リトルバスターズ!~始まった世界~
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少年達の奮闘編
第八話 古式
俺は古式の相談に乗り始めた。
自分で言うのもなんだが俺は社交性に欠けている。
今までの俺は過剰に慰めの言葉を口にしていた。
自分では精一杯のことをしていると思った。
しかし古式からすればどうか。
勇気を出して俺に声をかけたのに帰ってくる言葉は他の人と同じ。
それが原因の一つではないのか。
俺は口下手だから、言葉で飾るより行動で示す方がいい。
できるだけストレートに思いを伝えていった。
そして最大の原因。
「趣味を見つければいいんじゃないか?」
「・・・宮沢さんには、剣道以外にあるのですか?」
今までの俺だったら読書と苦し紛れに答えていた。とっさについた嘘だった。
「野球だ」
紛れもない本心だ。ある程度武道の道を究めている者に嘘は通用しない。
・・・なにより、単純に好きだった。ただ、それだけ。
「宮沢さんが野球をされている姿をみたことがないのですが・・・」
「昔・・・そう、昔だな。一度腕の骨を折って剣道ができなくなった事があるんだ。その時俺は野球が好きな訳でもなく、怠惰な毎日を過ごしていた」
「だが、リトルバスターズ、知ってるだろ?あいつらが執拗に野球をしようとせがんで来るんだ。しかたがないから少しだけやろうと思ってバットを握った瞬間、真に『遊んでいる』と感じた。
そこからだな、俺が野球を好きになったのは」
「本当に野球がお好きなのですね。いつになく饒舌でしたよ」
「ずっと、遊んでいたかった・・・」
「?」
「忘れてくれ、独り言だ。とにかく、俺が言いたいのは何かひとつ、片手間でも熱中できるものがあれば、人生そうそう捨てたものじゃない」
「わかりました」
「しっかり、生きてくれ・・・」
「は、はい!」
俺は古式を屋上に上がらせることなく説得した。
「修学旅行、楽しみですね!」
「ああ・・・」
彼女は見違えたように明るくなった。もう少しだけでも話し相手になってやりたかった。
でも、だめだ。俺が過去を上書きした以上、もう一度バスの転落事故を起こさなければならない。だが、一応自分の気持ちに区切りはついた。理樹、鈴、達者でやれよ!
後書き
謙吾視点はこれで終了です。後は恭介が何をしに行くか。ですね。
どうでもいいですが今日は理樹の誕生日です。おめでとう!
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