変われ、熊野郎!』

モモタロスがキンタロスを追い出す形で電王が『ソードフォーム』へと変化され、オーラアーマーが赤色に変わる。

「ふぅ……俺、ようやく参上!」

『分かってるな?決めだ、モモタロス』

「おう!決めるぜ!」

『Full charge』

「行くぜ。俺の必殺技、パート2」

オーラソードがガッシャーから離れ空を舞う。

「そ、そんな……!私が男なんかに!」

セシリアはまたもやミサイルを撃ち込んでくるが、ガッシャーのオーラソードがミサイルを切り裂いていく。

「終わりだぜ」

最後の一振りがセシリアを切り裂き、

(あんな、あんな強い男性もいるんですの……?)

勝負は決した。

『勝者 野上涼河』

終わりの合図と共に、変身を解く。

『みんなお疲れ、ゆっくりしとけ』

『いや涼河、もう一仕事あるみてえだぜ』

モモタロスが、声色を変えて言う。

「は?」

空を見ると、セシリアの身体から砂が溢れていた。 
 

 
後書き
「はい!天白雪姫です!では次回予告だよ~」

「野上涼河です。次は、イギリスか……」

「え、イギリス行くの?じゃあお土産は紅茶ね!」

「観光じゃねえからな!?では次回、TIME6」

「「努力と憧れ!」」
 
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