STANDING ON THE RAINBOW
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第一章
第一章
STANDING ON THE RAINBOW
「これからだぜ」
「ああ」
「そうだな」
七人で言い合う。夜の電車の中で。
今故郷を出た。ここで俺は仲間達に言った。
「東京に出たら一気にいくぜ」
「ああ、メジャーになろうぜ」
「スターになるか」
「絶対にな」
「ああ、なるんだよ」
俺達は意地でもなってやるつもりだった。俺も含めて七人いる。
リーダーに髭にノッポに色白に細目にそれと俺の弟だ。俺以外のメンバーはこんな感じだ。生まれ故郷を出て東京に出てデビューすることになった。
それで今こうして夜の列車の中でだ。言い合うのだった。
「メジャーにな」
「武道館でコンサートだな」
「それを目指すか」
「それにツアー」
「全国ツアーだ」
本気だった。夢物語を話しているつもりは全く無かった。
「日本全国回ってな」
「それで何処もお客さんで満員だ」
「レコードどんどん売るぞ」
「ああ、やってやろうぜ」
こんな話をして東京に来た。まずはここが何処なのか全くわからないアパートに入った。そこに七人全員で入った。まずはそのぼろさに驚いた。
「まあ最初はこんなもんか?」
「こっから一気に高級マンションに住もうぜ」
「ああ、メジャーになったらこんな場所すぐにおさらばだ」
「そうだな」
こんな話もした。実際に俺達はすぐにシングルを出した。それを三枚出したところでだ。一気に人気が出てテレビからも声をかけられた。
それで歌番組にも出てあちこちで歌った。本当にすぐにコンサートを開けたしツアーもやったし武道館でライブもした。しかしそれでもだった。
「これで満足してるか?」
ある時リーダーがこう俺達に尋ねてきた。
「御前等これでな。満足してるか?」
「もっと上かよ」
「上に行けってことかよ」
「ああ、そうだ」
リーダーが言うのはそれだった。
「もっと上があるだろ」
「じゃああれか?」
ここで言ったのはノッポだった。
「俺達の歌でか」
「ああ、もっと上に行こうぜ」
リーダーの言葉はこうしたものだった。
「絶対にな」
「絶対にだね」
ここで細目も言ってきた。
「もっと上にね」
「そう、それと」
「それと?」8
「俺達の名前をずっと残すんだよ」
リーダーはこんなことも言った。
「いいな、すぐに消えるなんてことは駄目だからな」
「それで消えたら駄目か」
「ああ、駄目だ」
リーダーは今度は髭の言葉に答えた。
「ずっと音楽やってだ。それで」
「伝説になるのか」
「いいな、俺達は伝説になるんだ」
リーダーの言葉は強い。本気だった。
「何があってもな」
「七人でだよね」
色白の言葉だった。
「僕達七人で」
「そうだね。東京に出てからもずっと七人だったんだし」
弟がそうだと応える。そうしてだった。
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