CーGIRL
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第二章
「泳ぐのは好きだし」
「泳ぐだけでもいいだろ」
「寒中水泳は勘弁だけれどな」
けれど温水プールならだった、僕も。
「それならいいよ」
「よし、じゃあ御前もな」
「それで彼女が見つかればラッキーか」
僕は女の子はどうでもよかった、それよりも。
泳ごうと思ってプールに行くことにした、友人は無駄に凄い行動力を発揮してそれでメンバーを集めた、そうしてだった。
日曜にそのメンバーでだった、水着とタオルを持って駅前で集合してプールに行った、そこで水着に着替えてだった。
室内のプール場に出る、そこはジャングルの様に演出されていて五十メートルプールもあれば曲がりくねった滑り台もある、水が流れるプールもだ。
色々なプールがある、そのプールを見て僕は提案してきた友人に言った。
「それで今から」
「そうだよ、女の子を探してな」
「女の子っていうけれど」
どうかとだ、僕は周りプールの中を見回してこうも言った。
「随分いるよ」
「ああ、まさに百花繚乱だよな」
友人は目を爛々とさせていた、せめて水着の前が出ていないだけましか。
「そうだよな」
「あまりじろじろ見るなよ」
「餓えているみたいだからか」
「そうだよ、それはかえってよくないからな」
だからだとだ、僕は彼に注意した。
「気をつけろよ」
「わかってるさ、しかしどの娘もな」
それこそ大人の人からほんの小さな子供までいる、女の子といっても本当に色々だ。しかしその誰もがだった。
可愛い、まさに百花繚乱である。しかもその女の子達が。
どの娘も体型がはっきり出ている水着姿で肌の露出も凄い、冬の厚着は本当に何処に行ってしまったのやらだ。
だからだ、彼もこう僕達に言うのだった。
「いいか、今からな」
「ああ、彼女をだよな」
「とりあえずいい娘がいたら声をかけて」
「そうしていこうな」
「泳ぎたい奴は泳げよ」
彼は僕を含めてそれが目的で来た面子に言うことも忘れなかった。
「サウナや風呂もあるからな」
「そこに入って飲んでもいいよな」
「ああ、風呂を楽しんでもな」
そっちに流れる面子もいた。
「まあ、後は随時だな」
「それぞれ楽しんでな」
「靖国、いや明日のクラスで会うぞ」
友人は最後にこんなことも言った、英霊になるのかよと突っ込みを入れたくなった。
「いいな、戦果を聞かせろ」
「よし、武勲を祈る」
「クラスで会うぞ」
皆それぞれ敬礼、何故か皆帝国海軍式の肘を折った敬礼で別れた。今度は神風特攻隊になっていた。
勿論僕も無意識のうちに海軍の敬礼をしてだった、そのうえで。
プールというプールを回ってだ、とにかく泳いだ。そうして二キロ位一時間かけて泳いで一休みしようとしたところで。
プールから出てだ、ビーチの席に向かおうとすると。
一人の女の人がいた、小柄で背は一五三位か。とてもよく日焼けした顔と肌で脇の長さまで伸びている黒髪を後ろで束ねはっきりとした顔と大きめの口の人だった。年は僕より三つは上位だった、高校生の僕の。
当然水着だ、スポーティーな黒のワンピースだ、それだけに小柄ながら整ったスタイルがはっきりと出ている。その人がだ。
僕を見てだ、笑顔でこう言ってきた。
「さっきから随分泳いでるわね」
「はい、泳ぎたくて」
「それで泳いでたのね」
「そうなんです、クラスの連中と十人位で来ましたけれど」
「君はなのね」
「泳いでます」
他の面子のことは話さずに僕のことだけを話した。
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